暁の天使
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「はじめまして。シルビ・テトラ・グラマトです」
「……ルーファス・ラヴィー。ルウでいいよ。本当の名前は言わなくていい?」
「Si 俺も聞きたいとは思ってねぇですから」
ケリーとジャスミンが盛大な夫婦喧嘩をしているところへダンと一緒に顔を出してしまったシルビは、グダグダしていた空気を仕切りなおし、改めて黒い髪の闇のような人と互いに自己紹介をした。
黒い髪に黒い瞳をした中性的なその若者は、マジマジとシルビを見つめて目を輝かせている。
「うわぁ、こんなの奇跡だよ」
「俺のことはどう『見え』ますか?」
「言葉にするなら……『風』『白い闇』『氷漬けの黒い炎』かな? ラー一族でも『星』でもないけど、ぼくによく似てる」
「ああそうか、お前に似てるのか。やっとしっくりしたよ」
ルウの隣で話を聞いていたリィが納得したように頷く。シェラが自動機械と一緒に部屋へ入ってきた。お茶とお菓子を持ってきてくれたようである。
そのシェラがリィの傍へ控えるのを待って、シルビは三人を見た。
「俺は時々『大いなる全知の亜種』って呼ばれる。『大いなる全知』の『亜種』にして、世界の果てで『大いなる封印』をしているものの『弟』なんだぁ」
「此処ではない世界での、神様みたいな存在ってこと?」
「正確にはちょっと違うのでしょうけれど、異世界でのラー一族のようなものだと思っていただけりゃいいと思います」
異世界、という言葉に僅かにシェラが反応する。
「だからガイアでしたっけ? 彼女は俺を『亜種なる方』と呼んだ」
「ガイアと話したの?」
「ええ、『悪しきもの』についてちょっと知りたかったので」
「君なら、どうにか出来るんじゃないの?」
「……俺はまだ未熟なんです」
ルウがそうは思えないとばかりに首を傾げたので、苦笑を返した。
未熟だと分かっているからこうして何度も生きているのだが、それを言ったところで理解されるとは思っていない。簡単に惑星一つを潰しても構わないと思えるほど感情豊かな彼であっても、シルビの『たった一人を救いたい』なんて願いが自己満足以外の何物でもないとは言わないだろう。
それにこの世界には、違う目的で来たのだ。
「それで、どうしてシルビは宇宙港に居たんだ? ルーファに会う為か?」
「ありゃ単に嫌な予感がしたんで、誰かに訊こうと思っただけの行動だぁ」
「思っただけ?」
やっと自分の説明が終わったという安堵に、話している途中だと分かっていながらもシェラが持ってきたクッキーを一つ摘まむ。干し葡萄の入ったそれは思った以上に美味しかった。
「……ルーファス・ラヴィー。ルウでいいよ。本当の名前は言わなくていい?」
「Si 俺も聞きたいとは思ってねぇですから」
ケリーとジャスミンが盛大な夫婦喧嘩をしているところへダンと一緒に顔を出してしまったシルビは、グダグダしていた空気を仕切りなおし、改めて黒い髪の闇のような人と互いに自己紹介をした。
黒い髪に黒い瞳をした中性的なその若者は、マジマジとシルビを見つめて目を輝かせている。
「うわぁ、こんなの奇跡だよ」
「俺のことはどう『見え』ますか?」
「言葉にするなら……『風』『白い闇』『氷漬けの黒い炎』かな? ラー一族でも『星』でもないけど、ぼくによく似てる」
「ああそうか、お前に似てるのか。やっとしっくりしたよ」
ルウの隣で話を聞いていたリィが納得したように頷く。シェラが自動機械と一緒に部屋へ入ってきた。お茶とお菓子を持ってきてくれたようである。
そのシェラがリィの傍へ控えるのを待って、シルビは三人を見た。
「俺は時々『大いなる全知の亜種』って呼ばれる。『大いなる全知』の『亜種』にして、世界の果てで『大いなる封印』をしているものの『弟』なんだぁ」
「此処ではない世界での、神様みたいな存在ってこと?」
「正確にはちょっと違うのでしょうけれど、異世界でのラー一族のようなものだと思っていただけりゃいいと思います」
異世界、という言葉に僅かにシェラが反応する。
「だからガイアでしたっけ? 彼女は俺を『亜種なる方』と呼んだ」
「ガイアと話したの?」
「ええ、『悪しきもの』についてちょっと知りたかったので」
「君なら、どうにか出来るんじゃないの?」
「……俺はまだ未熟なんです」
ルウがそうは思えないとばかりに首を傾げたので、苦笑を返した。
未熟だと分かっているからこうして何度も生きているのだが、それを言ったところで理解されるとは思っていない。簡単に惑星一つを潰しても構わないと思えるほど感情豊かな彼であっても、シルビの『たった一人を救いたい』なんて願いが自己満足以外の何物でもないとは言わないだろう。
それにこの世界には、違う目的で来たのだ。
「それで、どうしてシルビは宇宙港に居たんだ? ルーファに会う為か?」
「ありゃ単に嫌な予感がしたんで、誰かに訊こうと思っただけの行動だぁ」
「思っただけ?」
やっと自分の説明が終わったという安堵に、話している途中だと分かっていながらもシェラが持ってきたクッキーを一つ摘まむ。干し葡萄の入ったそれは思った以上に美味しかった。