天使達の華劇
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文化祭が終わったと思えば、今度はシェラが何やら動き出した。
操縦課程を学んでいるシルビとは違い、リィとシェラが学んでいるのはいわゆる普通科に近いもので、それだけ広い科目に手を伸ばすことになる。その中でも被服関係で、シェラは頼まれ事をされたようだった。
約二週間後に、服飾関係の競技会があるらしい。代表者だった生徒が怪我をした為に出場枠が空いてしまい、そこに先の文化祭で素晴らしい出来のメイド服を二週間で作り上げたシェラへ白羽の矢が立った。
シルビは裁縫に関して、ボタン付けや解れを直す事は出来るが、自分でデザインして製作となると最初のデザイン画を描く段階で挫折する自信がある。ましてや競技会までの二週間でとなると、到底出来る気がしない。
そしてそのシェラは、時間が少ないというのに気に入った色合いの生地が手に入らない為、それならいっそとここ数日学校後に染色工房へ通って、自分で染色しようとしているのだという。
寮長と寮監に許可を取って門限を過ぎても帰ってこない身の入れようで、流石に心配になったリィに誘われて、シルビはリィとルウと一緒にシェラが通い詰めている染色工房へ向かった。
その時点で、染色工房へ通うようになって八日目。二週間という期日を半分過ぎていた。
濃淡の緑色の生地に囲まれているシェラは、最初リィが来た事にも気付かない。シルビの目にはどれもなかなかの色合いだと思うのに、シェラは満足していないようだった。
妥協を許さないというべきか、その辺はどんな手段を使ってもと考えるヴァンツァーに似ていると思う。二人とも入れ込むタイプなのか。
「エディが着てくれればもっときれいなのにねえ」
シェラへお手本の染めを実演しながらしみじみとルウが言う。失敗作の生地を眺めていたシルビは気になってルウを振り返った。
「リィが着たら? 流石にドレスは胸が空くんじゃねぇ?」
「シルビは知らないんだっけ。エディは王妃様をやってたんだよ」
「レティシアが付けた仇名じゃねぇの?」
「ううん。君の五十年前みたいに、エディも少し前まで異世界に行ってたんだ。女の子の身体で」
軽々しく言うな、と思う。
「じゃあシェラが作ろうとしてんのは、そん時に一度リィが着た服なのかぁ?」
「うん」
一度見てみたいという言葉は、リィの眼光の鋭さに気付いて飲み込んだ。代わりに違うことを聞いてみる。
「異世界って、何て場所だぁ?」
「デルフィニアだ」
聞いた覚えも行った覚えも無かった。
操縦課程を学んでいるシルビとは違い、リィとシェラが学んでいるのはいわゆる普通科に近いもので、それだけ広い科目に手を伸ばすことになる。その中でも被服関係で、シェラは頼まれ事をされたようだった。
約二週間後に、服飾関係の競技会があるらしい。代表者だった生徒が怪我をした為に出場枠が空いてしまい、そこに先の文化祭で素晴らしい出来のメイド服を二週間で作り上げたシェラへ白羽の矢が立った。
シルビは裁縫に関して、ボタン付けや解れを直す事は出来るが、自分でデザインして製作となると最初のデザイン画を描く段階で挫折する自信がある。ましてや競技会までの二週間でとなると、到底出来る気がしない。
そしてそのシェラは、時間が少ないというのに気に入った色合いの生地が手に入らない為、それならいっそとここ数日学校後に染色工房へ通って、自分で染色しようとしているのだという。
寮長と寮監に許可を取って門限を過ぎても帰ってこない身の入れようで、流石に心配になったリィに誘われて、シルビはリィとルウと一緒にシェラが通い詰めている染色工房へ向かった。
その時点で、染色工房へ通うようになって八日目。二週間という期日を半分過ぎていた。
濃淡の緑色の生地に囲まれているシェラは、最初リィが来た事にも気付かない。シルビの目にはどれもなかなかの色合いだと思うのに、シェラは満足していないようだった。
妥協を許さないというべきか、その辺はどんな手段を使ってもと考えるヴァンツァーに似ていると思う。二人とも入れ込むタイプなのか。
「エディが着てくれればもっときれいなのにねえ」
シェラへお手本の染めを実演しながらしみじみとルウが言う。失敗作の生地を眺めていたシルビは気になってルウを振り返った。
「リィが着たら? 流石にドレスは胸が空くんじゃねぇ?」
「シルビは知らないんだっけ。エディは王妃様をやってたんだよ」
「レティシアが付けた仇名じゃねぇの?」
「ううん。君の五十年前みたいに、エディも少し前まで異世界に行ってたんだ。女の子の身体で」
軽々しく言うな、と思う。
「じゃあシェラが作ろうとしてんのは、そん時に一度リィが着た服なのかぁ?」
「うん」
一度見てみたいという言葉は、リィの眼光の鋭さに気付いて飲み込んだ。代わりに違うことを聞いてみる。
「異世界って、何て場所だぁ?」
「デルフィニアだ」
聞いた覚えも行った覚えも無かった。