サイモンの災難
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階段の下の方へ腰を下ろして持ってきた携帯端末を弄っていると、論文をまとめ終えたらしいヴァンツァーが寄ってきた。先程まではソファで論文を制作していたのだが、どうやらソファにいるレティシア達の声で気が散ったらしい。
子供とはいえ六人ともなれば座る場所が足りなくなる。シルビが見ればさっきまでヴァンツァーが座っていた場所は既にレティシアへ奪われていた。
「何か質問?」
「サイモンが言った『炎の悪魔』とはお前にとって何だ?」
「……君が元々いた世界じゃ『神話』はあったかぁ?」
「あったな」
「多神教? 一神教?」
「多神教だ。だがオレはあまり神話は」
「俺はとある国で唯一神に反逆した精霊の名を持って産まれた」
何と返せばいいのか判断しかねるヴァンツァーへ続ける。
「その精霊が後々『炎の悪魔』と呼ばれるようになってる」
「……調べれば分かるか? いや、そもそもそれはこの世界の話ではないのか」
「調べりゃ出てくるよ。宇宙開拓よりも古い古い、まだ人類が一つの惑星から出ることを必死こいて成そうとしてた時代を調べりゃなぁ」
それに気付いた時、シルビはこの今の世界は遙か昔の延長線上にあるのかと考えた。だがそうであったとしても別にどうこうする必要も何もないと考え直し、調べる事を止めている。流石にそんな昔では何の手出しも出来ず影響すらない。
シルビは『ジャックとサブジェイ』へ会えればそれでいいのだ。
ヴァンツァーは考え込むように黙ってシルビを眺め、それから口を開く。
「そんな古い時代の生まれなのか?」
「正確には様々な異世界を渡り歩いて生きてる?」
「……オレ達が一度経験したことをおまえは何度も経験している?」
「俺が知ってる君の話がその通りであるならなぁ。合計すりゃ三桁は生きてる計算になる」
三桁といえど百の位の数字は一ではない。だから正しくは数百年で、それに加えて殆どが同一世界ではなく、違う文化を持つ異世界であるということも含まれる。
そういう意味では人生経験は豊富だ。本来なら黙って『一般人』を演じられるくらいには。
出来ないでいるのは元々のシルビが既に一般人ではないからであると言いたいが、それを言うとルウも一般人は無理だという話になってしまうので言わない。
「お前の人生こそ映画のようだ」
「『事実は小説よりも奇なり』という言葉があんだろぉ。俺の人生は夢物語さぁ」
二階の撮影現場の空気が変わる。それに気付いたらしいルウが気になったのか少し階段を上がっていった。
子供とはいえ六人ともなれば座る場所が足りなくなる。シルビが見ればさっきまでヴァンツァーが座っていた場所は既にレティシアへ奪われていた。
「何か質問?」
「サイモンが言った『炎の悪魔』とはお前にとって何だ?」
「……君が元々いた世界じゃ『神話』はあったかぁ?」
「あったな」
「多神教? 一神教?」
「多神教だ。だがオレはあまり神話は」
「俺はとある国で唯一神に反逆した精霊の名を持って産まれた」
何と返せばいいのか判断しかねるヴァンツァーへ続ける。
「その精霊が後々『炎の悪魔』と呼ばれるようになってる」
「……調べれば分かるか? いや、そもそもそれはこの世界の話ではないのか」
「調べりゃ出てくるよ。宇宙開拓よりも古い古い、まだ人類が一つの惑星から出ることを必死こいて成そうとしてた時代を調べりゃなぁ」
それに気付いた時、シルビはこの今の世界は遙か昔の延長線上にあるのかと考えた。だがそうであったとしても別にどうこうする必要も何もないと考え直し、調べる事を止めている。流石にそんな昔では何の手出しも出来ず影響すらない。
シルビは『ジャックとサブジェイ』へ会えればそれでいいのだ。
ヴァンツァーは考え込むように黙ってシルビを眺め、それから口を開く。
「そんな古い時代の生まれなのか?」
「正確には様々な異世界を渡り歩いて生きてる?」
「……オレ達が一度経験したことをおまえは何度も経験している?」
「俺が知ってる君の話がその通りであるならなぁ。合計すりゃ三桁は生きてる計算になる」
三桁といえど百の位の数字は一ではない。だから正しくは数百年で、それに加えて殆どが同一世界ではなく、違う文化を持つ異世界であるということも含まれる。
そういう意味では人生経験は豊富だ。本来なら黙って『一般人』を演じられるくらいには。
出来ないでいるのは元々のシルビが既に一般人ではないからであると言いたいが、それを言うとルウも一般人は無理だという話になってしまうので言わない。
「お前の人生こそ映画のようだ」
「『事実は小説よりも奇なり』という言葉があんだろぉ。俺の人生は夢物語さぁ」
二階の撮影現場の空気が変わる。それに気付いたらしいルウが気になったのか少し階段を上がっていった。