「四十年前」
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジャック視点
イブリスが死んだのはいつものように海賊行為を行った後、部下達の労いとして降り立った宇宙基地の酒場からの帰りだった。
酒をあまり好まないイブリスを連れて、先に船へ帰ろうとしていた部下達がゴロツキに絡まれたのだという。部下達は自分の船長と船の名を汚すような行為を良しとせず、それを無視して船へ戻ろうとしたところ、背後から撃たれたのだそうだ。
本来は違う部下が狙われていたが、それをイブリスが庇ったらしい。
一緒に居て目撃した部下が言うには、撃たれたイブリスは一瞬何かを思い出したかのような顔をして、それから倒れそうになった身体を立て直し、子供らしさの全く無い雰囲気でゴロツキへ向けて左手を伸ばして指を鳴らした。
途端、ゴロツキの身体が何処からとも無く燃え上がった赤い炎に絡め取られ、跡形も無く消滅したらしい。悲鳴も無くゴロツキが消えて地面に残った僅かな焦げ跡を見やって、イブリスが泣きそうな顔をするとイブリスの身体が指先から砂のように崩れていったという。
驚く部下達と違い、イブリス本人はまるでそうなる事が分かっていたかのように崩れていく自分の身体を見ていたそうだ。
イブリスの最期の言葉は、『また絶対、ちゃんと別れを言いに来る』
部下達が混乱しながらもかき集めて回収してきたイブリスの身体の残骸である砂は、ジャックがイブリスを見つけた惑星の、イブリスが閉じ込められていた鉱石が割れた後の砂にとても良く似ていた。
鉱石の惑星でイブリスを見つけ、拾った日から容姿の変わらない奴だとは誰もが思っていたけれど、まさか死に際まで変わっているだなんて誰も思っていなかっただろう。
けれどもイブリスを気味悪がる乗員は一人も居らず、むしろ砂になってしまった鉱石のうち、比較的塊として残るものを手元へ残したがる部下も居たくらいだ。
ジャックはそれを許可して残った砂を宙海に流し、一握り分だけ容れ物へ入れてブルーライトニングの中へと安置する。今までの他の乗員達も骨の一欠けらなどをそうしていたし、サブジェイもそう願った。
イブリスが眠っていた惑星は既に無い。だからきっと、ブルーライトニングの最期の日までそれらは一緒なのだろう。
数年後、ジャックは惑星トゥルークで『永眠』した。
イブリスが死んだのはいつものように海賊行為を行った後、部下達の労いとして降り立った宇宙基地の酒場からの帰りだった。
酒をあまり好まないイブリスを連れて、先に船へ帰ろうとしていた部下達がゴロツキに絡まれたのだという。部下達は自分の船長と船の名を汚すような行為を良しとせず、それを無視して船へ戻ろうとしたところ、背後から撃たれたのだそうだ。
本来は違う部下が狙われていたが、それをイブリスが庇ったらしい。
一緒に居て目撃した部下が言うには、撃たれたイブリスは一瞬何かを思い出したかのような顔をして、それから倒れそうになった身体を立て直し、子供らしさの全く無い雰囲気でゴロツキへ向けて左手を伸ばして指を鳴らした。
途端、ゴロツキの身体が何処からとも無く燃え上がった赤い炎に絡め取られ、跡形も無く消滅したらしい。悲鳴も無くゴロツキが消えて地面に残った僅かな焦げ跡を見やって、イブリスが泣きそうな顔をするとイブリスの身体が指先から砂のように崩れていったという。
驚く部下達と違い、イブリス本人はまるでそうなる事が分かっていたかのように崩れていく自分の身体を見ていたそうだ。
イブリスの最期の言葉は、『また絶対、ちゃんと別れを言いに来る』
部下達が混乱しながらもかき集めて回収してきたイブリスの身体の残骸である砂は、ジャックがイブリスを見つけた惑星の、イブリスが閉じ込められていた鉱石が割れた後の砂にとても良く似ていた。
鉱石の惑星でイブリスを見つけ、拾った日から容姿の変わらない奴だとは誰もが思っていたけれど、まさか死に際まで変わっているだなんて誰も思っていなかっただろう。
けれどもイブリスを気味悪がる乗員は一人も居らず、むしろ砂になってしまった鉱石のうち、比較的塊として残るものを手元へ残したがる部下も居たくらいだ。
ジャックはそれを許可して残った砂を宙海に流し、一握り分だけ容れ物へ入れてブルーライトニングの中へと安置する。今までの他の乗員達も骨の一欠けらなどをそうしていたし、サブジェイもそう願った。
イブリスが眠っていた惑星は既に無い。だからきっと、ブルーライトニングの最期の日までそれらは一緒なのだろう。
数年後、ジャックは惑星トゥルークで『永眠』した。