天使達の華劇
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出来上がった生地に金粉を散らす作業も行い、最終的にシェラの満足がいくものが出来上がった時には、協議会まで後二日を残す時間しかなかった。
それでもシェラは授業以外の全ての時間を、睡眠の時間さえ費やして衣装を完成させたのである。
見に行くとは言っていたが一般入場で見に行くつもりだったシルビは、早朝リィに起こされて三人一緒に会場へ向かうことになった。仮眠はとったものの眠そうに目元を何度も擦るシェラに眠気覚ましの効果がある飴を渡し、シルビは半分シェラを抱きかかえる形でバスを降りる。
それでもバスの中で目を閉じていられただけ、疲労が取れていると思いたい。
会場の前でルウと合流し、既に違う意味で活気付いている裏口から控え室へ向かう。本来なら部外者であるリィやルウ、それにシルビは入ってはいけない気がするのだが、別段誰かに咎められることは無かった。
地下にある控え室の、作業が出来るように広めの空間が取られたテント。その十七番目がシェラに与えられた簡易更衣室であり出場番号でもある。
マネキンの体型が調節出来るので、シェラの手によってドレスを着るモデルの子に合わせられる。
「エディよりちょっと胸が小さいね」
「失礼じゃねぇ?」
隣でマネキンを眺めていたルウに思わず突っ込んだ。シェラが笑いながら衣装を取り出してアイロンを掛けようとしたところで、先ほど簡易更衣室へ来る前に挨拶をしていた教師が駆け込んできた。
シェラのドレスを着る予定だったモデルの子が、事故にあって足を捻挫しステージを歩くのは出来なくなってしまったという。それはやばいんじゃないのかとシルビでも思う通り、シェラは更に駆けつけた教師も加わって三人で難しい顔をしていた。
とにかく発表順を最後にしてもらい、ギリギリまで代理のモデルを探してみるという女性教師二人が更衣室を出て行くと、今まで黙っていたリィがどうしてか不気味なほどに優しい声で自分の相棒の名を呼ぶ。
「おれの眼を見て、正直に言え。――何をした?」
「何もしてない」
シルビはそりゃそうだろうと思うのだが、リィの再び相棒を呼ぶ声には怒気が篭もっていた。しかしどうして二人がいきなり荒げるのか分からない。
モデルの子は事故だ。いくらルウが魔法使いのような奴だとしても、その子を事故へ遭わせる理由なんて無いだろうし、リィが疑う理由も存在しない気がする。
首を傾げるシルビの後ろでドレスを着せられたマネキンが、人の騒ぎなど興味がないとばかりに立っていた。
それでもシェラは授業以外の全ての時間を、睡眠の時間さえ費やして衣装を完成させたのである。
見に行くとは言っていたが一般入場で見に行くつもりだったシルビは、早朝リィに起こされて三人一緒に会場へ向かうことになった。仮眠はとったものの眠そうに目元を何度も擦るシェラに眠気覚ましの効果がある飴を渡し、シルビは半分シェラを抱きかかえる形でバスを降りる。
それでもバスの中で目を閉じていられただけ、疲労が取れていると思いたい。
会場の前でルウと合流し、既に違う意味で活気付いている裏口から控え室へ向かう。本来なら部外者であるリィやルウ、それにシルビは入ってはいけない気がするのだが、別段誰かに咎められることは無かった。
地下にある控え室の、作業が出来るように広めの空間が取られたテント。その十七番目がシェラに与えられた簡易更衣室であり出場番号でもある。
マネキンの体型が調節出来るので、シェラの手によってドレスを着るモデルの子に合わせられる。
「エディよりちょっと胸が小さいね」
「失礼じゃねぇ?」
隣でマネキンを眺めていたルウに思わず突っ込んだ。シェラが笑いながら衣装を取り出してアイロンを掛けようとしたところで、先ほど簡易更衣室へ来る前に挨拶をしていた教師が駆け込んできた。
シェラのドレスを着る予定だったモデルの子が、事故にあって足を捻挫しステージを歩くのは出来なくなってしまったという。それはやばいんじゃないのかとシルビでも思う通り、シェラは更に駆けつけた教師も加わって三人で難しい顔をしていた。
とにかく発表順を最後にしてもらい、ギリギリまで代理のモデルを探してみるという女性教師二人が更衣室を出て行くと、今まで黙っていたリィがどうしてか不気味なほどに優しい声で自分の相棒の名を呼ぶ。
「おれの眼を見て、正直に言え。――何をした?」
「何もしてない」
シルビはそりゃそうだろうと思うのだが、リィの再び相棒を呼ぶ声には怒気が篭もっていた。しかしどうして二人がいきなり荒げるのか分からない。
モデルの子は事故だ。いくらルウが魔法使いのような奴だとしても、その子を事故へ遭わせる理由なんて無いだろうし、リィが疑う理由も存在しない気がする。
首を傾げるシルビの後ろでドレスを着せられたマネキンが、人の騒ぎなど興味がないとばかりに立っていた。