マルグリートの輪舞曲
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「初めて言われたわ。弟と似てるって」
ファビエンヌが飲み物を取りに行くというので、シルビとドミューシアを置いていった。女性に手間をかけさせるのはと最初はシルビが申し出たのだが、ファビエンヌは笑ってさっさと行ってしまったのである。
一応先程の青年との事があるから、それの警戒もかねてではあるのだろう。
「まぁ、笑ってる時の口角なんてリィと付き合いがなけりゃ分かんねぇよなぁ。初見だとあの髪や眼に意識がとられる」
「貴方だってそうだと思う。その眼なんか特にそうよ」
言われて自分の目元に手を伸ばした。
「弟と比べられるのは大変だろぉ。さっきみてぇな事は何度も?」
「仕方ないわ」
「俺にも弟がいたんだぁ」
着飾った少女達が楽しげにざわめいている。隣でドミューシアがシルビを見た。
弟がいたことはリィ達にも話したことがある。その容姿も『銀髪』ということは知っているだろう。
その弟とシルビはドミューシアとリィの様に、髪も眼の色も違った。
「弟はシェラみてぇな銀色の髪をしてた。まぁ、つまるところ俺は家族からすればリィの立場なんだろうなぁ」
「貴方もルウに連れて行かれたの?」
「は? ……よく分かんねぇけど、俺はリィにとってのルウみてぇな存在に出会ったのは随分後だよ」
成人してからだった、とは言わない。今のシルビはまだただの青年だ。
シルビが出会う前のリィ達がどんな人生を送ってきたのかは知らない。ルウがラー一族という、この世界での神々に近しい存在の一人であることは知っている。
けれどもリィは普通の両親を持った異端な子供だ。そしてシルビも異端な子供だった。
リィの家族は父親であるアーサーと今隣にいるドミューシアしかシルビは顔を合わせたことはないが、シルビのかつての家族同様殆ど似ていない。本来なら似ているはずの血の繋がった家族が『似ていない』ということが、互いにどんなに辛い事なのかは知っている。
少なくとも、弟が心を痛めていたことを知っていた。無論リィとドミューシアの関係と、シルビと弟との関係は違うだろうが。
「親友に出会うまで、俺は自分一人が違う事を嫌悪していたよ」
「……そんなに綺麗なのに?」
「綺麗かどうかは問題じゃねぇよ。問題は自分が人と違うこと。でもドミューシア嬢? 俺の弟がそうであってくれたように、君もリィの事は嫌いじゃねぇだろぉ?」
三つのグラスを頑張って持っているファビエンヌの姿が見える。やはり一緒に行った方が良かっただろう。
ファビエンヌが飲み物を取りに行くというので、シルビとドミューシアを置いていった。女性に手間をかけさせるのはと最初はシルビが申し出たのだが、ファビエンヌは笑ってさっさと行ってしまったのである。
一応先程の青年との事があるから、それの警戒もかねてではあるのだろう。
「まぁ、笑ってる時の口角なんてリィと付き合いがなけりゃ分かんねぇよなぁ。初見だとあの髪や眼に意識がとられる」
「貴方だってそうだと思う。その眼なんか特にそうよ」
言われて自分の目元に手を伸ばした。
「弟と比べられるのは大変だろぉ。さっきみてぇな事は何度も?」
「仕方ないわ」
「俺にも弟がいたんだぁ」
着飾った少女達が楽しげにざわめいている。隣でドミューシアがシルビを見た。
弟がいたことはリィ達にも話したことがある。その容姿も『銀髪』ということは知っているだろう。
その弟とシルビはドミューシアとリィの様に、髪も眼の色も違った。
「弟はシェラみてぇな銀色の髪をしてた。まぁ、つまるところ俺は家族からすればリィの立場なんだろうなぁ」
「貴方もルウに連れて行かれたの?」
「は? ……よく分かんねぇけど、俺はリィにとってのルウみてぇな存在に出会ったのは随分後だよ」
成人してからだった、とは言わない。今のシルビはまだただの青年だ。
シルビが出会う前のリィ達がどんな人生を送ってきたのかは知らない。ルウがラー一族という、この世界での神々に近しい存在の一人であることは知っている。
けれどもリィは普通の両親を持った異端な子供だ。そしてシルビも異端な子供だった。
リィの家族は父親であるアーサーと今隣にいるドミューシアしかシルビは顔を合わせたことはないが、シルビのかつての家族同様殆ど似ていない。本来なら似ているはずの血の繋がった家族が『似ていない』ということが、互いにどんなに辛い事なのかは知っている。
少なくとも、弟が心を痛めていたことを知っていた。無論リィとドミューシアの関係と、シルビと弟との関係は違うだろうが。
「親友に出会うまで、俺は自分一人が違う事を嫌悪していたよ」
「……そんなに綺麗なのに?」
「綺麗かどうかは問題じゃねぇよ。問題は自分が人と違うこと。でもドミューシア嬢? 俺の弟がそうであってくれたように、君もリィの事は嫌いじゃねぇだろぉ?」
三つのグラスを頑張って持っているファビエンヌの姿が見える。やはり一緒に行った方が良かっただろう。