天使達の華劇
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棒術の相手をリィに頼んだジャスミンに続いて、シルビも訓練場へと足を踏み入れる。
本当はシェラの手伝いでもしようかと思ったのだが、折角だからとジャスミンに見学を勧められたのだ。というより、時間が余った場合シルビにも相手をしてもらおうと考えているのが見え見えである。
「俺ってさぁ、どう見られてんだぁ?」
「わたしにも分かりませんが、一般人であるとは到底」
「……親切な説明どうもぉ」
「何の話だ?」
髪を束ねてまとめたジャスミンがリィへアクション・ロッドを投げた。シルビは入口近くの壁へ背中を預けて傍観の姿勢に入る。シェラがその隣へ並んだ。
最初以外ルールは全て度外視の、もういっそ棒術の試合ではなく叩き合いである。振られたロッドが切った風の衝撃が、壁際のシルビの元へまで飛んできた。
途中で料理を作りにシェラが訓練場からいなくなり、シルビは目の前で打ち合いを続ける二人を眺めながら先ほどのリィの話を思い起こす。
論文の不可採点。それだけでリィが動くのは、付き合いはまだ短いが少し妙に思えた。
提出した論文が不可だった事など、シルビにだってある。一度不可の採点を貰って再提出を命じられ、イラッとして何の訂正もせずに提出したらAプラスの判定を貰った事もあった。その科目は必要不可欠なものではなかったから、その後その科目は選択しないことにしたが。
だからこそリィが持ち込んできた話はそんな平穏なものではないのだろうと思う。裏に何かあるのかもしれない。
ブランドン夫人の評価が気になるなと、それ以上の詮索を止めて目の前の試合へ集中する。気付けばリィの防戦一方になっていた試合に、シルビは眉を潜めて訓練場を出た。向かう先はキッチンだったが、途中で料理を作り終えたらしいシェラに出会って声を掛ける。
「シェラ、アイツラの試合止めるから手伝ってくれねぇ?」
「何かありましたか?」
「リィがおかしい」
息を飲んでシェラが駆け出した。それを追いかけるように訓練場へ戻ったシルビは、壁のロッドを掴んで一振りし、固唾を呑んで飛び出すタイミングを計っているシェラ同様、試合をしている二人の間へ飛び込む瞬間を計る。
リィが不自然によろけたところで、二人は殆ど同時に飛び出した。
シェラがリィの前に飛び込み、ジャスミンからの一撃を防ぐようにロッドを構えるその正面で、ジャスミンが振り上げたロッドの先へ飛び掛って掴んだシルビは、予想外に反動がきた掌の痛みに叫ぶ。
「いってぇえええ! くっそぉ、違う止め方すりゃよかったぁ!」
「申し訳ありませんが、今日はここまでに願います」
シルビと違い、シェラの冷静な事と言ったらない。顔色は少し悪かったが。
本当はシェラの手伝いでもしようかと思ったのだが、折角だからとジャスミンに見学を勧められたのだ。というより、時間が余った場合シルビにも相手をしてもらおうと考えているのが見え見えである。
「俺ってさぁ、どう見られてんだぁ?」
「わたしにも分かりませんが、一般人であるとは到底」
「……親切な説明どうもぉ」
「何の話だ?」
髪を束ねてまとめたジャスミンがリィへアクション・ロッドを投げた。シルビは入口近くの壁へ背中を預けて傍観の姿勢に入る。シェラがその隣へ並んだ。
最初以外ルールは全て度外視の、もういっそ棒術の試合ではなく叩き合いである。振られたロッドが切った風の衝撃が、壁際のシルビの元へまで飛んできた。
途中で料理を作りにシェラが訓練場からいなくなり、シルビは目の前で打ち合いを続ける二人を眺めながら先ほどのリィの話を思い起こす。
論文の不可採点。それだけでリィが動くのは、付き合いはまだ短いが少し妙に思えた。
提出した論文が不可だった事など、シルビにだってある。一度不可の採点を貰って再提出を命じられ、イラッとして何の訂正もせずに提出したらAプラスの判定を貰った事もあった。その科目は必要不可欠なものではなかったから、その後その科目は選択しないことにしたが。
だからこそリィが持ち込んできた話はそんな平穏なものではないのだろうと思う。裏に何かあるのかもしれない。
ブランドン夫人の評価が気になるなと、それ以上の詮索を止めて目の前の試合へ集中する。気付けばリィの防戦一方になっていた試合に、シルビは眉を潜めて訓練場を出た。向かう先はキッチンだったが、途中で料理を作り終えたらしいシェラに出会って声を掛ける。
「シェラ、アイツラの試合止めるから手伝ってくれねぇ?」
「何かありましたか?」
「リィがおかしい」
息を飲んでシェラが駆け出した。それを追いかけるように訓練場へ戻ったシルビは、壁のロッドを掴んで一振りし、固唾を呑んで飛び出すタイミングを計っているシェラ同様、試合をしている二人の間へ飛び込む瞬間を計る。
リィが不自然によろけたところで、二人は殆ど同時に飛び出した。
シェラがリィの前に飛び込み、ジャスミンからの一撃を防ぐようにロッドを構えるその正面で、ジャスミンが振り上げたロッドの先へ飛び掛って掴んだシルビは、予想外に反動がきた掌の痛みに叫ぶ。
「いってぇえええ! くっそぉ、違う止め方すりゃよかったぁ!」
「申し訳ありませんが、今日はここまでに願います」
シルビと違い、シェラの冷静な事と言ったらない。顔色は少し悪かったが。