天使達の華劇
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一階で迷子になっていた同級生を回収し、その同級生達と一緒に校内の模擬店を一巡りした後、可愛いメイドがいると評判の店に行くという同級生達と別れて階段を降りていたシルビの前に姿を見せたのは、模擬店内で動き回っていると思われたリィで、休憩なのかメイド服のまま階段を上がってくるところだった。
「もう帰るのか? シルビ」
「Si 昨日も見たから目新しいモンも無ぇしなぁ。リィは休憩中?」
「ちょっと用があって抜け出したんだ」
そう答えるリィの後ろからは、アーサーが階段を上ってきている。それに気付いてちょっと頭を下げれば、アーサーもシルビに気付いて笑みを浮かべた。
別れる前に見たときより疲れているように見え、たった数十分の間に何かあったのかとリィへ視線を向ければ肩を大袈裟気味に竦められる。メイド服姿の美少女がやるには少しばかり行儀の悪い動きだが、それでも無作法には見えないのが凄い。
店へ戻る姿を追いかけるように見送っていれば、階段の途中で立ち止っていたアーサーへ声を掛けられた。
「君は、息子のことをよく知っているんだね」
「ええ、一応は」
「こういう言い方はあまり好きじゃないんだが、あの子は少し変わっている。気味が悪いと思うこともあったんじゃないか?」
「貴方はどう思われるんですか?」
質問に質問で返すのが悪い事だと分かっていながら、シルビは聞き返す。アーサーはシルビのそんな態度を不快に思った様子も無く、数段上のシルビを見て微笑んだ。
「エドワードはぼくの息子だ。だからぼくにはあの子を愛する権利がある。だが君は家族ではないからこの考えは当てはまらないだろう?」
ああ、リィの父親だと思う。
彼はシルビがリィのことを『友人』だと思っていないことに気付いていた。親しいのは分かっているようだけれど、そう認めることにシルビが二の足を踏んでいることに、と言うべきか。
そしてその理由を、リィが変わっていることが原因だと考えたらしい。彼にとってはきっと幸運な事に、それが理由ではないけれど。
「友人と呼ぶには、俺のほうに事情があるっていうだけで、リィを恐れてるとか、そういう事は無ぇんです」
言葉を選んで慎重に言う。
「ただ、本当に、まだ付き合いが短いだけなんです……もう行きます」
階段の途中で立ち止まって話をしているのは他の客の邪魔になる。長引かせるつもりもなくアーサーへ一礼してその脇を通り抜けた。
最後の一段から足を降ろしたところでアーサーに名前を呼ばれる。
「あの子はもう、そう思っていないよ」
「もう帰るのか? シルビ」
「Si 昨日も見たから目新しいモンも無ぇしなぁ。リィは休憩中?」
「ちょっと用があって抜け出したんだ」
そう答えるリィの後ろからは、アーサーが階段を上ってきている。それに気付いてちょっと頭を下げれば、アーサーもシルビに気付いて笑みを浮かべた。
別れる前に見たときより疲れているように見え、たった数十分の間に何かあったのかとリィへ視線を向ければ肩を大袈裟気味に竦められる。メイド服姿の美少女がやるには少しばかり行儀の悪い動きだが、それでも無作法には見えないのが凄い。
店へ戻る姿を追いかけるように見送っていれば、階段の途中で立ち止っていたアーサーへ声を掛けられた。
「君は、息子のことをよく知っているんだね」
「ええ、一応は」
「こういう言い方はあまり好きじゃないんだが、あの子は少し変わっている。気味が悪いと思うこともあったんじゃないか?」
「貴方はどう思われるんですか?」
質問に質問で返すのが悪い事だと分かっていながら、シルビは聞き返す。アーサーはシルビのそんな態度を不快に思った様子も無く、数段上のシルビを見て微笑んだ。
「エドワードはぼくの息子だ。だからぼくにはあの子を愛する権利がある。だが君は家族ではないからこの考えは当てはまらないだろう?」
ああ、リィの父親だと思う。
彼はシルビがリィのことを『友人』だと思っていないことに気付いていた。親しいのは分かっているようだけれど、そう認めることにシルビが二の足を踏んでいることに、と言うべきか。
そしてその理由を、リィが変わっていることが原因だと考えたらしい。彼にとってはきっと幸運な事に、それが理由ではないけれど。
「友人と呼ぶには、俺のほうに事情があるっていうだけで、リィを恐れてるとか、そういう事は無ぇんです」
言葉を選んで慎重に言う。
「ただ、本当に、まだ付き合いが短いだけなんです……もう行きます」
階段の途中で立ち止まって話をしているのは他の客の邪魔になる。長引かせるつもりもなくアーサーへ一礼してその脇を通り抜けた。
最後の一段から足を降ろしたところでアーサーに名前を呼ばれる。
「あの子はもう、そう思っていないよ」