マルグリートの輪舞曲
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「ああいう思い上がりの野郎もいるからこういうダンス・パーティは好きじゃねぇんだよ」
「じゃあどうして来てくれたの?」
「ハンス寮長に頼まれたら断れねぇ」
壁際に戻り不快そうに言えば、ファビエンヌは相変わらずだとばかりに苦笑した。その隣では先程あの青年に貶されていた茶髪の少女が大人しくシルビを観察している。
あの青年に言うだけ言ってからファビエンヌと茶髪の少女を連れて壁際へ戻ってきたのだ。青年はその後どうしたのかは分からないが、視界に入らない場所へ行ってはくれたらしい。
「声を掛けたら帰ろうと思ってたんだぁ。ヴェルナール生だから別にここにいる必要無ぇし」
「よく言うわ。ヴェルナールでも有名なくせに。ドミ、こちらヴェルナール校の『優秀生』のシルビよ」
「ゆう、しゅうせい?」
「授業態度や成績は良いんだが生徒との人間関係が良くねぇんだよお嬢さん。だから全てに優れてる『優等』じゃなくて『優秀』なんだぁ」
優等と優秀の違いを説明して少女を見やる。先程から思っていたが、会ったことはない筈なのだがどこかで見覚えがある気がした。
元気で闊達そうな少女である。とはいえ先程青年に貶されて強ばっていた様子を鑑みるに、闊達とは言い切れない。
少し丈が短めだと思うがオレンジのドレスに金のサンダル。髪へもそれに合わせたらしい髪留めをつけていて全体的なセンスも悪くない。あえて評価するのなら十二分に可愛いと言えるだろう。彼女を見て貶せたあの青年は目が肥えていない。
彼女は確か『弟』と見比べられるのが云々と言われていたのを思い出す。となればアイクラインに彼女の弟が在学しているのかと考えて、シルビは小さく声を上げた。
「――あ」
「?」
「君、もしかしてリィのお姉さんかぁ?」
言った途端少女が目を丸くする。
「もうちょっと口角を上げてくれりゃ」
「こ、こう?」
「――嗚呼やっぱり。君達笑った時の口元がそっくりだなぁ」
思わずしみじみと眺めてしまった。
リィは金髪緑眼だが少女は茶髪に青い眼をしている。だが“その程度”の違いはどうでも良くて、シルビは何故か驚いている少女を改めて見やった。
「リィのあの顔はアーサーさんともあんまり似てねぇけど、やっぱり姉弟は似てるなぁ」
「……リィの知り合い?」
「あ、弟さんにはお世話になってます。あとアーサーさんにも時々」
順番を間違えてしまったが定型句のように言って、握手をする為に手を差し出す。
「……あたし、ドミューシア・ヴァレンタイン」
「じゃあどうして来てくれたの?」
「ハンス寮長に頼まれたら断れねぇ」
壁際に戻り不快そうに言えば、ファビエンヌは相変わらずだとばかりに苦笑した。その隣では先程あの青年に貶されていた茶髪の少女が大人しくシルビを観察している。
あの青年に言うだけ言ってからファビエンヌと茶髪の少女を連れて壁際へ戻ってきたのだ。青年はその後どうしたのかは分からないが、視界に入らない場所へ行ってはくれたらしい。
「声を掛けたら帰ろうと思ってたんだぁ。ヴェルナール生だから別にここにいる必要無ぇし」
「よく言うわ。ヴェルナールでも有名なくせに。ドミ、こちらヴェルナール校の『優秀生』のシルビよ」
「ゆう、しゅうせい?」
「授業態度や成績は良いんだが生徒との人間関係が良くねぇんだよお嬢さん。だから全てに優れてる『優等』じゃなくて『優秀』なんだぁ」
優等と優秀の違いを説明して少女を見やる。先程から思っていたが、会ったことはない筈なのだがどこかで見覚えがある気がした。
元気で闊達そうな少女である。とはいえ先程青年に貶されて強ばっていた様子を鑑みるに、闊達とは言い切れない。
少し丈が短めだと思うがオレンジのドレスに金のサンダル。髪へもそれに合わせたらしい髪留めをつけていて全体的なセンスも悪くない。あえて評価するのなら十二分に可愛いと言えるだろう。彼女を見て貶せたあの青年は目が肥えていない。
彼女は確か『弟』と見比べられるのが云々と言われていたのを思い出す。となればアイクラインに彼女の弟が在学しているのかと考えて、シルビは小さく声を上げた。
「――あ」
「?」
「君、もしかしてリィのお姉さんかぁ?」
言った途端少女が目を丸くする。
「もうちょっと口角を上げてくれりゃ」
「こ、こう?」
「――嗚呼やっぱり。君達笑った時の口元がそっくりだなぁ」
思わずしみじみと眺めてしまった。
リィは金髪緑眼だが少女は茶髪に青い眼をしている。だが“その程度”の違いはどうでも良くて、シルビは何故か驚いている少女を改めて見やった。
「リィのあの顔はアーサーさんともあんまり似てねぇけど、やっぱり姉弟は似てるなぁ」
「……リィの知り合い?」
「あ、弟さんにはお世話になってます。あとアーサーさんにも時々」
順番を間違えてしまったが定型句のように言って、握手をする為に手を差し出す。
「……あたし、ドミューシア・ヴァレンタイン」