嘆きのサイレン
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ヴェルナール校の総管理室へと着いた途端、ジャスミンの後ろへ居たシルビは教科主任や管理官の視線へ晒された。何故か強張っている顔色にどうして生徒がという疑問符が浮かぶ。
「輸送船《パルマ》の反応は」
「……依然として探知機に反応はありません」
探知機と画面へ映し出される宙図。宙図は連邦大学のすぐ外、ヴェルナール校がよく演習に使うステーションとの間の区間を映している。
ということはその区間で何か問題が発生したのか。管理官とジャスミンとの会話からして行方不明になった船があると推測して、シルビはジャスミンよりも前に出ないようにしながら宙図を眺める。
船が一隻行方不明になったとして。それでどうしてシルビが呼ばれるのか。
「シルビ」
管理官や教科主任と話していたジャスミンが振り返る。
「格納庫から生徒数名が輸送船《パルマ》を奪い無断発進した。その後シャトルが航路を外れ反応を消している。今もなお探知機を総動員して捜索をしているが成果は無い。《パルマ》は昨晩訓練に使われた後、今朝備品補充の為地上へ戻っているところだった」
「……つまり、燃料も宇宙服などの備品も無ぇ、と?」
「そうだ。そしておそらく不良生徒達は感応頭脳を停止させた」
何処にいるのかも忘れて思わず舌打ちした。何年生で何人、どのくらいの成績だから分からないが、最上級生であったとしても手動操縦の訓練を受けていたとしても、燃料も足りない船で何処までも好き勝手が出来る訳も無く、そもそも燃料が殆ど無い船で宇宙へ飛び出している時点で馬鹿だ。
乗る前、せめて発進する前に気付くべきところに気付かない時点で、そいつ等は船乗りになる資格は無いとさえ思う。感応頭脳を停止させたのも自殺行為に等しい。
シルビとしては死にたい奴は勝手に死なせろと思うが、管理官達はそうはいかないのだろう。現状教官を引き受けているジャスミンもしかり。
「捜索を手伝ってくれないか」
「……俺はただの生徒なんですが」
教官達の都合など知らないと一蹴することは、流石にジャスミンを前にして出来なかった。しかし自分はただの生徒の一人であるという建前を前面に押し出す。そうしなければシルビは、以前クレイド宙域で保身を選んだ自分を意味の無いものにしてしまう。
ジャスミンはそんなシルビを見つめて、こんな状況だというのに少しだけ微笑んだ。このタイミングでそんな事をされれば、シルビのほうが困り果ててしまう。
シルビは『あの人達』へ会いたいだけだというのに。
「輸送船《パルマ》の反応は」
「……依然として探知機に反応はありません」
探知機と画面へ映し出される宙図。宙図は連邦大学のすぐ外、ヴェルナール校がよく演習に使うステーションとの間の区間を映している。
ということはその区間で何か問題が発生したのか。管理官とジャスミンとの会話からして行方不明になった船があると推測して、シルビはジャスミンよりも前に出ないようにしながら宙図を眺める。
船が一隻行方不明になったとして。それでどうしてシルビが呼ばれるのか。
「シルビ」
管理官や教科主任と話していたジャスミンが振り返る。
「格納庫から生徒数名が輸送船《パルマ》を奪い無断発進した。その後シャトルが航路を外れ反応を消している。今もなお探知機を総動員して捜索をしているが成果は無い。《パルマ》は昨晩訓練に使われた後、今朝備品補充の為地上へ戻っているところだった」
「……つまり、燃料も宇宙服などの備品も無ぇ、と?」
「そうだ。そしておそらく不良生徒達は感応頭脳を停止させた」
何処にいるのかも忘れて思わず舌打ちした。何年生で何人、どのくらいの成績だから分からないが、最上級生であったとしても手動操縦の訓練を受けていたとしても、燃料も足りない船で何処までも好き勝手が出来る訳も無く、そもそも燃料が殆ど無い船で宇宙へ飛び出している時点で馬鹿だ。
乗る前、せめて発進する前に気付くべきところに気付かない時点で、そいつ等は船乗りになる資格は無いとさえ思う。感応頭脳を停止させたのも自殺行為に等しい。
シルビとしては死にたい奴は勝手に死なせろと思うが、管理官達はそうはいかないのだろう。現状教官を引き受けているジャスミンもしかり。
「捜索を手伝ってくれないか」
「……俺はただの生徒なんですが」
教官達の都合など知らないと一蹴することは、流石にジャスミンを前にして出来なかった。しかし自分はただの生徒の一人であるという建前を前面に押し出す。そうしなければシルビは、以前クレイド宙域で保身を選んだ自分を意味の無いものにしてしまう。
ジャスミンはそんなシルビを見つめて、こんな状況だというのに少しだけ微笑んだ。このタイミングでそんな事をされれば、シルビのほうが困り果ててしまう。
シルビは『あの人達』へ会いたいだけだというのに。