スペシャリストの誇り
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
肩を落とすように話し合っているシルビとダンを女性が訝しげに見ていたが、写真を見たレティシアの発言に振り返って唖然とした。
「どう見たってど素人のやり口じゃねえか!オレがこれを? 冗談じゃないぜ。断固として講義するね」
そこまで憤慨するレティシアに、シルビもレティシアが持っていた写真を見ようと隣へ立つ。レティシアを挟んで反対側からはリィが覗き込んでいて、レティシアは憤りながらもしっかりシルビ達が見やすいように持ち直した。
連続殺人事件の被害者の写真だ。遺体全体を写されたもので到るところに切り刻まれた痕跡がある。良く見れば縫合の糸も見えなくはない。
間接や筋肉に沿って線が入っていたり、かと思えば無理な方向へ切ろうとした跡もあったりする。なるほど「斬るプロ」であればそんな部分へ刃を入れたりはしない。
シルビはあまり医学には詳しいと言えないが、それでもこれは杜撰だと分かる。テーブルへ散らばる切断痕跡箇所の拡大部分が写された写真を数枚手に取り、見比べてみた。
「どいつもこいつも人間を斬るのは生まれて初めての奴ばっかりじゃん」
「……初めて、って言うより、片手で数える程度じゃねぇ? その中でも上手い奴が指導するみてぇに斬ってる……」
「それここの部分だろ? っていうかお前も分かる口か」
「何と言ったの、今?」
「だから、何でこれがオレの仕業になるのかって」
「その前よ! どいつもこいつもですって? それにあなたもその中でもって」
「そうだよ」
叫んだ女性を振り返れば、ヴァンツァーがシルビの持っていた写真を確認するように覗き込んでくる。
「違うか? オレには皆、同じ手に見えたが……」
「そう見えるのも無理ねえよ。どれも下手くその初心者なのは間違いないんだ」
「お前も分かるのか?」
「俺はただの観察力。でも俺の場合初心者の手だから判別が付くって感じだなぁ」
肩をすくめて写真の此処とここが違うと示してやれば、ヴァンツァーはその部分を見比べてみていた。後ろではレティシアと女性が言い合っている。
「使用された凶器は同一のものなのよ!」
ちらりと振り返った先で女性がそう声高に訴えた。けれどもそれは、この場に居る半数以上を脱力させる言葉でしかない。
連続殺人で推定された凶器は同一。しかしだからと言って犯人が単独であるという保障はどこにも存在しないのだ。
何故なら凶器は結局のところただの『道具』でしかないのだから。
ヴァンツァーが呆れたように音楽家で例えていたが、分かりやすいとは言え音楽家で説明するのはどうかとシルビは思った。
そこはせめて料理人にすればいいのに。
「どう見たってど素人のやり口じゃねえか!オレがこれを? 冗談じゃないぜ。断固として講義するね」
そこまで憤慨するレティシアに、シルビもレティシアが持っていた写真を見ようと隣へ立つ。レティシアを挟んで反対側からはリィが覗き込んでいて、レティシアは憤りながらもしっかりシルビ達が見やすいように持ち直した。
連続殺人事件の被害者の写真だ。遺体全体を写されたもので到るところに切り刻まれた痕跡がある。良く見れば縫合の糸も見えなくはない。
間接や筋肉に沿って線が入っていたり、かと思えば無理な方向へ切ろうとした跡もあったりする。なるほど「斬るプロ」であればそんな部分へ刃を入れたりはしない。
シルビはあまり医学には詳しいと言えないが、それでもこれは杜撰だと分かる。テーブルへ散らばる切断痕跡箇所の拡大部分が写された写真を数枚手に取り、見比べてみた。
「どいつもこいつも人間を斬るのは生まれて初めての奴ばっかりじゃん」
「……初めて、って言うより、片手で数える程度じゃねぇ? その中でも上手い奴が指導するみてぇに斬ってる……」
「それここの部分だろ? っていうかお前も分かる口か」
「何と言ったの、今?」
「だから、何でこれがオレの仕業になるのかって」
「その前よ! どいつもこいつもですって? それにあなたもその中でもって」
「そうだよ」
叫んだ女性を振り返れば、ヴァンツァーがシルビの持っていた写真を確認するように覗き込んでくる。
「違うか? オレには皆、同じ手に見えたが……」
「そう見えるのも無理ねえよ。どれも下手くその初心者なのは間違いないんだ」
「お前も分かるのか?」
「俺はただの観察力。でも俺の場合初心者の手だから判別が付くって感じだなぁ」
肩をすくめて写真の此処とここが違うと示してやれば、ヴァンツァーはその部分を見比べてみていた。後ろではレティシアと女性が言い合っている。
「使用された凶器は同一のものなのよ!」
ちらりと振り返った先で女性がそう声高に訴えた。けれどもそれは、この場に居る半数以上を脱力させる言葉でしかない。
連続殺人で推定された凶器は同一。しかしだからと言って犯人が単独であるという保障はどこにも存在しないのだ。
何故なら凶器は結局のところただの『道具』でしかないのだから。
ヴァンツァーが呆れたように音楽家で例えていたが、分かりやすいとは言え音楽家で説明するのはどうかとシルビは思った。
そこはせめて料理人にすればいいのに。