嘆きのサイレン
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クインビーで突きまわされて捕捉されるという、いささか乱暴な保護をされた船から出てきたのは、五年生が二人とジェームズ・マクスウェルの三人。
たった三人だった。
《パルマ》から降ろされてジャスミンによって《パラス・アテナ》内の船室へ入れられた三人を、シルビはダイアナが用意した飲み物を運ぶ自動機械の横で眺める。ヴェルナールへ戻るまでの彼等の面倒をダイアナへ頼まれてしまったのだ。
シルビの予想通り、小惑星帯へ突っ込む寸前だったという恐怖体験をした三人は、酷く憔悴していた。特に主犯だと思われる五年生二人は毛布に身を包んで泣き続けており、ジャスミンの絶対零度に近い視線にも気づいた様子が無い。
主犯ではないにしても今回の騒動に自ら混ざりこんだジェームズは、ジャスミンと入れ替わりに入口へシルビが来た事に気付くと思ったよりも気丈に見返してきた。その手に自動機械から取り出した暖かい飲み物を渡してやり、その前へ腰を降ろす。
「……お前らのせいで、俺まで退学の危機だぁ」
ジェームズは何も言わなかった。言えなかったというべきか。ここで謝ってきたとしてもシルビは許すつもりは無かったし、むしろ謝ってきたらその程度で済むと思うなと説教していただろう。
巻き込んできたのはジャスミンだけれど、ジェームズ達がこんな騒ぎを起こさなければ、シルビは巻き込まれる事さえなかった。
「……船に乗れなくなったら、俺は探しにも行けねぇよ」
「……探しに?」
俯いて頭を抱えたシルビの正面から、ジェームズの声がする。
「俺が操縦課程を学んでるのは、会いてぇ人が居るからだぁ。その為には公然と宙を飛べる資格が無くちゃいけねぇ。小型でも軍艦でも民間でも戦闘機でも何でもいい。ただ船に乗れねぇと探しに行けねぇんだよ」
何処にいるのかも分からない。そもそも生きているかどうかさえ不明な人達だ。『×××』を使うか、ダイアナやルウへ頼めば一発で分かるだろうそれを、時間を掛けてでも遠回りであろうとも『人らしく』目指すのは、彼らへ対する礼儀である。
保身を気にするのも、操縦課程を大人しく学んでいるのもその為。見つけるまではシルビは『一般人』でありたいのだ。
「焦るのは俺でも分かるし、過信するのだって分からねぇことも無い。でもジェームズ。俺達は未熟だよ」
「……うん」
噛み締めるようなその返事にシルビは顔を上げ立ち上がる。泣いているせいで顔が色々と酷いことになっている五年生の二人にも飲み物を渡して船室を出た。
たった三人だった。
《パルマ》から降ろされてジャスミンによって《パラス・アテナ》内の船室へ入れられた三人を、シルビはダイアナが用意した飲み物を運ぶ自動機械の横で眺める。ヴェルナールへ戻るまでの彼等の面倒をダイアナへ頼まれてしまったのだ。
シルビの予想通り、小惑星帯へ突っ込む寸前だったという恐怖体験をした三人は、酷く憔悴していた。特に主犯だと思われる五年生二人は毛布に身を包んで泣き続けており、ジャスミンの絶対零度に近い視線にも気づいた様子が無い。
主犯ではないにしても今回の騒動に自ら混ざりこんだジェームズは、ジャスミンと入れ替わりに入口へシルビが来た事に気付くと思ったよりも気丈に見返してきた。その手に自動機械から取り出した暖かい飲み物を渡してやり、その前へ腰を降ろす。
「……お前らのせいで、俺まで退学の危機だぁ」
ジェームズは何も言わなかった。言えなかったというべきか。ここで謝ってきたとしてもシルビは許すつもりは無かったし、むしろ謝ってきたらその程度で済むと思うなと説教していただろう。
巻き込んできたのはジャスミンだけれど、ジェームズ達がこんな騒ぎを起こさなければ、シルビは巻き込まれる事さえなかった。
「……船に乗れなくなったら、俺は探しにも行けねぇよ」
「……探しに?」
俯いて頭を抱えたシルビの正面から、ジェームズの声がする。
「俺が操縦課程を学んでるのは、会いてぇ人が居るからだぁ。その為には公然と宙を飛べる資格が無くちゃいけねぇ。小型でも軍艦でも民間でも戦闘機でも何でもいい。ただ船に乗れねぇと探しに行けねぇんだよ」
何処にいるのかも分からない。そもそも生きているかどうかさえ不明な人達だ。『×××』を使うか、ダイアナやルウへ頼めば一発で分かるだろうそれを、時間を掛けてでも遠回りであろうとも『人らしく』目指すのは、彼らへ対する礼儀である。
保身を気にするのも、操縦課程を大人しく学んでいるのもその為。見つけるまではシルビは『一般人』でありたいのだ。
「焦るのは俺でも分かるし、過信するのだって分からねぇことも無い。でもジェームズ。俺達は未熟だよ」
「……うん」
噛み締めるようなその返事にシルビは顔を上げ立ち上がる。泣いているせいで顔が色々と酷いことになっている五年生の二人にも飲み物を渡して船室を出た。