天使達の華劇
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「つまりアレは元々リィが着ていたドレスだったから、リィが着るべきだとルウが考えたと思ったとぉ?」
「恐らくな」
リィに頼まれて客席へと向かいながら、尋ねたシルビに答えたヴァンツァーの返事は短い。
レティシアやルウ、ついでにシェラとヴァンツァーもなのだが彼等の反応からして、リィが『王妃』だった頃はとても美しい姿だったようである。実際に見たことの無いシルビがレティシアへ憐れまれる程で、今回シェラが作ったドレスは元々リィが着たことのあるもの。
となると誰かがリィにそのドレスを着てもらいたくて、モデルの子を来させなくしたのでは。とリィは思ったらしい。その場合、リィが王妃だった事を知っている者が容疑者。このうちレティシアとルウだけが疑われるのは日頃の行いの差か。
そのリィは、現在更衣室であのドレスを着ている。
代わりのモデルが見つからず、棄権するかしないかの瀬戸際で、リィはシェラのこの二週間の苦労を無駄にさせない為にドレスを着ることを了承したのだ。
ルウによって女の身体になり十九歳にまで歳を取ったところまでは見たが、その後シルビはリィの命令で、客席での個人撮影を阻止する役目をシェラ以外の他の三人共々仰せつかったのである。
僅かとは言え見たリィの姿は、なるほど皆が男の姿へ戻ったことを残念がるほど見事なものだった。本人はその姿をあまり好んでいないようだったが、その辺の理由はシルビには分からない。その姿だった頃に何かあったのかもしれないし、単にリィの考えかも知れないからだ。
ただ、リィが言うまでシルビは聞かないほうが良いだろうなと思った。この件に関しては特に。
ステージの上を、シェラが作り上げた見事なドレスを着た姿で歩いてくる姿はまさしく『女神』だ。シルビは今まで数人の『女神』を見たことがあるが、美しさでは彼女達に負ける気がしない。
シェラが作ったドレスがその美しさを更に際立たせている。確かにあのドレスを着る者はリィしかいないだろうと、この時になって初めてルウとレティシアの気持ちが理解できた。
あちこちで盗撮のように携帯撮影機器を使う客の手から、礼儀正しくしかし強制的にそれをもぎ取り、データを消していきながらシルビは壇上へ立つリィを見る。
目が合った気がした。
「……美しいを通り越して、怖ぇよ」
本人に聞かれれば追いかけられそうなことを思わず呟いて、シルビは黙々と撮影機器の情報を消去していく。
それにしても、『目指せ一般市民』は無理そうだ。
「恐らくな」
リィに頼まれて客席へと向かいながら、尋ねたシルビに答えたヴァンツァーの返事は短い。
レティシアやルウ、ついでにシェラとヴァンツァーもなのだが彼等の反応からして、リィが『王妃』だった頃はとても美しい姿だったようである。実際に見たことの無いシルビがレティシアへ憐れまれる程で、今回シェラが作ったドレスは元々リィが着たことのあるもの。
となると誰かがリィにそのドレスを着てもらいたくて、モデルの子を来させなくしたのでは。とリィは思ったらしい。その場合、リィが王妃だった事を知っている者が容疑者。このうちレティシアとルウだけが疑われるのは日頃の行いの差か。
そのリィは、現在更衣室であのドレスを着ている。
代わりのモデルが見つからず、棄権するかしないかの瀬戸際で、リィはシェラのこの二週間の苦労を無駄にさせない為にドレスを着ることを了承したのだ。
ルウによって女の身体になり十九歳にまで歳を取ったところまでは見たが、その後シルビはリィの命令で、客席での個人撮影を阻止する役目をシェラ以外の他の三人共々仰せつかったのである。
僅かとは言え見たリィの姿は、なるほど皆が男の姿へ戻ったことを残念がるほど見事なものだった。本人はその姿をあまり好んでいないようだったが、その辺の理由はシルビには分からない。その姿だった頃に何かあったのかもしれないし、単にリィの考えかも知れないからだ。
ただ、リィが言うまでシルビは聞かないほうが良いだろうなと思った。この件に関しては特に。
ステージの上を、シェラが作り上げた見事なドレスを着た姿で歩いてくる姿はまさしく『女神』だ。シルビは今まで数人の『女神』を見たことがあるが、美しさでは彼女達に負ける気がしない。
シェラが作ったドレスがその美しさを更に際立たせている。確かにあのドレスを着る者はリィしかいないだろうと、この時になって初めてルウとレティシアの気持ちが理解できた。
あちこちで盗撮のように携帯撮影機器を使う客の手から、礼儀正しくしかし強制的にそれをもぎ取り、データを消していきながらシルビは壇上へ立つリィを見る。
目が合った気がした。
「……美しいを通り越して、怖ぇよ」
本人に聞かれれば追いかけられそうなことを思わず呟いて、シルビは黙々と撮影機器の情報を消去していく。
それにしても、『目指せ一般市民』は無理そうだ。