「四十年前」
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ジャック視点
「……こんにちはぁ?」
イブリスよりもデカイ男の手首へ着けられた通信機へ、イブリスは不思議そうに話し掛ける。
「こんにちはイブリス。はじめまして」
返ってきた音声にイブリスは興奮した様子で顔を上げ、己より背の高い男とジャックの顔を交互に見た。子供が始めて見るものへ喜んでいるように見えて、ジャックも若い男も苦笑する。
「はじめましてぇ! えっと……なんて呼べばいい?」
「好きなように呼んでいいわよ。私は貴方の事をイブリスと呼ぶわ。それとも『シュトルム』がいいかしら?」
「ううん。イブリスがいい。……じゃあ俺は貴女の事を宰姫って呼ぶなぁ」
「まぁ、どうして?」
「速さを司る姫だろぉ? キングと一緒に居るけど、クイーンは違うしなぁ」
「そうね。女王って柄じゃないわ」
楽しげに笑いあう感応頭脳と航宙士見習いに、キングと言われたケリーはジャックを見て肩を竦めた。ジャックも軽く頷く事でそれに答える。
いつの頃からか『シュトルム』なんて呼び名が付いてしまう程、イブリスの航宙図の読みは下手な感応頭脳にも引けを取らない実力をつけた。
身内贔屓ではなくジャックやブルーライトニングの乗員達もそう思っているが、イブリス自身はまだブルーライトニングの中では『見習い』で、本人もそれを気に入ってしまっている。刷り込みのされた雛の様にジャックの後を付いてくる癖だって残っていた。
そんな子供のようなイブリスを、ケリーは『ような』ではなく子供だと思ったのだろう。海賊のうちだけではなく有名な感応頭脳であるダイアナと話す姿は、確かに子供だ。
けれどもそんな子供が、軍艦をミサイルの一本も使わず小惑星の配置を利用して、撃墜や追跡不可能にしてしまうのである。まるで宇宙は自分の手の内だとばかりに。
「満足したか?」
「Si ありがとうキング!」
通信機越しのダイアナとの会話を終え、言語を理解していなかった頃からの本人にとって肯定を示すらしい一音を発し、イブリスが機嫌良さそうにジャックの傍へと戻ってくる。正直並ぶと身長差があって嫌なのだが、イブリスは気にした事がない。後ろへ立ったイブリスを見てケリーが笑った。
「機会があればダイアンが一度くらい乗せても良いって言いそうだな」
「そしたらお前は降りるのか?」
「まさか。『一度くらい』つっただろ」
ケリーの口調はふざけているものの、目は真剣だ。イブリスがジャックの後ろで首を傾げる。
「……キングはクイーンと一緒にずっと宰姫に乗るんだろぉ?」
「女王って誰だ?」
不思議がるケリーとジャックに対して、言った本人も分かっていなそうだった。
「……こんにちはぁ?」
イブリスよりもデカイ男の手首へ着けられた通信機へ、イブリスは不思議そうに話し掛ける。
「こんにちはイブリス。はじめまして」
返ってきた音声にイブリスは興奮した様子で顔を上げ、己より背の高い男とジャックの顔を交互に見た。子供が始めて見るものへ喜んでいるように見えて、ジャックも若い男も苦笑する。
「はじめましてぇ! えっと……なんて呼べばいい?」
「好きなように呼んでいいわよ。私は貴方の事をイブリスと呼ぶわ。それとも『シュトルム』がいいかしら?」
「ううん。イブリスがいい。……じゃあ俺は貴女の事を宰姫って呼ぶなぁ」
「まぁ、どうして?」
「速さを司る姫だろぉ? キングと一緒に居るけど、クイーンは違うしなぁ」
「そうね。女王って柄じゃないわ」
楽しげに笑いあう感応頭脳と航宙士見習いに、キングと言われたケリーはジャックを見て肩を竦めた。ジャックも軽く頷く事でそれに答える。
いつの頃からか『シュトルム』なんて呼び名が付いてしまう程、イブリスの航宙図の読みは下手な感応頭脳にも引けを取らない実力をつけた。
身内贔屓ではなくジャックやブルーライトニングの乗員達もそう思っているが、イブリス自身はまだブルーライトニングの中では『見習い』で、本人もそれを気に入ってしまっている。刷り込みのされた雛の様にジャックの後を付いてくる癖だって残っていた。
そんな子供のようなイブリスを、ケリーは『ような』ではなく子供だと思ったのだろう。海賊のうちだけではなく有名な感応頭脳であるダイアナと話す姿は、確かに子供だ。
けれどもそんな子供が、軍艦をミサイルの一本も使わず小惑星の配置を利用して、撃墜や追跡不可能にしてしまうのである。まるで宇宙は自分の手の内だとばかりに。
「満足したか?」
「Si ありがとうキング!」
通信機越しのダイアナとの会話を終え、言語を理解していなかった頃からの本人にとって肯定を示すらしい一音を発し、イブリスが機嫌良さそうにジャックの傍へと戻ってくる。正直並ぶと身長差があって嫌なのだが、イブリスは気にした事がない。後ろへ立ったイブリスを見てケリーが笑った。
「機会があればダイアンが一度くらい乗せても良いって言いそうだな」
「そしたらお前は降りるのか?」
「まさか。『一度くらい』つっただろ」
ケリーの口調はふざけているものの、目は真剣だ。イブリスがジャックの後ろで首を傾げる。
「……キングはクイーンと一緒にずっと宰姫に乗るんだろぉ?」
「女王って誰だ?」
不思議がるケリーとジャックに対して、言った本人も分かっていなそうだった。