ヴェロニカの嵐
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SIDE SEA
連邦大学では、突然行方不明になってしまった十三名の保護者が揃い、学校側の説明に混乱や憤慨をきたしていた。
その中でもまだ冷静でいられた者は、リィの父親であるアーサー・ヴァレンタイン卿と、ジェームズの父親であるダン・マクスウェル船長だ。どちらも息子達の事が心配でならないが、だからといって意味も無く騒ぐ事の愚かさも知っている。
大学が用意したホテルに居た、ジェームズの祖母であるジンジャーの代理として来ていたケリーの仲介によって互いを知り合い、そのまま事故なのか事件なのかを話し合っていれば、今度はルウが駆けつけてきた。
ヴァレンタイン卿の妻であるマーガレットを安心させて先に休むように言いくるめ、その姿が見えなくなると真っ先にヴァレンタイン卿がルウへと詰め寄る。
「生きているのと無事とは違うぞ!」
「それこそ、言われるまでもないね」
ルウは生きているという保障しかしなかった。それ以上は占いに使う大切な手札をゴミ箱へ放り込んでまで、リィ達の居場所を探し当てる事を拒否する。
非常識な事はしてはいけないから、と。
その意思を変えるつもりがない事を早々に見てとり、ダンもヴァレンタイン卿も苛立ちはしたがそれ以上ルウに強請ることはしなかった。普段の彼等を見ていれば、一番その占いで居場所を探り出し助けに行きたいのはルウなのだろうと悟ったからだ。
「失礼致します」
誘拐だとしたら犯人の目的は何なのかと話し合っていれば、ふいに落ち着き払った声を掛けられ、その場に居た四人が振り返る。立っていたのは金髪の、青い服を着た女性だった。
先程大学側の説明を受けている時に一緒に居た記憶はないので、行方不明の生徒の保護者とも思えない。ダンはこのホテルの従業員だろうかとしか思わなかったが、ルウは彼女を見て信じられないという風に言葉を失っている。
「失礼ですがダン・マクスウェル船長はどちらでしょうか?」
「あ、わ、私ですが」
尋ねられてダンが慌てて答えれば、金髪の女性はニコリと微笑んだ。
「私、この度行方不明となりましたシルビ・テトラ・グラマトの身内の、マーガレットと申します。あの方よりマクスウェル様を通じて伝言を頼みたいということですが、よろしいでしょうか?」
絶句した。
その場に居た四人もシルビという青年の事はそれぞれ知っているが、リィたち同様行方不明になっていたとは聞いていない。そして彼の『身内』だという彼女のことも誰も知らなかった。
ましてやその彼女の発言は、行方不明になっているシルビからのものだとも取れる。それはどうあっても聞かねばならないと、マーガレットと名乗った女性に詰め寄った。
「で、伝言とは?」
「はい。貴方の知人であらせられるルーファス・ラヴィー様とケリー・クーア様へ『今のところ全員無事である』と」
連邦大学では、突然行方不明になってしまった十三名の保護者が揃い、学校側の説明に混乱や憤慨をきたしていた。
その中でもまだ冷静でいられた者は、リィの父親であるアーサー・ヴァレンタイン卿と、ジェームズの父親であるダン・マクスウェル船長だ。どちらも息子達の事が心配でならないが、だからといって意味も無く騒ぐ事の愚かさも知っている。
大学が用意したホテルに居た、ジェームズの祖母であるジンジャーの代理として来ていたケリーの仲介によって互いを知り合い、そのまま事故なのか事件なのかを話し合っていれば、今度はルウが駆けつけてきた。
ヴァレンタイン卿の妻であるマーガレットを安心させて先に休むように言いくるめ、その姿が見えなくなると真っ先にヴァレンタイン卿がルウへと詰め寄る。
「生きているのと無事とは違うぞ!」
「それこそ、言われるまでもないね」
ルウは生きているという保障しかしなかった。それ以上は占いに使う大切な手札をゴミ箱へ放り込んでまで、リィ達の居場所を探し当てる事を拒否する。
非常識な事はしてはいけないから、と。
その意思を変えるつもりがない事を早々に見てとり、ダンもヴァレンタイン卿も苛立ちはしたがそれ以上ルウに強請ることはしなかった。普段の彼等を見ていれば、一番その占いで居場所を探り出し助けに行きたいのはルウなのだろうと悟ったからだ。
「失礼致します」
誘拐だとしたら犯人の目的は何なのかと話し合っていれば、ふいに落ち着き払った声を掛けられ、その場に居た四人が振り返る。立っていたのは金髪の、青い服を着た女性だった。
先程大学側の説明を受けている時に一緒に居た記憶はないので、行方不明の生徒の保護者とも思えない。ダンはこのホテルの従業員だろうかとしか思わなかったが、ルウは彼女を見て信じられないという風に言葉を失っている。
「失礼ですがダン・マクスウェル船長はどちらでしょうか?」
「あ、わ、私ですが」
尋ねられてダンが慌てて答えれば、金髪の女性はニコリと微笑んだ。
「私、この度行方不明となりましたシルビ・テトラ・グラマトの身内の、マーガレットと申します。あの方よりマクスウェル様を通じて伝言を頼みたいということですが、よろしいでしょうか?」
絶句した。
その場に居た四人もシルビという青年の事はそれぞれ知っているが、リィたち同様行方不明になっていたとは聞いていない。そして彼の『身内』だという彼女のことも誰も知らなかった。
ましてやその彼女の発言は、行方不明になっているシルビからのものだとも取れる。それはどうあっても聞かねばならないと、マーガレットと名乗った女性に詰め寄った。
「で、伝言とは?」
「はい。貴方の知人であらせられるルーファス・ラヴィー様とケリー・クーア様へ『今のところ全員無事である』と」