暁の天使
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「五十年前はまだぼく生まれてなかったな。ごめんね力になれなくて」
「地道に探していくからいいんだぁ」
ケリーとジャスミンが戻ってくるまでに更に粗方の説明をし終えシルビの事情を把握したリィ達は、何を気に入ったのかシルビを『仲間認定』したようだった。
ルウには気に入ったと明言された上に自分に敬語を使わなくていいと言われ、最初からだがリィから敬語を使われる事は無く、シェラには先の二人が受け入れたからかにこやかな笑顔を向けられるようになり、およそ話す必要の無い事まで喋らされた感がある。別段ヤバイ内容以外は秘密にしている訳でもなし、ましてや彼らにもシルビに似た経験があるようだったので、共感したのかもしれない。
「しかしシルビっていう前例があるんだし、おれ達の目標の『目指せ一般市民』も夢じゃないかもな」
「……リィ、一般市民は緊急事態でも大人になったりはしねぇよ」
脱力してそう返すのが精一杯で、ダイアナとシェラが生暖かい笑みを向けてくれる。
それを癒しだと思っていけないことは明白だった。
大学惑星の夜の部分に着陸した《パラス・アテナ》から降りて、総勢七人で早々と昼下がりのサンデナン大陸へ向かう。移動の最中ダンがケリーを避けるようにシルビの傍にいたことへ黒金銀の天使達は気付いていたようだったが、シルビは無言で首を振った。
シルビには馴染みの無いアイクライン校のダンの事務室へ落ち着き、そこでシルビは携帯端末を取り出して『家族』へ繋ぐ。ヴェルナール校はまだ午後の授業が終わっていなかったが、シルビは今更行こうとは思わなかったし今から行っても単位がもらえそうに無い。
それに、現在シルビは緊急の帰郷中になっているはずだった。
リィ達も同様らしく出入国の記録が無いのは不味いとか言っている。携帯端末の向こうに聞こえる『家族』にシルビもそれをどうにかしてくれるように頼んで通話を切れば、事務室へ女性職員が入ってきた。
「ジンジャー?」
ジャスミンが目をまん丸にしてそう言うのに、シルビは思わず勢いよく振り返る。
「ジンジャー? ジンジャー・ブレッドォ!?」
「知ってるのか?」
リィが不思議そうに聞いてくるので、シルビは興奮を忘れて再び脱力せざるを得なかった。
「現代っ子なら知ってるべき共和宇宙一の大女優だぁ。『一般市民』を目指すなら知っとけぇ」
「覚えることが多いな」
感慨深げに唸るリィとシルビ達の面前では、ジャスミンと地味な格好の女性職員が喧嘩を始めたかと思うと仲直りをしている。あの大女優がカメラも回っていないのにこうも感情を露わにするとは、何とも稀有な場面を目撃している気がするのに、シルビはとてもではないがミーハーな気分にはなれなかった。
「地道に探していくからいいんだぁ」
ケリーとジャスミンが戻ってくるまでに更に粗方の説明をし終えシルビの事情を把握したリィ達は、何を気に入ったのかシルビを『仲間認定』したようだった。
ルウには気に入ったと明言された上に自分に敬語を使わなくていいと言われ、最初からだがリィから敬語を使われる事は無く、シェラには先の二人が受け入れたからかにこやかな笑顔を向けられるようになり、およそ話す必要の無い事まで喋らされた感がある。別段ヤバイ内容以外は秘密にしている訳でもなし、ましてや彼らにもシルビに似た経験があるようだったので、共感したのかもしれない。
「しかしシルビっていう前例があるんだし、おれ達の目標の『目指せ一般市民』も夢じゃないかもな」
「……リィ、一般市民は緊急事態でも大人になったりはしねぇよ」
脱力してそう返すのが精一杯で、ダイアナとシェラが生暖かい笑みを向けてくれる。
それを癒しだと思っていけないことは明白だった。
大学惑星の夜の部分に着陸した《パラス・アテナ》から降りて、総勢七人で早々と昼下がりのサンデナン大陸へ向かう。移動の最中ダンがケリーを避けるようにシルビの傍にいたことへ黒金銀の天使達は気付いていたようだったが、シルビは無言で首を振った。
シルビには馴染みの無いアイクライン校のダンの事務室へ落ち着き、そこでシルビは携帯端末を取り出して『家族』へ繋ぐ。ヴェルナール校はまだ午後の授業が終わっていなかったが、シルビは今更行こうとは思わなかったし今から行っても単位がもらえそうに無い。
それに、現在シルビは緊急の帰郷中になっているはずだった。
リィ達も同様らしく出入国の記録が無いのは不味いとか言っている。携帯端末の向こうに聞こえる『家族』にシルビもそれをどうにかしてくれるように頼んで通話を切れば、事務室へ女性職員が入ってきた。
「ジンジャー?」
ジャスミンが目をまん丸にしてそう言うのに、シルビは思わず勢いよく振り返る。
「ジンジャー? ジンジャー・ブレッドォ!?」
「知ってるのか?」
リィが不思議そうに聞いてくるので、シルビは興奮を忘れて再び脱力せざるを得なかった。
「現代っ子なら知ってるべき共和宇宙一の大女優だぁ。『一般市民』を目指すなら知っとけぇ」
「覚えることが多いな」
感慨深げに唸るリィとシルビ達の面前では、ジャスミンと地味な格好の女性職員が喧嘩を始めたかと思うと仲直りをしている。あの大女優がカメラも回っていないのにこうも感情を露わにするとは、何とも稀有な場面を目撃している気がするのに、シルビはとてもではないがミーハーな気分にはなれなかった。