暁の天使
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「簡単な未来予知や情報の検索なら出来るんだぁ。それで嫌な予感の原因を誰に尋ねれば手っ取り早く分かるのかを調べた時、ボスモラス港に行くのが一番だと分かったぁ。だからボスモラス港に向かったんだぁ。そしたらこんな騒動に巻き込まれてよぉ」
今度はくるみの乗ったものへ手を伸ばしながら肩を竦める。シルビの予定ではあの場で出会ったリィにそのままちゃんと聞けていれば、家族の危篤はなかった事にしてそのまま寮へ戻るつもりだった。
《パラス・アテナ》へ乗る時の事を思い出してか、リィが不思議そうに首を傾げる。
「でもお前、あの男と知り合いっぽい様子だっただろ。あれは?」
「……そもそも俺がこの世界に生まれたのは、五十年近く前に一度此処へ来たことがあったからで、キングとはその時に会った事があるんだぁ」
「五十年前? それは、この世界に生まれたって事とは違うの?」
「一時的に……避難? その時居た世界から少しの間離れる必要があったって言えばいいかぁ? 今の俺はその時世話になった人達に、お礼を言いに来たんだぁ」
「それは……そのお礼を言う為だけに前の世界を捨てたのですか?」
シェラが真剣そうに聞いてきた。シルビは首を横へ振って否定する。
「前の世界での俺の人生はちゃんと終わったんだぁ。だからそういう言い方をするなら、俺は今回の人生を、お礼を言う為だけに生きている」
それ程の価値があるとシルビは考えていた。というよりシルビがただもう一度会いたいと思っているだけかもしれない。その目的が達成した後のことは考えていなかったけれど、目の前の三人のような存在が居るのなら、程ほどに付き合って生涯を過ごすのもいいだろう。それにルウは立場がシルビの『兄』に似ているようだし、その性質を知りたいとも思った。
いや、ソレは言い訳にしかならないのか。
「じゃあ君は今回なし崩しに巻き込まれただけ?」
「最初は」
「コレをシェラに持たせてくれたのはどうして?」
差し出されたウォレットチェーン。
「お守りになると思ったんだぁ。君達に死んで欲しくなかったと思ったし……」
「力を貸したいとも思った?」
ルウの質問へは返さず、ウォレットチェーンを受け取って腰のベルトへ身に付け軽く叩く。ルウは納得したように一度頷いてからリィへと振り返った。
「ぼくって恵まれてると思わない?」
「ルーファ。気に入ったなら正直に気に入ったって言えよ」
「気に入った」
「……シェラ。俺は結構真面目に重大な事を暴露してたと思うんだがぁ」
「諦めてください」
今度はくるみの乗ったものへ手を伸ばしながら肩を竦める。シルビの予定ではあの場で出会ったリィにそのままちゃんと聞けていれば、家族の危篤はなかった事にしてそのまま寮へ戻るつもりだった。
《パラス・アテナ》へ乗る時の事を思い出してか、リィが不思議そうに首を傾げる。
「でもお前、あの男と知り合いっぽい様子だっただろ。あれは?」
「……そもそも俺がこの世界に生まれたのは、五十年近く前に一度此処へ来たことがあったからで、キングとはその時に会った事があるんだぁ」
「五十年前? それは、この世界に生まれたって事とは違うの?」
「一時的に……避難? その時居た世界から少しの間離れる必要があったって言えばいいかぁ? 今の俺はその時世話になった人達に、お礼を言いに来たんだぁ」
「それは……そのお礼を言う為だけに前の世界を捨てたのですか?」
シェラが真剣そうに聞いてきた。シルビは首を横へ振って否定する。
「前の世界での俺の人生はちゃんと終わったんだぁ。だからそういう言い方をするなら、俺は今回の人生を、お礼を言う為だけに生きている」
それ程の価値があるとシルビは考えていた。というよりシルビがただもう一度会いたいと思っているだけかもしれない。その目的が達成した後のことは考えていなかったけれど、目の前の三人のような存在が居るのなら、程ほどに付き合って生涯を過ごすのもいいだろう。それにルウは立場がシルビの『兄』に似ているようだし、その性質を知りたいとも思った。
いや、ソレは言い訳にしかならないのか。
「じゃあ君は今回なし崩しに巻き込まれただけ?」
「最初は」
「コレをシェラに持たせてくれたのはどうして?」
差し出されたウォレットチェーン。
「お守りになると思ったんだぁ。君達に死んで欲しくなかったと思ったし……」
「力を貸したいとも思った?」
ルウの質問へは返さず、ウォレットチェーンを受け取って腰のベルトへ身に付け軽く叩く。ルウは納得したように一度頷いてからリィへと振り返った。
「ぼくって恵まれてると思わない?」
「ルーファ。気に入ったなら正直に気に入ったって言えよ」
「気に入った」
「……シェラ。俺は結構真面目に重大な事を暴露してたと思うんだがぁ」
「諦めてください」