「四十年前」
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジャック視点
周辺宙域の航宙図を挟んで、イブリスとブルーライトニングの航宙士が話している。イブリスも航宙士も真剣ながら目は輝いていて、そうして話し合うのが楽しいとばかりの様子だ。
やがて航宙士が音を上げるのに対しイブリスが晴れやかな顔をする。その視線がジャックへ気付いて向けられたかと思うと、イブリスは飼い主を見つけた犬の様に嬉しそうに傍へと駆けてきた。
「ジャック!」
船長であるジャックの事をそう呼び捨てにするのはこの船に乗っている者ではサブジェイとイブリスだけだ。ジャックに飛び掛らんばかりの勢いで目の前に来たイブリスは、無邪気に笑みを浮かべてジャックを見る。
「免許皆伝だってぇ!」
地声が大きいので語尾が伸びて聞こえる話し方は、完全に言語を覚えたイブリス独特のものだ。しかし船員は誰もそれを不快には思わない。思えないのである。
イブリスを船乗り見習いとしてブルーライトニングへ乗せることが決まって数ヶ月。イブリスはジャック達が予想した以上の勢いで実力をつけていった。
元々そういう経験があってそれを身体が覚えていたのか戦闘能力には申し分が無く、一度教えてしまえば航宙図を読むことにも長けている。これなら何処かの星へ放り出しても立派に生きていけただろうが、そうなる頃には既にブルーライトニングのほうが彼を手放したくなくなっていた。
自分を拾ってくれたジャックに恩義を感じているのか、イブリスのほうも船から降りたくないと思っているらしいと、ジャックもサブジェイから聞いている。
イブリスはどうしてだか、ジャックとブルーライトニングの感応頭脳であるサブジェイを『双子の兄弟』と認識しているようだった。
『なんか、サブジェイとジャックは双子か兄弟な感じがするんだぁ。他の感応頭脳を知らねぇからかもだけど、引き離しちゃ駄目みてぇなぁ?』
確証が無くそう感じるだけらしいが、ジャックにしてみればあながち間違ってもいないので返答に困る。イブリスにとってサブジェイは感応頭脳ではなく、『ジャックの兄弟』と認識しているらしい。
だがイブリスは、それが船と船長というものだと普通だと思っている様なので、他の船員に言うことも無かった。ただ、サブジェイを『個人』として扱うのでサブジェイとジャックは時々困るのだが。
「なぁサブジェイ。ジャックの誕生日が近いって聞いたけど、何をあげれば喜ぶと思うぅ?」
とサブジェイに尋ねた数時間後には、
「なぁジャック、サブジェイは物を貰っても困るだろうから何かしようと思うんだけど、何がいいと思うぅ?」
なんて聞いてくる。正直サブジェイとジャックは互いのことが筒抜けなのだが、イブリスは気付いていないらしい。本気で他意も無く悩んでいる姿は、その事を知ったら恥ずかしがりながら怒りそうで。
だからジャックとサブジェイも、それぞれ気付かないフリをしていた。
周辺宙域の航宙図を挟んで、イブリスとブルーライトニングの航宙士が話している。イブリスも航宙士も真剣ながら目は輝いていて、そうして話し合うのが楽しいとばかりの様子だ。
やがて航宙士が音を上げるのに対しイブリスが晴れやかな顔をする。その視線がジャックへ気付いて向けられたかと思うと、イブリスは飼い主を見つけた犬の様に嬉しそうに傍へと駆けてきた。
「ジャック!」
船長であるジャックの事をそう呼び捨てにするのはこの船に乗っている者ではサブジェイとイブリスだけだ。ジャックに飛び掛らんばかりの勢いで目の前に来たイブリスは、無邪気に笑みを浮かべてジャックを見る。
「免許皆伝だってぇ!」
地声が大きいので語尾が伸びて聞こえる話し方は、完全に言語を覚えたイブリス独特のものだ。しかし船員は誰もそれを不快には思わない。思えないのである。
イブリスを船乗り見習いとしてブルーライトニングへ乗せることが決まって数ヶ月。イブリスはジャック達が予想した以上の勢いで実力をつけていった。
元々そういう経験があってそれを身体が覚えていたのか戦闘能力には申し分が無く、一度教えてしまえば航宙図を読むことにも長けている。これなら何処かの星へ放り出しても立派に生きていけただろうが、そうなる頃には既にブルーライトニングのほうが彼を手放したくなくなっていた。
自分を拾ってくれたジャックに恩義を感じているのか、イブリスのほうも船から降りたくないと思っているらしいと、ジャックもサブジェイから聞いている。
イブリスはどうしてだか、ジャックとブルーライトニングの感応頭脳であるサブジェイを『双子の兄弟』と認識しているようだった。
『なんか、サブジェイとジャックは双子か兄弟な感じがするんだぁ。他の感応頭脳を知らねぇからかもだけど、引き離しちゃ駄目みてぇなぁ?』
確証が無くそう感じるだけらしいが、ジャックにしてみればあながち間違ってもいないので返答に困る。イブリスにとってサブジェイは感応頭脳ではなく、『ジャックの兄弟』と認識しているらしい。
だがイブリスは、それが船と船長というものだと普通だと思っている様なので、他の船員に言うことも無かった。ただ、サブジェイを『個人』として扱うのでサブジェイとジャックは時々困るのだが。
「なぁサブジェイ。ジャックの誕生日が近いって聞いたけど、何をあげれば喜ぶと思うぅ?」
とサブジェイに尋ねた数時間後には、
「なぁジャック、サブジェイは物を貰っても困るだろうから何かしようと思うんだけど、何がいいと思うぅ?」
なんて聞いてくる。正直サブジェイとジャックは互いのことが筒抜けなのだが、イブリスは気付いていないらしい。本気で他意も無く悩んでいる姿は、その事を知ったら恥ずかしがりながら怒りそうで。
だからジャックとサブジェイも、それぞれ気付かないフリをしていた。