夜の展覧会
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部屋へ向かう廊下をヴァレンタイン卿と並んで歩く。
「全く、嫌な騒動へ巻き込まれてしまったな」
「ヴェロニカに誘拐された時の方が大変でした」
誘拐事件のことを口にすればヴァレンタイン卿も苦笑した。彼の息子であるリィもシェラも巻き込まれた上に、リィなんて二度と走れなくなるかも知れないと言われる程の怪我をした騒動だ。あまり思い出したくはないのかもしれない。
「あの時、君の親御さんの代役という方に会ったよ。妻と同じ名前で少し驚いた」
「そういえば奥様はマーガレットさんでしたね。マギーはここ暫くは愛称で呼んでいるので」
「彼女は君とは?」
「世話係の様な相手です。昔から色々とよくしてくれている」
よくして“くれている”というよりは、互いに協力しあっているようなものだが。
彼女も彼女の弟妹もある意味ではシルビと同じく『普通の人間』ではない。ただこの世界へ転生したシルビへ協力してくれている。それだけだ。
「失礼だが君のご両親は?」
「揃って身体が弱いのであまり故郷から出たり出来ないんです。たまに連絡をしてはいるんですが」
「そうなのか」
部屋の前に着いてそれぞれの部屋へ入る。ヴァレンタイン卿が入院していた昨日はシルビが一人部屋でリィとシェラが二人部屋だったが、今日はリィとヴァレンタイン卿という組み合わせだ。
シルビが部屋へ入るとシェラが荷物の整理をしていた。
「どこへ行っていたんです?」
「『弧蝶』に誘われて偽物部屋に」
不可解そうな顔をするシェラを尻目に空いていたベッドへ倒れ込む。今日は『ドミニク』に視界を奪われていただけではなく、感情のままに身体も動かされかけたせいか疲れた。
握ったパレットナイフ。あの時大声を出されていなかったら、シルビはあのまま何を切り裂いていたのだろうか。リィへ贈る事を妨害するモノを。
シルビは今でも『ジャックとサブジェイ』へ会うことを諦めていない。それを妨害する相手がいたら、やはり『ドミニク』がパレットナイフを握ったように怒るのだろうかと考える。
「……それ、喜ばねぇよなぁ」
呟いて起き上がったところで内線電話が鳴った。シェラが出てシルビを呼ぶのに替われば、隣室のリィの声がする。
『シルビ。ドミニクのことなんだけど。お前知ってたのか?』
「……さっきいなくなったんだけど、リィのとこに行ってたのかぁ?」
とうとうドミニクのことがバレたらしい。バラすのなら先に教えておいてくれよと思ったところで、戻ってきたらしい『ドミニク』によって視界がブレた。
「全く、嫌な騒動へ巻き込まれてしまったな」
「ヴェロニカに誘拐された時の方が大変でした」
誘拐事件のことを口にすればヴァレンタイン卿も苦笑した。彼の息子であるリィもシェラも巻き込まれた上に、リィなんて二度と走れなくなるかも知れないと言われる程の怪我をした騒動だ。あまり思い出したくはないのかもしれない。
「あの時、君の親御さんの代役という方に会ったよ。妻と同じ名前で少し驚いた」
「そういえば奥様はマーガレットさんでしたね。マギーはここ暫くは愛称で呼んでいるので」
「彼女は君とは?」
「世話係の様な相手です。昔から色々とよくしてくれている」
よくして“くれている”というよりは、互いに協力しあっているようなものだが。
彼女も彼女の弟妹もある意味ではシルビと同じく『普通の人間』ではない。ただこの世界へ転生したシルビへ協力してくれている。それだけだ。
「失礼だが君のご両親は?」
「揃って身体が弱いのであまり故郷から出たり出来ないんです。たまに連絡をしてはいるんですが」
「そうなのか」
部屋の前に着いてそれぞれの部屋へ入る。ヴァレンタイン卿が入院していた昨日はシルビが一人部屋でリィとシェラが二人部屋だったが、今日はリィとヴァレンタイン卿という組み合わせだ。
シルビが部屋へ入るとシェラが荷物の整理をしていた。
「どこへ行っていたんです?」
「『弧蝶』に誘われて偽物部屋に」
不可解そうな顔をするシェラを尻目に空いていたベッドへ倒れ込む。今日は『ドミニク』に視界を奪われていただけではなく、感情のままに身体も動かされかけたせいか疲れた。
握ったパレットナイフ。あの時大声を出されていなかったら、シルビはあのまま何を切り裂いていたのだろうか。リィへ贈る事を妨害するモノを。
シルビは今でも『ジャックとサブジェイ』へ会うことを諦めていない。それを妨害する相手がいたら、やはり『ドミニク』がパレットナイフを握ったように怒るのだろうかと考える。
「……それ、喜ばねぇよなぁ」
呟いて起き上がったところで内線電話が鳴った。シェラが出てシルビを呼ぶのに替われば、隣室のリィの声がする。
『シルビ。ドミニクのことなんだけど。お前知ってたのか?』
「……さっきいなくなったんだけど、リィのとこに行ってたのかぁ?」
とうとうドミニクのことがバレたらしい。バラすのなら先に教えておいてくれよと思ったところで、戻ってきたらしい『ドミニク』によって視界がブレた。