マルグリートの輪舞曲
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連邦大学には体験入学制度がある。
シルビが通っているヴェルナール校も例外ではなく、中等部や高等部、それに大学へとそれぞれ編入前提であったり、まだ考えている段階である場合であったりはするがより上等学部の雰囲気を身に感じるのが主な体験であった。この期間中は授業や勉強が滞るということこそないが、場離れしていない学生達が増えて一部の生徒からは顰蹙を買っている制度でもある。
かく言うシルビは授業に支障が無ければ勝手にしてくれというタイプだ。ヴェルナール校で『優秀生』のあだ名は伊達ではなく勉強以外の物事へ対しては無関心甚だしい。
一つ言うのなら、体験入学生の為に交流会と称したダンス・パーティや歓迎会で時間を潰されるのが嫌だった。それがなければ特に文句もないのだ。本当に。
金曜日の夜という明日の休日に向けて一番気分が高揚しそうなタイミングで行なわれたそのダンス・パーティへシルビが参加したのは、体験留学生がいるタクティス寮へ知り合いがいたからである。
ファビエンヌ・デニング。以前とある体験学習で知り合った女学生だ。
フォンダム寮で世話になっているハンスを経由して招待されたそれに、間にハンスが居なければ絶対に来ようとは思わなかっただろう。
会場はダンス・パーティというだけあって一応踊れる空間のあるアイクラインの講堂だった。そこに色とりどりのドレスや装飾品で華やかに着飾った少女達と、出来るだけ女の子へ格好良く見られたいという姿の少年達が一堂に会している。
その会場の壁際で壁の花を気取ってシルビはうんざりしていた。周囲からはシルビの見た目に視線を向ける男女のざわつきが聞こえてきている。間違っていない。“男”女だ。
「ハンス寮長と来れば良かったぁ……」
ハンスは苦笑して断ったかもしれないが。
シルビは自分でも自覚しているが女顔だ。喋れば分かるのだが、黙って立っていると髪が長いことも相まって女性と勘違いされることは多い。連邦大学惑星へ来てフォンダム寮へ入った当初もそれで頻繁に迷惑を被った。当時まだ寮長にはなっていなかったが、ハンスが気にかけてくれなければシルビは今より変人として周囲から距離を置いていただろう。
それ故にシルビは出来るだけハンスの頼みは拒まないことにしているのだが、それにしたってこれは面倒だった。
早々にファビエンヌに声を掛けて、少し話したらさっさと帰るかと考えたところで、講堂の中心辺りにファビエンヌの姿を見つけてシルビは壁から背を離す。
ファビエンヌの側にいる茶髪の少女が、大学生らしい青年に何か言われて顔を強ばらせていた。
シルビが通っているヴェルナール校も例外ではなく、中等部や高等部、それに大学へとそれぞれ編入前提であったり、まだ考えている段階である場合であったりはするがより上等学部の雰囲気を身に感じるのが主な体験であった。この期間中は授業や勉強が滞るということこそないが、場離れしていない学生達が増えて一部の生徒からは顰蹙を買っている制度でもある。
かく言うシルビは授業に支障が無ければ勝手にしてくれというタイプだ。ヴェルナール校で『優秀生』のあだ名は伊達ではなく勉強以外の物事へ対しては無関心甚だしい。
一つ言うのなら、体験入学生の為に交流会と称したダンス・パーティや歓迎会で時間を潰されるのが嫌だった。それがなければ特に文句もないのだ。本当に。
金曜日の夜という明日の休日に向けて一番気分が高揚しそうなタイミングで行なわれたそのダンス・パーティへシルビが参加したのは、体験留学生がいるタクティス寮へ知り合いがいたからである。
ファビエンヌ・デニング。以前とある体験学習で知り合った女学生だ。
フォンダム寮で世話になっているハンスを経由して招待されたそれに、間にハンスが居なければ絶対に来ようとは思わなかっただろう。
会場はダンス・パーティというだけあって一応踊れる空間のあるアイクラインの講堂だった。そこに色とりどりのドレスや装飾品で華やかに着飾った少女達と、出来るだけ女の子へ格好良く見られたいという姿の少年達が一堂に会している。
その会場の壁際で壁の花を気取ってシルビはうんざりしていた。周囲からはシルビの見た目に視線を向ける男女のざわつきが聞こえてきている。間違っていない。“男”女だ。
「ハンス寮長と来れば良かったぁ……」
ハンスは苦笑して断ったかもしれないが。
シルビは自分でも自覚しているが女顔だ。喋れば分かるのだが、黙って立っていると髪が長いことも相まって女性と勘違いされることは多い。連邦大学惑星へ来てフォンダム寮へ入った当初もそれで頻繁に迷惑を被った。当時まだ寮長にはなっていなかったが、ハンスが気にかけてくれなければシルビは今より変人として周囲から距離を置いていただろう。
それ故にシルビは出来るだけハンスの頼みは拒まないことにしているのだが、それにしたってこれは面倒だった。
早々にファビエンヌに声を掛けて、少し話したらさっさと帰るかと考えたところで、講堂の中心辺りにファビエンヌの姿を見つけてシルビは壁から背を離す。
ファビエンヌの側にいる茶髪の少女が、大学生らしい青年に何か言われて顔を強ばらせていた。