ヴェロニカの嵐
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ヴェロニカへ到着する日。添乗員による最終的な荷物検査の後、シルビがチェックを終えられた荷物を入れ直しているとリィが不思議そうに話しかけてきた。
「その鎖って、ウォレットチェーンだろ?」
「ん、これかぁ。アクセサリーとして持ってたら没収されそうだからなぁ」
リィに指摘されたウォレットチェーンは現在、荷物を入れる鞄へと装着させている。身に着けていればファッションアクセサリーは不要と没収されてしまうだろうものも、こうして鞄へ付けておけば、一つくらいなら個人の鞄を示すものとして大目に見られるのだ。
体験学習中はおそらくずっと鞄のアクセサリーとなってしまうだろうが、これと腕輪に関してシルビは何処かへ置いて出かけるという妥協はしない。本当はもう一つ愛用のナイフも持ち歩きたいのだが、それに関しては見つかった場合即に銃刀法違反となってしまう為、妥協せざるを得なかった。
ちなみに腕輪は、邪魔にならないアクセサリーとしてギリギリ許可されている。他の子達も腕時計や過美にならない程度の装飾品はしているので、日常生活で邪魔にならないのならと許されたのだろう。
それから数刻も経たないうちに、送迎船《ロビンソン》は惑星ヴェロニカへと着陸した。
約二日ぶりの地面を踏み締め大きく伸びをすれば、傍ではリィも深呼吸をしている。
「空気がうまいな」
リィの言う通りだ。空気は眠気も飛ぶほど冷たく、しかし日差しの暑さと相まって心地よく感じられる。空を見上げれば高層ビルも何も無い為に、どこまでも見えそうな青い色が広がっていた。この調子なら夜にもなれば星が綺麗だろう。
添乗員が非常用の通信機と緊急信号発信機を、最上級生であるハンスとフランクへ渡していた。船内の説明で聞いた限りではキャンプ場まで六キロの道のりだった筈だ。だとすれば何かあった場合、走って知らせたほうが早いと思うのはシルビだけだろう。もしくはリィとシェラもか。
キャンプ場へと向かって歩き出す生徒達の背後で、送迎船が空へと浮かび上がっていく。シルビはハンスに一声かけてからリィやシェラと一緒に最後尾に就いて歩き出した。
足元へ転がっていた小石を蹴り飛ばし、小声で同じ疑問を持ったらしいリィへ話し掛ける。
「わざわざ造った道かなぁ。元々あった道を潰した訳でも無さそうだし、発着場所が今年から変わったのか。どう思う?」
「……ちょっと妙だよな」
キャンプ場へ続く一本道は、前を行くハンス達は気付いていない様子だったが、つい最近作られたかのように新しかった。
もしこれが、シルビの言った理由で造られた急ごしらえの道であったとしたら、この体験学習の運営者達は発着場所を変えただけであっても、わざわざ道を作っているということになる。だとすれば随分と情熱を掛けているのだろう。
「その鎖って、ウォレットチェーンだろ?」
「ん、これかぁ。アクセサリーとして持ってたら没収されそうだからなぁ」
リィに指摘されたウォレットチェーンは現在、荷物を入れる鞄へと装着させている。身に着けていればファッションアクセサリーは不要と没収されてしまうだろうものも、こうして鞄へ付けておけば、一つくらいなら個人の鞄を示すものとして大目に見られるのだ。
体験学習中はおそらくずっと鞄のアクセサリーとなってしまうだろうが、これと腕輪に関してシルビは何処かへ置いて出かけるという妥協はしない。本当はもう一つ愛用のナイフも持ち歩きたいのだが、それに関しては見つかった場合即に銃刀法違反となってしまう為、妥協せざるを得なかった。
ちなみに腕輪は、邪魔にならないアクセサリーとしてギリギリ許可されている。他の子達も腕時計や過美にならない程度の装飾品はしているので、日常生活で邪魔にならないのならと許されたのだろう。
それから数刻も経たないうちに、送迎船《ロビンソン》は惑星ヴェロニカへと着陸した。
約二日ぶりの地面を踏み締め大きく伸びをすれば、傍ではリィも深呼吸をしている。
「空気がうまいな」
リィの言う通りだ。空気は眠気も飛ぶほど冷たく、しかし日差しの暑さと相まって心地よく感じられる。空を見上げれば高層ビルも何も無い為に、どこまでも見えそうな青い色が広がっていた。この調子なら夜にもなれば星が綺麗だろう。
添乗員が非常用の通信機と緊急信号発信機を、最上級生であるハンスとフランクへ渡していた。船内の説明で聞いた限りではキャンプ場まで六キロの道のりだった筈だ。だとすれば何かあった場合、走って知らせたほうが早いと思うのはシルビだけだろう。もしくはリィとシェラもか。
キャンプ場へと向かって歩き出す生徒達の背後で、送迎船が空へと浮かび上がっていく。シルビはハンスに一声かけてからリィやシェラと一緒に最後尾に就いて歩き出した。
足元へ転がっていた小石を蹴り飛ばし、小声で同じ疑問を持ったらしいリィへ話し掛ける。
「わざわざ造った道かなぁ。元々あった道を潰した訳でも無さそうだし、発着場所が今年から変わったのか。どう思う?」
「……ちょっと妙だよな」
キャンプ場へ続く一本道は、前を行くハンス達は気付いていない様子だったが、つい最近作られたかのように新しかった。
もしこれが、シルビの言った理由で造られた急ごしらえの道であったとしたら、この体験学習の運営者達は発着場所を変えただけであっても、わざわざ道を作っているということになる。だとすれば随分と情熱を掛けているのだろう。