マルグリートの輪舞曲
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SIDE Sister
「きみも中等部の弟と見比べられるのはいやだろう」
「――俺もアンタと同じ男だと見比べられるのは御免被りてぇなぁ」
弟のリィと比べられるのは今に始まったことではないが、初対面で憧れてさえいた人に貶されるのはやはり傷ついた。黙って耐えていればいいだけの仕方がないことだと内心では分かっていても、それでも何も言えずにいると耳触りのいい大きな声がキラアンの声を遮る。
驚いて声がした方を振り向けば、紫色の瞳が輝く人がゆっくりと歩いてくるところで。
「話に割り込んでしまって申し訳ねぇなぁ。でもアンタが間抜けた事を言っているものだから“同じ男”として物申したくてなぁ」
長い黒髪に紫の瞳。それぞれのパーツだけならドミューシアの脳裏には数人の知り合いが浮かぶ。けれどもその知り合い達の各パーツよりも明確に輝いているその人は、リィと同じく少女の様な顔立ちにも見えるけれどどうやら男のようだった。
彼を見て周囲の声が一斉に静まりかえる。リィやその友人であるルウを見慣れているドミューシアは平気だったが、彼はリィ達と同じく人を黙らせる雰囲気を持っていた。
「シルビ」
ファビエンヌが彼を見て呟く。シルビと呼ばれた彼はファビエンヌを一瞥はしたもののすぐにラキアンへとそれを戻した。
「女性を貶して平然としてられる奴は男じゃねぇよ。それと、人は進化を続けている故に様々な顔立ちがあるという説をご存じかなぁ。進化途中故に今は様々な顔立ちが存在してるが、最終的には全ての人類が同じ顔になるという説だぁ。――もし仮にアンタの顔が最終形態だと言うのならアンタは確かに他人の顔を貶せる立場だろうが、そうでもねぇくせに人の顔へ不満を言うとか自意識過剰も甚だしい」
「きみだって貶しているようにきこえるぞ」
「そりゃ失礼。でも外見で貶すって言うのは――鼻があと二ミリ高くてもう少し左に通ってて、眉毛の形を整えて髭の剃り残しがなくて、口の端がだらしくなく開いてなけりゃいいのになぁと人の都合も知らずに評価することを言うんじゃねぇかなぁ」
言われて周囲の視線がキラアンへと向けられる。それに気付いたらしいキラアンが口元を手で押さえた。
彼が目を細めて笑みを浮かべる。まるで悪魔が誘惑する様な笑みだと思ったのは、ドミューシアがリィ達の性格を知っていたからか。
「ふふ、同じ男としてアンタは俺と見比べられるのは平気ぃ?」
「シルビ。貴方の見た目と比べられて平気な人はあんまりいないわ」
「俺は見た目より内面重視だからなぁ。比べられようが何だろうがあんまり気にしねぇようにしてる」
「きみも中等部の弟と見比べられるのはいやだろう」
「――俺もアンタと同じ男だと見比べられるのは御免被りてぇなぁ」
弟のリィと比べられるのは今に始まったことではないが、初対面で憧れてさえいた人に貶されるのはやはり傷ついた。黙って耐えていればいいだけの仕方がないことだと内心では分かっていても、それでも何も言えずにいると耳触りのいい大きな声がキラアンの声を遮る。
驚いて声がした方を振り向けば、紫色の瞳が輝く人がゆっくりと歩いてくるところで。
「話に割り込んでしまって申し訳ねぇなぁ。でもアンタが間抜けた事を言っているものだから“同じ男”として物申したくてなぁ」
長い黒髪に紫の瞳。それぞれのパーツだけならドミューシアの脳裏には数人の知り合いが浮かぶ。けれどもその知り合い達の各パーツよりも明確に輝いているその人は、リィと同じく少女の様な顔立ちにも見えるけれどどうやら男のようだった。
彼を見て周囲の声が一斉に静まりかえる。リィやその友人であるルウを見慣れているドミューシアは平気だったが、彼はリィ達と同じく人を黙らせる雰囲気を持っていた。
「シルビ」
ファビエンヌが彼を見て呟く。シルビと呼ばれた彼はファビエンヌを一瞥はしたもののすぐにラキアンへとそれを戻した。
「女性を貶して平然としてられる奴は男じゃねぇよ。それと、人は進化を続けている故に様々な顔立ちがあるという説をご存じかなぁ。進化途中故に今は様々な顔立ちが存在してるが、最終的には全ての人類が同じ顔になるという説だぁ。――もし仮にアンタの顔が最終形態だと言うのならアンタは確かに他人の顔を貶せる立場だろうが、そうでもねぇくせに人の顔へ不満を言うとか自意識過剰も甚だしい」
「きみだって貶しているようにきこえるぞ」
「そりゃ失礼。でも外見で貶すって言うのは――鼻があと二ミリ高くてもう少し左に通ってて、眉毛の形を整えて髭の剃り残しがなくて、口の端がだらしくなく開いてなけりゃいいのになぁと人の都合も知らずに評価することを言うんじゃねぇかなぁ」
言われて周囲の視線がキラアンへと向けられる。それに気付いたらしいキラアンが口元を手で押さえた。
彼が目を細めて笑みを浮かべる。まるで悪魔が誘惑する様な笑みだと思ったのは、ドミューシアがリィ達の性格を知っていたからか。
「ふふ、同じ男としてアンタは俺と見比べられるのは平気ぃ?」
「シルビ。貴方の見た目と比べられて平気な人はあんまりいないわ」
「俺は見た目より内面重視だからなぁ。比べられようが何だろうがあんまり気にしねぇようにしてる」