スペシャリストの誇り
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「で、なんだっけぇ?」
「殺人犯に加われって話だ。サンデナンの方で殺人事件が起こったのは知ってんだろ?」
「一回切り刻まれたのをまた戻して遺棄してるヤツかぁ? ニュースで見たけどありゃ臓器売買の目くらましじゃねぇの?」
「臓器移植の話か? アンタも突飛なことを思いつくな。でも実際は違うみてぇだぜ」
「へぇ」
淡々と話しているが、もしこれを誰かが聞いていたら青褪めて通報されるだろうなという懸念はしっかりとある。
サンデナン大陸東海岸付近で、連続で中年男性の死体が発見された。警察の調べによってその死体が死後数日経っていることと、一度その全身が切り刻まれたり内蔵を摘出された後、再び中へ押し戻されたり縫合された痕跡があることは、シルビだけではなく知っている。
大学惑星という、子供が大多数を占める星でそんな凄惨な事件が起こったこと。そして死体が遺棄された現場で、遺棄される瞬間についての記録が存在しない事が話題となって、注目を集めていた。
シルビも当然その事件についてはニュースで報道された程度の知識しか持って居なかったので、他人事のように臓器売買の不要部分の廃棄かと思っていたが、レティシアはそれを否定する。
「この前セム大の医学部で解剖実習をやったんだ」
「楽しかったぁ?」
「まぁそれなりに。で、その後から馴れ馴れしく声を掛けてくる奴らが居る。仲間になれとか言って誘って来るんだが、肝心の『何』の仲間かまでは一切言わねえんだ」
溜め息を吐いて、シルビは空になったカップを脇へ避けた。
「……そこまで怪しんでくださいって奴等を、なんで放置してんだぁ?」
「分からねえからさ」
「分からねぇ?」
「アンタが今までどういう仕事の仕方をしてたか知らねえけど、オレは一つの場所へ留まり続けて隠し続けるってのをした事が無い。だから自分の手が疑われるような状況をどう回避すればいいのか困ってんだよ」
「生活指導部の相談員に話せぇ」
「そんな程度で片付くと思ったらお前に相談しねえって」
それもそうだ。レティシアを観察すれば顔は笑っているものの、結構困っているのではとも思う。演技かもしれないが相談を受けてしまった以上、シルビは腕を組んで椅子の背凭れへ寄りかかった。
「それって一人?」
「いんや、集団だ。実習の時の一グループだと考えていい」
「レティシアを誘ってるってことはまだ再犯の可能性がある……」
「それどころかもうやってるかもな」
見つかった遺体は今のところ三体。どれも切り刻まれて内臓を取り出した後、再び出来るだけ元通りにして遺棄されている。
「殺人犯に加われって話だ。サンデナンの方で殺人事件が起こったのは知ってんだろ?」
「一回切り刻まれたのをまた戻して遺棄してるヤツかぁ? ニュースで見たけどありゃ臓器売買の目くらましじゃねぇの?」
「臓器移植の話か? アンタも突飛なことを思いつくな。でも実際は違うみてぇだぜ」
「へぇ」
淡々と話しているが、もしこれを誰かが聞いていたら青褪めて通報されるだろうなという懸念はしっかりとある。
サンデナン大陸東海岸付近で、連続で中年男性の死体が発見された。警察の調べによってその死体が死後数日経っていることと、一度その全身が切り刻まれたり内蔵を摘出された後、再び中へ押し戻されたり縫合された痕跡があることは、シルビだけではなく知っている。
大学惑星という、子供が大多数を占める星でそんな凄惨な事件が起こったこと。そして死体が遺棄された現場で、遺棄される瞬間についての記録が存在しない事が話題となって、注目を集めていた。
シルビも当然その事件についてはニュースで報道された程度の知識しか持って居なかったので、他人事のように臓器売買の不要部分の廃棄かと思っていたが、レティシアはそれを否定する。
「この前セム大の医学部で解剖実習をやったんだ」
「楽しかったぁ?」
「まぁそれなりに。で、その後から馴れ馴れしく声を掛けてくる奴らが居る。仲間になれとか言って誘って来るんだが、肝心の『何』の仲間かまでは一切言わねえんだ」
溜め息を吐いて、シルビは空になったカップを脇へ避けた。
「……そこまで怪しんでくださいって奴等を、なんで放置してんだぁ?」
「分からねえからさ」
「分からねぇ?」
「アンタが今までどういう仕事の仕方をしてたか知らねえけど、オレは一つの場所へ留まり続けて隠し続けるってのをした事が無い。だから自分の手が疑われるような状況をどう回避すればいいのか困ってんだよ」
「生活指導部の相談員に話せぇ」
「そんな程度で片付くと思ったらお前に相談しねえって」
それもそうだ。レティシアを観察すれば顔は笑っているものの、結構困っているのではとも思う。演技かもしれないが相談を受けてしまった以上、シルビは腕を組んで椅子の背凭れへ寄りかかった。
「それって一人?」
「いんや、集団だ。実習の時の一グループだと考えていい」
「レティシアを誘ってるってことはまだ再犯の可能性がある……」
「それどころかもうやってるかもな」
見つかった遺体は今のところ三体。どれも切り刻まれて内臓を取り出した後、再び出来るだけ元通りにして遺棄されている。