サイモンの災難
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救急隊の調査によれば、その日発送されたフードサービスセンターの弁当全てから食中毒菌が出たという話だった。出荷数二百九十三個。その内の数十個があの撮影現場へ届けられたという事である。
とはいえリィによってその菌が体内へ入るのを阻止、もしくは発症前に食中毒であることが発覚した為、前代未聞の発症者がいない食中毒事件となった。
待合室で携帯端末を操作していれば、既にその事件が報道されている。弁当を食べることの無かったシルビ達は、検査をして安全だという事が分かると解放されたのだ。
「レティシアの演技は分かっても、王妃のあれは分からないのか」
まだ検査結果が出ていないリィ達を待っている間に、隣にいたヴァンツァーが訊ねてくる。シルビより先に検査を終え、既に撮影現場から移動に使っていた車の移動も済ませていたらしい。それでも終わっていない程に時間が掛かっているのは二百人以上の対象がいるからだろう。
「リィが“金色の狼”だってのは分かるんだが、今までの人生じゃ流石にリィみてぇなのはいなかったよ」
食べてもいない食事に危険な菌が付着していることに気付けるなど、どれだけ本能が鋭くなっているのか。文化のある社会で安穏と暮らすことで、普通は退化していくものだろう。
シルビだって食中毒の菌に気付きはしなかった。そもそも今まで、菌を利用して殺そうという状況に置かれたことがあっただろうか。
センターで作られた“今日の”弁当全てにその菌が付着していたと携帯端末で見る報道では言っていた。だが着々と分かっていく情報へ目を通していけば、その食中毒菌の自然発生はありえないらしい。
となれば何者かが人為的に行なったという可能性がある。例えば死傷者を出すという不祥事を起こして、フードサービスセンターを失脚させたい恨みがある者。だがそれは事件発生後に調べられれば人為的要因だと分かってしまう以上あまり有効な手ではない。
「やれやれ、やっと終わったよ」
検査を終えて無感染だと結果が出たのだろうリィ達がロビーへやってくる。
「これじゃもう今日は撮影なんて無理だろ。おれ達はどうしようか」
「今ルウが入院する撮影スタッフに入り用なモンを買いに行ってる。俺とヴァンツァーとルウはレティシアの付き添いでまだ居るけど、戻ってきたらリィとシェラは寮へ帰ったらいいんじゃねぇかなぁ」
少しすると大荷物を抱えたルウが戻ってくる。一緒について行ければ良かったかと思ったが、シルビが検査を終えた時には既にルウは買いに行っていたのだ。
その大荷物の中からレティシアの分を取り分けてヴァンツァーへ持って行ってもらい、ルウとシルビは撮影スタッフの元へ向かう。リィとシェラは呼んだ車が到着次第帰ることで決まった。
とはいえリィによってその菌が体内へ入るのを阻止、もしくは発症前に食中毒であることが発覚した為、前代未聞の発症者がいない食中毒事件となった。
待合室で携帯端末を操作していれば、既にその事件が報道されている。弁当を食べることの無かったシルビ達は、検査をして安全だという事が分かると解放されたのだ。
「レティシアの演技は分かっても、王妃のあれは分からないのか」
まだ検査結果が出ていないリィ達を待っている間に、隣にいたヴァンツァーが訊ねてくる。シルビより先に検査を終え、既に撮影現場から移動に使っていた車の移動も済ませていたらしい。それでも終わっていない程に時間が掛かっているのは二百人以上の対象がいるからだろう。
「リィが“金色の狼”だってのは分かるんだが、今までの人生じゃ流石にリィみてぇなのはいなかったよ」
食べてもいない食事に危険な菌が付着していることに気付けるなど、どれだけ本能が鋭くなっているのか。文化のある社会で安穏と暮らすことで、普通は退化していくものだろう。
シルビだって食中毒の菌に気付きはしなかった。そもそも今まで、菌を利用して殺そうという状況に置かれたことがあっただろうか。
センターで作られた“今日の”弁当全てにその菌が付着していたと携帯端末で見る報道では言っていた。だが着々と分かっていく情報へ目を通していけば、その食中毒菌の自然発生はありえないらしい。
となれば何者かが人為的に行なったという可能性がある。例えば死傷者を出すという不祥事を起こして、フードサービスセンターを失脚させたい恨みがある者。だがそれは事件発生後に調べられれば人為的要因だと分かってしまう以上あまり有効な手ではない。
「やれやれ、やっと終わったよ」
検査を終えて無感染だと結果が出たのだろうリィ達がロビーへやってくる。
「これじゃもう今日は撮影なんて無理だろ。おれ達はどうしようか」
「今ルウが入院する撮影スタッフに入り用なモンを買いに行ってる。俺とヴァンツァーとルウはレティシアの付き添いでまだ居るけど、戻ってきたらリィとシェラは寮へ帰ったらいいんじゃねぇかなぁ」
少しすると大荷物を抱えたルウが戻ってくる。一緒について行ければ良かったかと思ったが、シルビが検査を終えた時には既にルウは買いに行っていたのだ。
その大荷物の中からレティシアの分を取り分けてヴァンツァーへ持って行ってもらい、ルウとシルビは撮影スタッフの元へ向かう。リィとシェラは呼んだ車が到着次第帰ることで決まった。