天使達の華劇
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アイクライン校の文化祭二日目。校門でかち合ったジャスミンと歩きながら目的地である模擬店へ向かう最中、ジャスミンが不思議そうに尋ねてきた。
「学園祭というのはこんなにも客が来るものなのか?」
「生徒の身内が来れる珍しい機会なんで、こぞって会いに来るってのもありますし、それに今年は……いや、言わねぇでおきます」
「なんだ? 言いかけてやめるのは失礼だぞ」
「模擬店に行けば分かりますよ」
昨日来た時に見たものを思い出して、シルビは少しだけげんなりとする。
フォンダム寮に住む学生の約三分の一程度が通うアイクライン校では、昨日から文化祭が行われていた。
少し前にはアクション・ロッドの大会があったが、そちらが体育系であるなら今度は文化系というように、この大学惑星では出来るだけ文武のバランスよくそういう行事が開催される。惑星一つが学園都市なので地域によって開催時期は違うが。
今までのシルビは誘われない限り、自分の学校以外で行われる行事に自分から進んで足を運ぶ事は少なかった。行くとしても出来がいいという噂が流れきった、最終日に少し時間を割く程度。
しかし今年のアイクライン校には、歳下とはいえ知り合いであるリィとシェラが在学している事もあって、初日に足を運んでみたのだ。
結果、シルビは遠い目をする羽目になり、明日は他の知り合い達も来るからまた来いよと誘われてしまい、結果こうしてジャスミンと並んで歩いているのである。
リィの押しが強いのかシルビが弱いのか分からないが、最近振り回されっぱなしな気がしてならない。
第二校舎の三階という、運動不足な者には少し辛い場所にある会議室は、今は華やかな飾り付けをされている。店内に並べられたテーブルは全て埋まっており、その入口へシルビと一緒に立ったジャスミンが、中にいた給仕の一人を見て目を見開いた。
「リィ!?」
ジャスミンの眼の前には、メイド服を着ているリィ。
間違ってはいない。『メイド服』である。
ワインレッドの短い丈スカート。広がった裾には豪華なレースが縫いつけられており、その上には白い前掛け。リボンブローチが胸元を飾り、足も本来であれば足が細い人にしか似合わないとされるオーヴァーニーソックスで覆われている。
「何てまあ可愛らしいんだ!」
そう叫ぶのも無理が無い程に、リィの姿はその容姿によく似合っていた。しかしシルビが昨日も思ったことだが、リィは『少年』であって決してスカートを履く性別ではない。
今日も今日とて似合っているその格好に、シルビはもう溜め息しか出なかった。
「学園祭というのはこんなにも客が来るものなのか?」
「生徒の身内が来れる珍しい機会なんで、こぞって会いに来るってのもありますし、それに今年は……いや、言わねぇでおきます」
「なんだ? 言いかけてやめるのは失礼だぞ」
「模擬店に行けば分かりますよ」
昨日来た時に見たものを思い出して、シルビは少しだけげんなりとする。
フォンダム寮に住む学生の約三分の一程度が通うアイクライン校では、昨日から文化祭が行われていた。
少し前にはアクション・ロッドの大会があったが、そちらが体育系であるなら今度は文化系というように、この大学惑星では出来るだけ文武のバランスよくそういう行事が開催される。惑星一つが学園都市なので地域によって開催時期は違うが。
今までのシルビは誘われない限り、自分の学校以外で行われる行事に自分から進んで足を運ぶ事は少なかった。行くとしても出来がいいという噂が流れきった、最終日に少し時間を割く程度。
しかし今年のアイクライン校には、歳下とはいえ知り合いであるリィとシェラが在学している事もあって、初日に足を運んでみたのだ。
結果、シルビは遠い目をする羽目になり、明日は他の知り合い達も来るからまた来いよと誘われてしまい、結果こうしてジャスミンと並んで歩いているのである。
リィの押しが強いのかシルビが弱いのか分からないが、最近振り回されっぱなしな気がしてならない。
第二校舎の三階という、運動不足な者には少し辛い場所にある会議室は、今は華やかな飾り付けをされている。店内に並べられたテーブルは全て埋まっており、その入口へシルビと一緒に立ったジャスミンが、中にいた給仕の一人を見て目を見開いた。
「リィ!?」
ジャスミンの眼の前には、メイド服を着ているリィ。
間違ってはいない。『メイド服』である。
ワインレッドの短い丈スカート。広がった裾には豪華なレースが縫いつけられており、その上には白い前掛け。リボンブローチが胸元を飾り、足も本来であれば足が細い人にしか似合わないとされるオーヴァーニーソックスで覆われている。
「何てまあ可愛らしいんだ!」
そう叫ぶのも無理が無い程に、リィの姿はその容姿によく似合っていた。しかしシルビが昨日も思ったことだが、リィは『少年』であって決してスカートを履く性別ではない。
今日も今日とて似合っているその格好に、シルビはもう溜め息しか出なかった。