ヴェロニカの嵐
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何が困ったかというと、薪を拾い集めるのにも生徒達は何も知らなかったことだ。落ちている枯れ木を集めるだけで良いというのに、わざわざ折れない生木を折ろうとする者までいるものだから、シルビはリィに頼まれて食料集めではなく薪集めの監修である。
「枯れて落ちてる木を集めりゃいいんだぁ。乾燥しきってねぇ木はちゃんと燃えねぇ。まだ落ちてない木なんかはその最たるもので、不完全燃焼起こして煙が酷でぇことになるぜぇ」
「煙が酷いとどうなるの?」
「水を蒸留させるんであれば、煙の匂いがついて水が臭くなるなぁ」
それを聞いて抱えている枯れ木を不安そうに見下ろした者が数名。蒸留して安全は確保したものの臭い水を飲むことになるかどうかは、自分達の責任になるとは理解したらしい。
十人も手があればそれなりに集められた小枝を持って河原へ戻れば、リィとシェラが拾い集めてきたらしい木の実や果物を確認していた。泥だらけの木の根や何かの蔓を見て生徒達の顔色が変わる。
食べられるものではないと認識されたようだ。
「シェラ、火を貰っていいかぁ?」
「ええ、こちらも火を使いますが」
「コッチが終わったら手伝う。先に蒸留させねぇと干からびちまうだろぉ」
山葡萄のような黒い粒を口に入れて毒見をしている二人から離れ、シルビは木の枝を組んで一緒に取ってきた蔓を紐代わりにして簡易的な足場を作り、水の容器をそこへぶら下げた。蒸留させる程度ならこれで充分だろう。
振り返って何の手伝いもせずに突っ立っている生徒を招き寄せた。何の手伝いもせずに、とはいうものの、正確には『出来ずに』なのだろうことは予測済みだ。
「自分達で言ったんだし蒸留の仕方は分かってるよなぁ。後は時々薪を足してやりゃいい」
「時々って、どのくらいの間隔で?」
「火の強さや薪の太さも違げぇんだから、そこは自分で判断しろぉ」
何でもかんでも尋ねれば答えが返ってくるというものでもない。しかしハンスも含めて全員戸惑いの表情だ。
「いいよシルビ。こっちはおれたちがやるから見ていてやってくれ」
「……俺は水より腹が減ってるんだがなぁ」
リィに言われて仕方なく蒸留の為の火の前へ座り直す。少しでも覚えようとしてかハンスが隣へ来たので、ある程度説明しながら薪を足して火を絶やさないようにする。拾ってきた薪も選別した方が良かった様で、もしかしたら下手に離れるより良かったかもしれない。
次第にリィ達のほうから香ばしい匂いがしてくる。
そうなると空腹でもある生徒の意識はその良い匂いのするほうへと向けられるのも当然で。食べられると分かってからは我先にと全員がそちらへ行ってしまったので、ひっくり返してやろうかと思った。
やらなかったのは、ひとえにチャックが隣で真剣に蒸留の様子を見ていたからである。
「枯れて落ちてる木を集めりゃいいんだぁ。乾燥しきってねぇ木はちゃんと燃えねぇ。まだ落ちてない木なんかはその最たるもので、不完全燃焼起こして煙が酷でぇことになるぜぇ」
「煙が酷いとどうなるの?」
「水を蒸留させるんであれば、煙の匂いがついて水が臭くなるなぁ」
それを聞いて抱えている枯れ木を不安そうに見下ろした者が数名。蒸留して安全は確保したものの臭い水を飲むことになるかどうかは、自分達の責任になるとは理解したらしい。
十人も手があればそれなりに集められた小枝を持って河原へ戻れば、リィとシェラが拾い集めてきたらしい木の実や果物を確認していた。泥だらけの木の根や何かの蔓を見て生徒達の顔色が変わる。
食べられるものではないと認識されたようだ。
「シェラ、火を貰っていいかぁ?」
「ええ、こちらも火を使いますが」
「コッチが終わったら手伝う。先に蒸留させねぇと干からびちまうだろぉ」
山葡萄のような黒い粒を口に入れて毒見をしている二人から離れ、シルビは木の枝を組んで一緒に取ってきた蔓を紐代わりにして簡易的な足場を作り、水の容器をそこへぶら下げた。蒸留させる程度ならこれで充分だろう。
振り返って何の手伝いもせずに突っ立っている生徒を招き寄せた。何の手伝いもせずに、とはいうものの、正確には『出来ずに』なのだろうことは予測済みだ。
「自分達で言ったんだし蒸留の仕方は分かってるよなぁ。後は時々薪を足してやりゃいい」
「時々って、どのくらいの間隔で?」
「火の強さや薪の太さも違げぇんだから、そこは自分で判断しろぉ」
何でもかんでも尋ねれば答えが返ってくるというものでもない。しかしハンスも含めて全員戸惑いの表情だ。
「いいよシルビ。こっちはおれたちがやるから見ていてやってくれ」
「……俺は水より腹が減ってるんだがなぁ」
リィに言われて仕方なく蒸留の為の火の前へ座り直す。少しでも覚えようとしてかハンスが隣へ来たので、ある程度説明しながら薪を足して火を絶やさないようにする。拾ってきた薪も選別した方が良かった様で、もしかしたら下手に離れるより良かったかもしれない。
次第にリィ達のほうから香ばしい匂いがしてくる。
そうなると空腹でもある生徒の意識はその良い匂いのするほうへと向けられるのも当然で。食べられると分かってからは我先にと全員がそちらへ行ってしまったので、ひっくり返してやろうかと思った。
やらなかったのは、ひとえにチャックが隣で真剣に蒸留の様子を見ていたからである。