天使達の華劇
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ああ今年もこの季節が来たのか、とシルビはロッドを片手に熱弁を振るっているハンス・スタンセンをげんなりと見つめた。
毎年この時期になると、大学惑星では寮対抗のアクション・ロッドの大会が開催される。寮対抗の大会は団体戦で行われ、それぞれ寮の中から選手を選んでの出場になるのだが、シルビが住んでいるフォンダム寮はここ数年その大会で地区予選を勝ち抜いたことが無かった。
準決勝へまでは進めるのだが、毎年ライバルと言ってもいい対抗寮のスコピエに負けてしまうのである。それ自体がシルビにはどうでもいいのだが、フォンダム寮の寮長をしているハンスはそうは思わないらしく、毎年この時期になると騒がしいのだ。
元々ハンスは文武両道で名高いアルサチン高校へ通っており、アクション・ロッドへ対する思いも強い。そのハンスにとってスコピエ寮へ勝てないというのは業腹ものらしかった。
訊けばハンスがフォンダム寮へ来てから、今まで一度もスコピエへ勝てた試しがないと言う。中高生が対象の寮であるフォンダムでの最後の試合だからと、今年のハンスは今までにも増して熱くなっていた。
しかしシルビはアクション・ロッドにハンスほどの熱意を傾けられない。毎年行われる寮代表を選ぶ選考会へ強制参加をさせられるようになってからは、以前にもまして苦手になった。
勝敗に拘るものでなく、スポーツとして身体を動かすという目的が損なわれていなければ、シルビだってアクション・ロッドは好きなほうだ。対人格闘系は嫌いではないし、それなりに実力はあると自負できる。
だがハンスの様にたがかスポーツに情熱を捧げられないし、そもそも強制されるのは好きではない。
今年になって、ハンスはとうとう中学生まで選考会へ参加するようにと宣言した。例年通りすぐに負けようと自分の腕試しの番になるのを待っていたシルビは、ふと中学生であるリィとシェラのことを思い出す。
彼等はおそらく相当な使い手だろうが、『目指せ一般市民』を目標にしている。
寮代表になって人前で試合をしたらどう考えても注目の的だろうなと思ったものの、自分達でも理解しているだろうから注意しなくていいかとシルビは選考会前に不用意に声を掛ける事を止めた。
「……だからコレは俺の落ち度かも知れねぇ。先に言っておきゃ良かったなぁ」
「もう遅い。失敗したなあ、もう……」
反省するシルビと頭を抱えるリィをルウとシェラが眺めている。
大丈夫だと思われた選考会で、リィはハンスに勝ってしまったのだ。
毎年この時期になると、大学惑星では寮対抗のアクション・ロッドの大会が開催される。寮対抗の大会は団体戦で行われ、それぞれ寮の中から選手を選んでの出場になるのだが、シルビが住んでいるフォンダム寮はここ数年その大会で地区予選を勝ち抜いたことが無かった。
準決勝へまでは進めるのだが、毎年ライバルと言ってもいい対抗寮のスコピエに負けてしまうのである。それ自体がシルビにはどうでもいいのだが、フォンダム寮の寮長をしているハンスはそうは思わないらしく、毎年この時期になると騒がしいのだ。
元々ハンスは文武両道で名高いアルサチン高校へ通っており、アクション・ロッドへ対する思いも強い。そのハンスにとってスコピエ寮へ勝てないというのは業腹ものらしかった。
訊けばハンスがフォンダム寮へ来てから、今まで一度もスコピエへ勝てた試しがないと言う。中高生が対象の寮であるフォンダムでの最後の試合だからと、今年のハンスは今までにも増して熱くなっていた。
しかしシルビはアクション・ロッドにハンスほどの熱意を傾けられない。毎年行われる寮代表を選ぶ選考会へ強制参加をさせられるようになってからは、以前にもまして苦手になった。
勝敗に拘るものでなく、スポーツとして身体を動かすという目的が損なわれていなければ、シルビだってアクション・ロッドは好きなほうだ。対人格闘系は嫌いではないし、それなりに実力はあると自負できる。
だがハンスの様にたがかスポーツに情熱を捧げられないし、そもそも強制されるのは好きではない。
今年になって、ハンスはとうとう中学生まで選考会へ参加するようにと宣言した。例年通りすぐに負けようと自分の腕試しの番になるのを待っていたシルビは、ふと中学生であるリィとシェラのことを思い出す。
彼等はおそらく相当な使い手だろうが、『目指せ一般市民』を目標にしている。
寮代表になって人前で試合をしたらどう考えても注目の的だろうなと思ったものの、自分達でも理解しているだろうから注意しなくていいかとシルビは選考会前に不用意に声を掛ける事を止めた。
「……だからコレは俺の落ち度かも知れねぇ。先に言っておきゃ良かったなぁ」
「もう遅い。失敗したなあ、もう……」
反省するシルビと頭を抱えるリィをルウとシェラが眺めている。
大丈夫だと思われた選考会で、リィはハンスに勝ってしまったのだ。