ヴェロニカの嵐
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シルビが森の中に用意された焚き火の元へと着くと、既に一行は焚き火を囲んで話し合っていた。といっても話しているのは主にリィだ。
焚き火へ木の枝をくべているシェラへリィとシェラの荷物を渡すと、シルビが到着した事に気付いたリィが振り返る。
「おそかったな」
「周りを見ながら来たからなぁ。ちょっとどころじゃなく変だったぜぇ」
「ちょうどその話をしてたとこだよ」
自分の荷物も降ろし、鞄からウォレットチェーンを外して腰へ付けた。こんな状況になっては付けないでいるほうが心許無い。
歩いてきた一本道の不自然さをハンス達へ説明するリィの声を聞きながら、シルビは焚き火から離れて森の中で石を探す。手頃な石を見つけ、それを砕いて鋭利に尖らせて戻ればリィが立ち上がっていた。
「何してたんだ?」
「即席ナイフ」
掌に乗る程度の小さな石片を見せれば、リィはちょっと面白そうな顔をする。
「思ってたよりもシルビは慣れてるんだな」
「持ってねぇと不安なんだよぉ」
軽口を返せばハンスが立ち上がってリィへ怒鳴った。
「きみ一人で行かせるわけにはいかない。どうしてもというのなら、僕も行く」
「いいから、寮長は休んでろ」
怒鳴るハンスを置いてリィが焚き火から離れていく。方向的には一本道の先だ。話を聞いていなかったせいで一人状況が読めないシルビがシェラを見れば、シェラは大して心配している様子も無く教えてくれた。
本当にあの一本道の先にキャンプ場があるのか確認に行ったらしい。リィが座っていた場所へ腰を降ろせば、ハンスが助言を求めるかのような顔をしてシルビを見る。
「シルビ……」
「リィは自分が出来ねぇことを無理にやるヤツじゃねぇ。ハンス寮長も知ってんだろぉ?」
「それは、そうだが……」
「どうしても気になるなら一緒に追いかけてみるかぁ? 灯りが無くて途中で立ち往生してお終いだと思うぜぇ」
さっきの暗闇を忘れたわけでは有るまいと暗に告げれば、ハンスはまだ悩んでいるながらもリィを追いかけようという気は無くなったらしい。
作ったばかりの即席『武器』を手の中で弄っていれば、囁きあうように小声で不安を話し合っていた皆も、歩き続けた疲れもあってか早いうちに寝入ってしまった。ハンスもリィが戻ってくるまで起きているつもりらしかったが、暫くすると寝息を立て始める。
気付けばシルビとシェラ以外の皆が寝ていたが、シルビは寝る気になれない。パチパチと時々爆ぜる炎を見守るように、シルビとシェラだけがずっと起きていた。
焚き火へ木の枝をくべているシェラへリィとシェラの荷物を渡すと、シルビが到着した事に気付いたリィが振り返る。
「おそかったな」
「周りを見ながら来たからなぁ。ちょっとどころじゃなく変だったぜぇ」
「ちょうどその話をしてたとこだよ」
自分の荷物も降ろし、鞄からウォレットチェーンを外して腰へ付けた。こんな状況になっては付けないでいるほうが心許無い。
歩いてきた一本道の不自然さをハンス達へ説明するリィの声を聞きながら、シルビは焚き火から離れて森の中で石を探す。手頃な石を見つけ、それを砕いて鋭利に尖らせて戻ればリィが立ち上がっていた。
「何してたんだ?」
「即席ナイフ」
掌に乗る程度の小さな石片を見せれば、リィはちょっと面白そうな顔をする。
「思ってたよりもシルビは慣れてるんだな」
「持ってねぇと不安なんだよぉ」
軽口を返せばハンスが立ち上がってリィへ怒鳴った。
「きみ一人で行かせるわけにはいかない。どうしてもというのなら、僕も行く」
「いいから、寮長は休んでろ」
怒鳴るハンスを置いてリィが焚き火から離れていく。方向的には一本道の先だ。話を聞いていなかったせいで一人状況が読めないシルビがシェラを見れば、シェラは大して心配している様子も無く教えてくれた。
本当にあの一本道の先にキャンプ場があるのか確認に行ったらしい。リィが座っていた場所へ腰を降ろせば、ハンスが助言を求めるかのような顔をしてシルビを見る。
「シルビ……」
「リィは自分が出来ねぇことを無理にやるヤツじゃねぇ。ハンス寮長も知ってんだろぉ?」
「それは、そうだが……」
「どうしても気になるなら一緒に追いかけてみるかぁ? 灯りが無くて途中で立ち往生してお終いだと思うぜぇ」
さっきの暗闇を忘れたわけでは有るまいと暗に告げれば、ハンスはまだ悩んでいるながらもリィを追いかけようという気は無くなったらしい。
作ったばかりの即席『武器』を手の中で弄っていれば、囁きあうように小声で不安を話し合っていた皆も、歩き続けた疲れもあってか早いうちに寝入ってしまった。ハンスもリィが戻ってくるまで起きているつもりらしかったが、暫くすると寝息を立て始める。
気付けばシルビとシェラ以外の皆が寝ていたが、シルビは寝る気になれない。パチパチと時々爆ぜる炎を見守るように、シルビとシェラだけがずっと起きていた。