ヴェロニカの嵐
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陽が明ける前に戻ってきたリィは、ごく淡々と事実だけを告げた。
「キャンプ場、無かったぞ」
「……そっか。行き止まりだったかぁ?」
「いや、一応河原があった。確認はして来なかったが充分飲めそうだった」
「では、そちらへ移動した方がよろしいでしょうね」
三人の視線が眠っている皆へ向けられる。彼等は昨日の段階で既に送迎船から持ってきた水を飲み干していた。
本来であれば数時間でキャンプ場へ着く予定だったのだから、それは別段悪いことではないものの、状況が変わった今は深刻な問題だ。
人は水が無ければ食料が無い時よりも苦しんで死ぬ。
「シェラ。火を持って先に行ってくれ」
「はい」
「俺はこっちと一緒に行ったほうがいいだろぉ」
「そうだな。オレだけじゃ皆を説得できる気がしない」
昨日の夜から思っていたが、リィは生き残るための戦力としてシルビを数えるつもりらしい。確信したのは即席のナイフを見せた時だったが、この状況で文句を言うつもりは無かった。
「山の上にも登って確認してきたけど、人工的な灯りは一つも見当たらなかった。どう思う?」
「……地平線は見えたかぁ?」
「見えた。何もなかったよ」
「となると、最悪な予想が浮かぶんだがぁ」
「おれもさ」
二人の脳裏に浮かぶ想像は恐らく同じだろう。現実であったなら随分と困る事になる。
この惑星は、惑星ヴェロニカではない。
もしその予想が現実だとすれば、シルビ達は大層な危機的状況に陥っている事になる。そしてそれをこの眠っている皆へ告げるとなれば、更に困惑や動揺の騒ぎになって収拾がつけられる気がしない。
「……それでも、生き残んねぇといけねぇんだよなぁ」
「そうだな」
暫くして、朝の寒さに一行が次々に目を覚ましていく。焚き火の火を点けていたらこうもすんなり起きてくれていなかっただろうなと、シェラが始末をしていった焚き火の跡を見下ろした。
荷物の中から上着を取り出して羽織っている生徒に、リィが歩けば温かくなると言っているが、その判断は各自に任せればいいと思ったのでシルビは何も言わない。
昨日の一本道へまで皆で戻って、そこからリィが道の先にキャンプ場が無かった事と、河原があった事を説明しながら歩き出す。
途中から下りになった道の先は、岩場の連なる河原で終わっていた。大き目の洞窟が近くにある他は、岩と森しか目に付くものは無い。河原自体、河原と表現するには小さくて流れも緩やかな浅い小川だ。
先に来ていたシェラがその小川を覗き込んで難しい顔をしている。
「どうやら魚は無理のようです」
「そうか。じゃあ、森かな」
「キャンプ場、無かったぞ」
「……そっか。行き止まりだったかぁ?」
「いや、一応河原があった。確認はして来なかったが充分飲めそうだった」
「では、そちらへ移動した方がよろしいでしょうね」
三人の視線が眠っている皆へ向けられる。彼等は昨日の段階で既に送迎船から持ってきた水を飲み干していた。
本来であれば数時間でキャンプ場へ着く予定だったのだから、それは別段悪いことではないものの、状況が変わった今は深刻な問題だ。
人は水が無ければ食料が無い時よりも苦しんで死ぬ。
「シェラ。火を持って先に行ってくれ」
「はい」
「俺はこっちと一緒に行ったほうがいいだろぉ」
「そうだな。オレだけじゃ皆を説得できる気がしない」
昨日の夜から思っていたが、リィは生き残るための戦力としてシルビを数えるつもりらしい。確信したのは即席のナイフを見せた時だったが、この状況で文句を言うつもりは無かった。
「山の上にも登って確認してきたけど、人工的な灯りは一つも見当たらなかった。どう思う?」
「……地平線は見えたかぁ?」
「見えた。何もなかったよ」
「となると、最悪な予想が浮かぶんだがぁ」
「おれもさ」
二人の脳裏に浮かぶ想像は恐らく同じだろう。現実であったなら随分と困る事になる。
この惑星は、惑星ヴェロニカではない。
もしその予想が現実だとすれば、シルビ達は大層な危機的状況に陥っている事になる。そしてそれをこの眠っている皆へ告げるとなれば、更に困惑や動揺の騒ぎになって収拾がつけられる気がしない。
「……それでも、生き残んねぇといけねぇんだよなぁ」
「そうだな」
暫くして、朝の寒さに一行が次々に目を覚ましていく。焚き火の火を点けていたらこうもすんなり起きてくれていなかっただろうなと、シェラが始末をしていった焚き火の跡を見下ろした。
荷物の中から上着を取り出して羽織っている生徒に、リィが歩けば温かくなると言っているが、その判断は各自に任せればいいと思ったのでシルビは何も言わない。
昨日の一本道へまで皆で戻って、そこからリィが道の先にキャンプ場が無かった事と、河原があった事を説明しながら歩き出す。
途中から下りになった道の先は、岩場の連なる河原で終わっていた。大き目の洞窟が近くにある他は、岩と森しか目に付くものは無い。河原自体、河原と表現するには小さくて流れも緩やかな浅い小川だ。
先に来ていたシェラがその小川を覗き込んで難しい顔をしている。
「どうやら魚は無理のようです」
「そうか。じゃあ、森かな」