嘆きのサイレン
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午前中の模擬演習が始まり、自分の演習の番が来る間レポートの確認をしていたシルビは、隣の席で机へ突っ伏している同級生を見る。
「死ぬなよぉ」
「……死にそう。午後からクーア教官の補習授業なんだよ」
「昨日言われた事を忘れてなけりゃ平気だろぉ?」
「あの人の言い方はこう、精神にクるんだよ。怒鳴られるのもヤだけどさー、それより淡々と『失格だ』とか『もういい』とか、折れる」
「元軍人らしいし、そういう言動が染み付いてるんじゃねぇの?」
「……オレ、軍人には絶対ならない」
それでも補習をサボろうとか口答えしようとはせず、昨日の演習で駄目だったところをシルビへ聞いてきたり、実際に他の教官へ尋ねたりしていたことを知っているシルビとしては、意外と軍属してもやっていけるのではと思う。
突っ伏した顔の下には、それをまとめたデータがあるのだ。今日の演習はジャスミンが教官ではないとは言え、活かすつもり満々な同級生に思わず笑みが浮かぶ。
そのタイミングで、教室の扉が勢い良く開かれた。
「シルビ・グラマトはいるか」
烈火のような髪を背後に扉を開いたジャスミンに、名前を呼ばれたシルビだけではなく教室にいた者全員が黙り込む。一拍置いてその視線がシルビへと集まった。
視線に込められた『お前何したんだ』という言葉が、シルビが名乗り出るのを躊躇させる。
ジャスミンは確実に機嫌を悪くしていた。背中へ流れる髪がその怒りに反応するように燃え上がっているように見えて、流石のシルビも尻込みしてしまう。
「シルビ!」
もう一度呼ばれて、シルビは覚悟を決めて立ち上がりジャスミンへと駆け寄った。背後で同級生が顔を青褪めさせながら『生きて帰ってこいよ』と言っていたので、無事に戻れたら一発殴ってやろうと思う。
「……何か問題でもありましたか」
「大有りだ。君の力を貸してくれ」
猫のようにシルビの襟首を掴みジャスミンが教室を出て行こうとするのに、慌てて教室のシミュレーターの傍に居た教官へ向けて叫ぶ。
「補習は受けるんで出席単位だけはくださいぃいいい!」
「なんだ、単位が足りないのか君は」
「貴方のせいで俺の単位を減らすようなことがあっていいと思っていません!」
「なるほど。なら私の責任だし主任へ掛け合ってやろう」
閉められた扉の向こうで同級生達が唖然としていた。とりあえずシルビのせいで怒っている訳では無さそうなので、ここは素直に手伝うのが一番正しい策だろう。
廊下でも引き摺られるのは困ったので、手を離してもらってジャスミンの後を大人しく付いていく事にした。
「死ぬなよぉ」
「……死にそう。午後からクーア教官の補習授業なんだよ」
「昨日言われた事を忘れてなけりゃ平気だろぉ?」
「あの人の言い方はこう、精神にクるんだよ。怒鳴られるのもヤだけどさー、それより淡々と『失格だ』とか『もういい』とか、折れる」
「元軍人らしいし、そういう言動が染み付いてるんじゃねぇの?」
「……オレ、軍人には絶対ならない」
それでも補習をサボろうとか口答えしようとはせず、昨日の演習で駄目だったところをシルビへ聞いてきたり、実際に他の教官へ尋ねたりしていたことを知っているシルビとしては、意外と軍属してもやっていけるのではと思う。
突っ伏した顔の下には、それをまとめたデータがあるのだ。今日の演習はジャスミンが教官ではないとは言え、活かすつもり満々な同級生に思わず笑みが浮かぶ。
そのタイミングで、教室の扉が勢い良く開かれた。
「シルビ・グラマトはいるか」
烈火のような髪を背後に扉を開いたジャスミンに、名前を呼ばれたシルビだけではなく教室にいた者全員が黙り込む。一拍置いてその視線がシルビへと集まった。
視線に込められた『お前何したんだ』という言葉が、シルビが名乗り出るのを躊躇させる。
ジャスミンは確実に機嫌を悪くしていた。背中へ流れる髪がその怒りに反応するように燃え上がっているように見えて、流石のシルビも尻込みしてしまう。
「シルビ!」
もう一度呼ばれて、シルビは覚悟を決めて立ち上がりジャスミンへと駆け寄った。背後で同級生が顔を青褪めさせながら『生きて帰ってこいよ』と言っていたので、無事に戻れたら一発殴ってやろうと思う。
「……何か問題でもありましたか」
「大有りだ。君の力を貸してくれ」
猫のようにシルビの襟首を掴みジャスミンが教室を出て行こうとするのに、慌てて教室のシミュレーターの傍に居た教官へ向けて叫ぶ。
「補習は受けるんで出席単位だけはくださいぃいいい!」
「なんだ、単位が足りないのか君は」
「貴方のせいで俺の単位を減らすようなことがあっていいと思っていません!」
「なるほど。なら私の責任だし主任へ掛け合ってやろう」
閉められた扉の向こうで同級生達が唖然としていた。とりあえずシルビのせいで怒っている訳では無さそうなので、ここは素直に手伝うのが一番正しい策だろう。
廊下でも引き摺られるのは困ったので、手を離してもらってジャスミンの後を大人しく付いていく事にした。