ヴェロニカの嵐
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あまり使いたくなかった手の一つだが、運が良ければシルビ達が揃って無事である事は伝わるだろうと木の上で起き上がる。尋常ならざる手段は学生の身分であるうちは使いたくなかったが、既に惑星セントラルでルウが暴走した際にその異常性の一端を晒していた。
全く、リィ達と知り合ってから碌なことがない。
責任転嫁という訳ではないが、そう愚痴る事くらいは許して欲しいと思っていると足元で二人の気配がした。
「シルビ? 何してるんだ?」
「ルウかキングに連絡が取れねぇか試してみたとこだぁ。そっちの話は終わったのかぁ」
膝裏を引っ掛ける形で木の枝へ一度逆さまにぶら下がり、そこから地面へと着地する。目の前に来たリィとシェラの手には、それぞれ荷物が抱えられていた。
「移動すんのかぁ?」
「ああ、今夜は雨が降るからな」
「俺の荷物はぁ?」
「置いてきたよ」
「……ハンス寮長達もかぁ?」
「ハンスたちはあの洞窟に居る方がいいんだってさ」
顔は機嫌が悪そうだがリィの声は明るい。立ち上がったシルビは一度空を見上げてから、自分よりは背の低いリィとシェラを見下ろした。
「荷物とって来る」
「連れて来るつもりか?」
「いや、ハンス寮長達がそれを選んだってのなら、俺はそれを否定しねぇよ。一度は経験した方が勉強になることもあんだろぉ」
自然を甘く見てはいけない。経験のある者の意見に従わずに行動する事がどんなに愚かで危険かなど、趣味程度の登山家でも知っているだろう。ましてや自分達は子供で体力も無く、知識も判断力も弱い。
そんな状況下で生き残る術として、自然に強いリィ達の意見を聞き入れないのは死んでもいいという事だ。
森を抜けた先の河原では、残っていたハンス達が洞窟の中へと移動していた。シルビの荷物は持ち主が居なかったからか、焚き火の傍に残されている。それに手を伸ばして持ち上げれば、洞窟から出てきたハンスが駆け寄ってきた。
「シルビ! どこに行っていたんだ?」
「森の中。リィに聞いたけど、雨が降るってのに洞窟で過ごすつもりなんだってぇ?」
「うん。リィには『水が出る』から問題外だって言われたんだが……」
その言葉の意味が分からなかったが、リィは教えてくれなかったというところか。火の扱いで既に呆れていたリィなら、確かに説明しないだろうなぁとシルビは思う。
元よりリィは教えるという事に慣れていない気がする。
「俺も問題外だと思うけど、ハンス寮長達がそれを選んだのなら俺は別に構わねぇよ。ただ、熟睡だけはしねぇほうがいいと思うぜぇ」
「どうしてだい?」
「いざという時逃げられねぇから」
全く、リィ達と知り合ってから碌なことがない。
責任転嫁という訳ではないが、そう愚痴る事くらいは許して欲しいと思っていると足元で二人の気配がした。
「シルビ? 何してるんだ?」
「ルウかキングに連絡が取れねぇか試してみたとこだぁ。そっちの話は終わったのかぁ」
膝裏を引っ掛ける形で木の枝へ一度逆さまにぶら下がり、そこから地面へと着地する。目の前に来たリィとシェラの手には、それぞれ荷物が抱えられていた。
「移動すんのかぁ?」
「ああ、今夜は雨が降るからな」
「俺の荷物はぁ?」
「置いてきたよ」
「……ハンス寮長達もかぁ?」
「ハンスたちはあの洞窟に居る方がいいんだってさ」
顔は機嫌が悪そうだがリィの声は明るい。立ち上がったシルビは一度空を見上げてから、自分よりは背の低いリィとシェラを見下ろした。
「荷物とって来る」
「連れて来るつもりか?」
「いや、ハンス寮長達がそれを選んだってのなら、俺はそれを否定しねぇよ。一度は経験した方が勉強になることもあんだろぉ」
自然を甘く見てはいけない。経験のある者の意見に従わずに行動する事がどんなに愚かで危険かなど、趣味程度の登山家でも知っているだろう。ましてや自分達は子供で体力も無く、知識も判断力も弱い。
そんな状況下で生き残る術として、自然に強いリィ達の意見を聞き入れないのは死んでもいいという事だ。
森を抜けた先の河原では、残っていたハンス達が洞窟の中へと移動していた。シルビの荷物は持ち主が居なかったからか、焚き火の傍に残されている。それに手を伸ばして持ち上げれば、洞窟から出てきたハンスが駆け寄ってきた。
「シルビ! どこに行っていたんだ?」
「森の中。リィに聞いたけど、雨が降るってのに洞窟で過ごすつもりなんだってぇ?」
「うん。リィには『水が出る』から問題外だって言われたんだが……」
その言葉の意味が分からなかったが、リィは教えてくれなかったというところか。火の扱いで既に呆れていたリィなら、確かに説明しないだろうなぁとシルビは思う。
元よりリィは教えるという事に慣れていない気がする。
「俺も問題外だと思うけど、ハンス寮長達がそれを選んだのなら俺は別に構わねぇよ。ただ、熟睡だけはしねぇほうがいいと思うぜぇ」
「どうしてだい?」
「いざという時逃げられねぇから」