サイモンの災難
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レティシアが退院し狙撃犯を捕まえた日。撮影現場の家へ行ってそれぞれ自転車や端末を回収したレティシアやヴァンツァーと一緒にシルビは帰った。掃除は終わっていたしそれ以上シルビがやることもなく、撮影の邪魔になると考えたからである。
それに撮影現場にルウの姿が無かった。聞けばサイモンが銀行強盗に巻き込まれたとかで警察署へ行ったのを迎えに行ったらしい。それならばとアイリーンへ声をかけてそのまま帰ったのだ。
それからシルビがサイモンやアイリーンに関わることはなく、再びその名前を聞いたのはヴァンツァーから完成した映画を見に行かないかと誘われた時だった。
シルビ達が捕まえた狙撃犯は何者かから依頼されただけらしい。狙っていたのはアイリーンではなくサイモン。
犯人がサイモンを狙う理由はおそらく口封じだということも分かったらしい。やはり彼の審美眼が原因かと思ったが、そうではなく別の事件の証言者だったかもしれないという話だった。
「二十四年前の事件だったらしい」
「二十四年前、じゃあなぁ。俺生まれてもいなけりゃ生きてもいねぇタイミングだしぃ」
シルビが『イブリス』として生きていたのだってもっと昔の話である。それに社会情勢にも詳しくはなかったから何処かの惑星の一つの事件程度では覚えている訳もない。
だがそんな昔の事件の証言者までもを始末しようとする辺り、犯人はよほどその事件のことを隠したいのだろう。一つの事件を隠そうとして集団食中毒や放火未遂など、もっと危ない橋を渡っているような気もしなくはないが、その辺の理解はシルビにも出来なかった。
サイモンが監督しアイリーンが主演を演じた映画『彼女の作為』は、様々な酷評や議論を醸しながらもそれらが評判を呼び込み、放映地域の最優秀映画作品選考会へ出品される事が決まったという。題名通りアイリーン演じる『リリアン』の言動がどこまで作為的なものだったのか、そもそも作為であったのかどうかと議論の幅は果てが無く、そういったところが選考会へ選ばれた所以だ。
その選考会の授賞式がある十四日の昼。ヴァンツァーに誘われて観に行った『彼女の作為』は、およそ男が二人並んで観る映画ではなかった。
恋人と観る映画でもない。かといってレティシアもつれて男三人となればもっと変な状況になる作品である。ちなみにレティシアは違う用事があったらしい。
「おまえは自分の人生は夢物語だと言ったな」
観終わった後に入った飲食店で、一通り観たばかりの映画の評価をしあって分からなかった部分の解説も終えて、ヴァンツァーが話題を変える。
それに撮影現場にルウの姿が無かった。聞けばサイモンが銀行強盗に巻き込まれたとかで警察署へ行ったのを迎えに行ったらしい。それならばとアイリーンへ声をかけてそのまま帰ったのだ。
それからシルビがサイモンやアイリーンに関わることはなく、再びその名前を聞いたのはヴァンツァーから完成した映画を見に行かないかと誘われた時だった。
シルビ達が捕まえた狙撃犯は何者かから依頼されただけらしい。狙っていたのはアイリーンではなくサイモン。
犯人がサイモンを狙う理由はおそらく口封じだということも分かったらしい。やはり彼の審美眼が原因かと思ったが、そうではなく別の事件の証言者だったかもしれないという話だった。
「二十四年前の事件だったらしい」
「二十四年前、じゃあなぁ。俺生まれてもいなけりゃ生きてもいねぇタイミングだしぃ」
シルビが『イブリス』として生きていたのだってもっと昔の話である。それに社会情勢にも詳しくはなかったから何処かの惑星の一つの事件程度では覚えている訳もない。
だがそんな昔の事件の証言者までもを始末しようとする辺り、犯人はよほどその事件のことを隠したいのだろう。一つの事件を隠そうとして集団食中毒や放火未遂など、もっと危ない橋を渡っているような気もしなくはないが、その辺の理解はシルビにも出来なかった。
サイモンが監督しアイリーンが主演を演じた映画『彼女の作為』は、様々な酷評や議論を醸しながらもそれらが評判を呼び込み、放映地域の最優秀映画作品選考会へ出品される事が決まったという。題名通りアイリーン演じる『リリアン』の言動がどこまで作為的なものだったのか、そもそも作為であったのかどうかと議論の幅は果てが無く、そういったところが選考会へ選ばれた所以だ。
その選考会の授賞式がある十四日の昼。ヴァンツァーに誘われて観に行った『彼女の作為』は、およそ男が二人並んで観る映画ではなかった。
恋人と観る映画でもない。かといってレティシアもつれて男三人となればもっと変な状況になる作品である。ちなみにレティシアは違う用事があったらしい。
「おまえは自分の人生は夢物語だと言ったな」
観終わった後に入った飲食店で、一通り観たばかりの映画の評価をしあって分からなかった部分の解説も終えて、ヴァンツァーが話題を変える。