ヴェロニカの嵐
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあ、その間に肉を手に入れてくるか」
「あ、俺も……」
「にく!」
発言を遮られた。遮ったのはシェラ以外の全員で、揃って信じられない単語を聞いたとばかりの顔をしている。
「に、肉って……何の肉?」
「これだけの森が会って木の実がある。当然それを食べる鳥や動物がいるはずだ」
「……それって、ハンティングに行くってこと?」
「おれは基本的に肉食なんだ」
人間は雑食動物に分類されるのだが、リィの場合本当に肉食動物のような気がしてくるから不思議だ。リィを見て金色の狼に例えたことのあるシルビが言っても信憑性は無いだろうが。
銃も使わず、罠も仕掛けずに素手で獲るというリィの言葉に、生徒達は唖然としていた。それだと文明が生まれる以前はどうやって狩っていたのかと尋ねてみたくなったが、カルチャーショックを受けているらしい彼等にそれを言うのは酷だろう。
それに、シルビだって今はリィの側に立っているのだ。
「リィ。俺も行くぜぇ」
「ぁ……だったら、オレも行くよ。人数がいたほうが効率がいいだろう」
名乗り出たのはシルビだけではなかった。通信機で灯台の信号を受信してみせると豪語したジェームズもだ。電波を受信するのに通信機へ付きっ切りでいる必要が無いとはいえ、素人のジェームズでは獲物の姿を見つける前に、獲物のほうが気付いて逃げてしまうだろう。
リィもその申し出をやんわりと断っている。
「シルビはともかく、ジェームスは足手まといになるだけだ。ここにいろ」
「そんなの! やってみなきゃ分からないだろう」
二人が言い合っている間に、シルビは荷物をシェラへ渡してチャックへと近付いた。水の容器を大切なもののように抱えていたチャックは、シルビが目の前でしゃがむと怯えを隠しながら顔を上げる。
そのチャックへ、シルビは腰のウォレットチェーンを外して差し出した。
「チャック少年。持っててくれぇ」
「……邪魔ならバッグに」
「戻ってきたらすぐ付けるからなぁ。頼むよ」
おずおずと出された手へ、ウォレットチェーンを乗せる。それをチャックが水の容器と一緒に抱えたのを見て、シルビはリィに呼ばれて立ち上がった。
ハンスが山の頂上に連れて行ってくれと頼んでいたが、リィは明日にしようと断ってマリへ歩き出す。その後にシルビも続きながら、背後に置いてきた生徒達を肩越しに振り返った。
「鹿とかいねぇかなぁ」
「そうだな。あの人数じゃおれもそう思うよ。ところであのウォレットチェーン」
「リィが察してる通りだぁ。気休めだが、アレを持ってりゃ少しは楽になる筈だぜぇ」
「便利だけど、使っても大丈夫なのか?」
「……本当は他人に渡すのも嫌だが仕方ねぇだろぉ」
「あ、俺も……」
「にく!」
発言を遮られた。遮ったのはシェラ以外の全員で、揃って信じられない単語を聞いたとばかりの顔をしている。
「に、肉って……何の肉?」
「これだけの森が会って木の実がある。当然それを食べる鳥や動物がいるはずだ」
「……それって、ハンティングに行くってこと?」
「おれは基本的に肉食なんだ」
人間は雑食動物に分類されるのだが、リィの場合本当に肉食動物のような気がしてくるから不思議だ。リィを見て金色の狼に例えたことのあるシルビが言っても信憑性は無いだろうが。
銃も使わず、罠も仕掛けずに素手で獲るというリィの言葉に、生徒達は唖然としていた。それだと文明が生まれる以前はどうやって狩っていたのかと尋ねてみたくなったが、カルチャーショックを受けているらしい彼等にそれを言うのは酷だろう。
それに、シルビだって今はリィの側に立っているのだ。
「リィ。俺も行くぜぇ」
「ぁ……だったら、オレも行くよ。人数がいたほうが効率がいいだろう」
名乗り出たのはシルビだけではなかった。通信機で灯台の信号を受信してみせると豪語したジェームズもだ。電波を受信するのに通信機へ付きっ切りでいる必要が無いとはいえ、素人のジェームズでは獲物の姿を見つける前に、獲物のほうが気付いて逃げてしまうだろう。
リィもその申し出をやんわりと断っている。
「シルビはともかく、ジェームスは足手まといになるだけだ。ここにいろ」
「そんなの! やってみなきゃ分からないだろう」
二人が言い合っている間に、シルビは荷物をシェラへ渡してチャックへと近付いた。水の容器を大切なもののように抱えていたチャックは、シルビが目の前でしゃがむと怯えを隠しながら顔を上げる。
そのチャックへ、シルビは腰のウォレットチェーンを外して差し出した。
「チャック少年。持っててくれぇ」
「……邪魔ならバッグに」
「戻ってきたらすぐ付けるからなぁ。頼むよ」
おずおずと出された手へ、ウォレットチェーンを乗せる。それをチャックが水の容器と一緒に抱えたのを見て、シルビはリィに呼ばれて立ち上がった。
ハンスが山の頂上に連れて行ってくれと頼んでいたが、リィは明日にしようと断ってマリへ歩き出す。その後にシルビも続きながら、背後に置いてきた生徒達を肩越しに振り返った。
「鹿とかいねぇかなぁ」
「そうだな。あの人数じゃおれもそう思うよ。ところであのウォレットチェーン」
「リィが察してる通りだぁ。気休めだが、アレを持ってりゃ少しは楽になる筈だぜぇ」
「便利だけど、使っても大丈夫なのか?」
「……本当は他人に渡すのも嫌だが仕方ねぇだろぉ」