スペシャリストの誇り
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被疑者は数人の年端も行かぬ医大生。そしてその全員が既に死亡したという事で終焉を迎えた、連続殺人及び死体遺棄事件より一週間後。シルビはルウより電話を貰ってレティシアが入院している病院へと赴いた。
「早かったね」
「待たせるのもどうかと思ってぇ。病室は?」
「もう確認してあるよ。……それ、プリン?」
「ああうん。久しぶりに作ったから味の保障はしねぇけど」
見舞いと聞いて作ったプリンの入っている紙袋を僅かに上げれば、ルウは自分が貰ったかのように笑みを浮かべる。
「シルビもお菓子作れるんだね」
「昔は一人暮らしとか、年下の子が居たりしたからなぁ」
「へぇ。今度一緒に作らない?」
「なんでだぁ?」
「だって、レティシアにばっかりシルビとられてたら、なんか悔しいんだもの」
病院の外来受付を抜けて、昇降機の扉の前で立ち止まったシルビに、ルウはにこりと微笑んだ。
「……いつから気付いてたぁ?」
「いつからって訳じゃない。鎌をかけただけなんだけど、当たってた?」
「俺は何もしてねぇぞぉ」
「うん。彼の相談に乗って、彼に掛けられた疑いの目を、ちょっとずらしただけだよね」
横目で見たルウは機嫌が悪いようには見えない。
連続殺人事件の最後の被害者の一人であるレティシアだが、実際のところは犯人が判明した今回の件だけは、レティシアが行なったものなのだろうとシルビは確信していた。
しかしそうなると、喫茶店でダン達と話をした折に言わなかった事も確信へと変わる。レティシアは警察の扱いも覚えてしまった。
事件の話をしたあの時、もしシルビがレティシアへそれでも動くなと伝えていたら、事件は解決していなかっただろうが、犯人である医大生が死ぬ事も無かったのではと思う。
死人に口なし。レティシアの行為はそういうことだ。
話では共犯者の一人が生き残っているらしい。その辺はレティシアの思うところがあっての行動だろうが、そこからまた問題が起こったら、レティシアはまたシルビに『相談』しに来るのだろうかと思う。
「……お前らって、なんでそんなに俺のこと気に入ってんだぁ?」
「一般市民の先輩だからじゃない?」
「だからって、基準にしていい相手じゃねぇよ俺は」
「少なくとも僕よりはマシだよ」
明るく自分を卑下する親しくなったばかりの友人に、シルビは深く息を吐き出して到着した昇降機へ乗り込む。
「お前らがはやく一般市民になってくれると、俺としては随分楽になるんだがなぁ」
「だから手伝うの?」
「……もう俺はお前等と友人になる覚悟をしたんだよぉ」
「早かったね」
「待たせるのもどうかと思ってぇ。病室は?」
「もう確認してあるよ。……それ、プリン?」
「ああうん。久しぶりに作ったから味の保障はしねぇけど」
見舞いと聞いて作ったプリンの入っている紙袋を僅かに上げれば、ルウは自分が貰ったかのように笑みを浮かべる。
「シルビもお菓子作れるんだね」
「昔は一人暮らしとか、年下の子が居たりしたからなぁ」
「へぇ。今度一緒に作らない?」
「なんでだぁ?」
「だって、レティシアにばっかりシルビとられてたら、なんか悔しいんだもの」
病院の外来受付を抜けて、昇降機の扉の前で立ち止まったシルビに、ルウはにこりと微笑んだ。
「……いつから気付いてたぁ?」
「いつからって訳じゃない。鎌をかけただけなんだけど、当たってた?」
「俺は何もしてねぇぞぉ」
「うん。彼の相談に乗って、彼に掛けられた疑いの目を、ちょっとずらしただけだよね」
横目で見たルウは機嫌が悪いようには見えない。
連続殺人事件の最後の被害者の一人であるレティシアだが、実際のところは犯人が判明した今回の件だけは、レティシアが行なったものなのだろうとシルビは確信していた。
しかしそうなると、喫茶店でダン達と話をした折に言わなかった事も確信へと変わる。レティシアは警察の扱いも覚えてしまった。
事件の話をしたあの時、もしシルビがレティシアへそれでも動くなと伝えていたら、事件は解決していなかっただろうが、犯人である医大生が死ぬ事も無かったのではと思う。
死人に口なし。レティシアの行為はそういうことだ。
話では共犯者の一人が生き残っているらしい。その辺はレティシアの思うところがあっての行動だろうが、そこからまた問題が起こったら、レティシアはまたシルビに『相談』しに来るのだろうかと思う。
「……お前らって、なんでそんなに俺のこと気に入ってんだぁ?」
「一般市民の先輩だからじゃない?」
「だからって、基準にしていい相手じゃねぇよ俺は」
「少なくとも僕よりはマシだよ」
明るく自分を卑下する親しくなったばかりの友人に、シルビは深く息を吐き出して到着した昇降機へ乗り込む。
「お前らがはやく一般市民になってくれると、俺としては随分楽になるんだがなぁ」
「だから手伝うの?」
「……もう俺はお前等と友人になる覚悟をしたんだよぉ」