スペシャリストの誇り
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「いやあ、話を聞いてくれるとは思わなかったぜ」
「俺もそんな事を言われるなんて思っちゃいなかったぜぇ」
ログ・セール西海岸、エクサス寮の談話室でココアを飲む少年を前に、シルビはカフェラテへと口を付ける。シルビが暮らすフォンダム寮とは作り方を変えているのか、こちらのほうがシルビの口に合っていた。
「いったいどういう心境の変化があったか知らねえけど、ありがたいこった」
「……言っとくけど、俺にだって無理な相談はあるからなぁ」
不貞腐れた気分を隠さないまま念を入れたシルビに、シルビを招待した知り合いであるレティシアは猫のように目を細めて笑う。
事の始まりは数日前、その日シルビが通っているヴェルナール校からフォンダム寮へ帰宅し、自室でレポートの作成をしていたところに携帯端末へ通信が来た。
それが出会いは最近だが濃めな付き合いをしているレティシアから。聞けば相談したい事があるから会えないかという話だった。
携帯端末では話せないのかと聞けば、出来れば盗み聞きされる危険は減らしたいなどとほざくので、仕方無しに予定を空けた数日後の今日、わざわざ一時間近く掛かる別大陸の寮へまで足を運んだのである。
普通なら相談事がある側が出向くべきだろうという反論もあるであろう常識は、出会い頭にレティシアへ告げてみたものの、レティシアはシルビが予想した通りの反論でその話を終わらせた。それからとりあえず落ち着いて話せる場所、ということでエクサス寮の中へ案内され今に到る。
カフェラテのレベルが高いことに機嫌は戻ったものの、シルビの心情にちょっかいをかけてきてなかなか本題へ入らないレティシアに、シルビはもう一杯奢らせようかと考えた。
「殺人犯に加われって誘いを受けたら、アンタならどうする?」
かと思えば不自然さなんて言葉を強引に押し潰して本題らしきものへ入ってくるのだから、シルビは努めて冷静にカップをソーサーへ戻す。
「何レティシア。お前さん前職バレてんのかぁ?」
「オレがばれるようなヘマするかよ」
「俺にばれてるじゃねぇかぁ」
「アンタはいいんだよ。同類だろ?」
ふざけるな、お前達ほど熟練してねぇと言いそうになったが、そういう問題ではない。
「同類と見なしても構わねぇけど、暗殺業なんざ最初と次の数十年しかやってねぇよ」
「普通は数十年やれば本職だろうが。ていうか、暗殺以外もやってんのか?」
「ノーコメント」
話してやるほど自分とお前は親しくなっていないだろうと暗に込めてそう言えば、レティシアはまたチェシャ猫のように笑った。
「俺もそんな事を言われるなんて思っちゃいなかったぜぇ」
ログ・セール西海岸、エクサス寮の談話室でココアを飲む少年を前に、シルビはカフェラテへと口を付ける。シルビが暮らすフォンダム寮とは作り方を変えているのか、こちらのほうがシルビの口に合っていた。
「いったいどういう心境の変化があったか知らねえけど、ありがたいこった」
「……言っとくけど、俺にだって無理な相談はあるからなぁ」
不貞腐れた気分を隠さないまま念を入れたシルビに、シルビを招待した知り合いであるレティシアは猫のように目を細めて笑う。
事の始まりは数日前、その日シルビが通っているヴェルナール校からフォンダム寮へ帰宅し、自室でレポートの作成をしていたところに携帯端末へ通信が来た。
それが出会いは最近だが濃めな付き合いをしているレティシアから。聞けば相談したい事があるから会えないかという話だった。
携帯端末では話せないのかと聞けば、出来れば盗み聞きされる危険は減らしたいなどとほざくので、仕方無しに予定を空けた数日後の今日、わざわざ一時間近く掛かる別大陸の寮へまで足を運んだのである。
普通なら相談事がある側が出向くべきだろうという反論もあるであろう常識は、出会い頭にレティシアへ告げてみたものの、レティシアはシルビが予想した通りの反論でその話を終わらせた。それからとりあえず落ち着いて話せる場所、ということでエクサス寮の中へ案内され今に到る。
カフェラテのレベルが高いことに機嫌は戻ったものの、シルビの心情にちょっかいをかけてきてなかなか本題へ入らないレティシアに、シルビはもう一杯奢らせようかと考えた。
「殺人犯に加われって誘いを受けたら、アンタならどうする?」
かと思えば不自然さなんて言葉を強引に押し潰して本題らしきものへ入ってくるのだから、シルビは努めて冷静にカップをソーサーへ戻す。
「何レティシア。お前さん前職バレてんのかぁ?」
「オレがばれるようなヘマするかよ」
「俺にばれてるじゃねぇかぁ」
「アンタはいいんだよ。同類だろ?」
ふざけるな、お前達ほど熟練してねぇと言いそうになったが、そういう問題ではない。
「同類と見なしても構わねぇけど、暗殺業なんざ最初と次の数十年しかやってねぇよ」
「普通は数十年やれば本職だろうが。ていうか、暗殺以外もやってんのか?」
「ノーコメント」
話してやるほど自分とお前は親しくなっていないだろうと暗に込めてそう言えば、レティシアはまたチェシャ猫のように笑った。