天使達の華劇
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ルウが暮らしているスヴェン寮の談話室に、よければとシルビもリィ達と一緒に招待されて、話の内容は寮代表の選考会のことである。
先駆者としてシルビが一言言うまでも無くリィ達は選手になるつもりなど無かったらしいが、リィがハンスと試合をした時に限って、酷い眩暈に襲われつい加減が出来なかったそうである。見ていたシルビが直後に偶然だろうと声高に言うことで他の寮生達にはそう思い込ませることが出来たが、対戦相手だった当のハンス本人は偶然だと納得してくれなかった。
それからずっと寮へ帰る度にリィは選手になってくれと懇願されている。
今日スヴェン寮へ来たのも、出来るだけハンスと顔を合わせる時間を減らす為だ。
だというのに、談話室の窓の向こうからハンスが興奮しきりの様子でリィだけを見つめて寮へ入ってくる姿が見えた。リィが逃げようとするのをルウが阻止する。
「自分でした事の責任はちゃんと取らないと」
ルウはそういうが、それは難しいことだとシルビは思った。
ハンスは談話室へ入ってきてルウへの挨拶もそこそこに、熱心にリィを説得し始める。テーブルへ頬杖を突いてうんざりしているシルビの姿も、きっとハンスには見えていないだろう。
そもそもハンスとリィとでは、『試合』へ対する認識が違うのだ。リィにとってこうも拘る事は別にあって、ロッドの試合など青春の一ページにも満たない。
しかしハンスにとっては、一ページどころか青春全てを賭けるもの。それでは当然温度差がある。
シルビは『たかが棒遊び』と言われて怒るハンスの気持ちも分からないでもない。ハンスにとってはロッドの試合が本気を掛けるものだという話で、きっと普通の平穏な暮らしをしている学生にとっては、本気とはその位だ。
ただ、リィ達にとっては違う。シルビも理解出来るし共感もしようとすればリィよりは出来るが、違っているのである。
溜め息を吐いたリィが自分の相棒へ声を掛けるが、ルウはやんわりと断った。
「明日の夕食後、十分でいい。寮長権限で遊戯室を確保しろ。そこで話をする」
そう言って今度はシルビを見る。
「お前やるか?」
「お前さんの実力知らねぇから無理ぃ。それに勝敗に拘る運動は好きじゃねぇ」
「シルビ! 君まで馬鹿にするのか!?」
「ハンス寮長。俺がいつ馬鹿にしたんだぁ? それよりただ強引に誘おうとする行動は良いとは言えねぇ。相手に事情があるって可能性さえ考えてねぇだろぉ寮長」
少し冷静になって言葉を詰まらせるハンスに、シルビは立ち上がってその背中を押した。
「リィ、シェラ。俺は寮長と先に帰るぜぇ」
「分かった」
先駆者としてシルビが一言言うまでも無くリィ達は選手になるつもりなど無かったらしいが、リィがハンスと試合をした時に限って、酷い眩暈に襲われつい加減が出来なかったそうである。見ていたシルビが直後に偶然だろうと声高に言うことで他の寮生達にはそう思い込ませることが出来たが、対戦相手だった当のハンス本人は偶然だと納得してくれなかった。
それからずっと寮へ帰る度にリィは選手になってくれと懇願されている。
今日スヴェン寮へ来たのも、出来るだけハンスと顔を合わせる時間を減らす為だ。
だというのに、談話室の窓の向こうからハンスが興奮しきりの様子でリィだけを見つめて寮へ入ってくる姿が見えた。リィが逃げようとするのをルウが阻止する。
「自分でした事の責任はちゃんと取らないと」
ルウはそういうが、それは難しいことだとシルビは思った。
ハンスは談話室へ入ってきてルウへの挨拶もそこそこに、熱心にリィを説得し始める。テーブルへ頬杖を突いてうんざりしているシルビの姿も、きっとハンスには見えていないだろう。
そもそもハンスとリィとでは、『試合』へ対する認識が違うのだ。リィにとってこうも拘る事は別にあって、ロッドの試合など青春の一ページにも満たない。
しかしハンスにとっては、一ページどころか青春全てを賭けるもの。それでは当然温度差がある。
シルビは『たかが棒遊び』と言われて怒るハンスの気持ちも分からないでもない。ハンスにとってはロッドの試合が本気を掛けるものだという話で、きっと普通の平穏な暮らしをしている学生にとっては、本気とはその位だ。
ただ、リィ達にとっては違う。シルビも理解出来るし共感もしようとすればリィよりは出来るが、違っているのである。
溜め息を吐いたリィが自分の相棒へ声を掛けるが、ルウはやんわりと断った。
「明日の夕食後、十分でいい。寮長権限で遊戯室を確保しろ。そこで話をする」
そう言って今度はシルビを見る。
「お前やるか?」
「お前さんの実力知らねぇから無理ぃ。それに勝敗に拘る運動は好きじゃねぇ」
「シルビ! 君まで馬鹿にするのか!?」
「ハンス寮長。俺がいつ馬鹿にしたんだぁ? それよりただ強引に誘おうとする行動は良いとは言えねぇ。相手に事情があるって可能性さえ考えてねぇだろぉ寮長」
少し冷静になって言葉を詰まらせるハンスに、シルビは立ち上がってその背中を押した。
「リィ、シェラ。俺は寮長と先に帰るぜぇ」
「分かった」