夜の展覧会
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恒星間通信をしに行ったらしいリィが戻ってきたのは、シルビがロビーへ到着したのと同時だった。
「誰に連絡取ってたんだぁ?」
「ルーファだよ。ドミニクが本物かどうか見分ける手がかりが欲しかったんだけど、ルーファは偽物だって断定してたな」
本物と贋物を摺り変えたかもしれない相手は、自称『ドミニクの生まれ変わり』だという。それでドミニク本人に会ったことがあるルウへどんな人かを訪ねたらしい。
本人を知る人物が居るのなら確かに聞いたほうが早いだろう。普通であれば。
ルウが本物じゃないと否定した事を不思議そうにしているリィに、それも当然だろうとは言えない。言ったらどうして分かるんだと問い詰められるし、そうなったら『現在進行形で取り憑かれています』なんて非科学的な事を言わねばならなくなる。
シルビの視界を邪魔している『ドミニク』はそのリィを見て右手をうずうずとさせていた。呑気だなと思わなくも無いが、『彼』は『暁の天使』がリィの元へ行けばそれ以外に不満は無いのだろう。そしてリィは自分でそれを成そうとしているから、『ドミニク』が口出しや手出しをする必要も無い。
だがそうなると、『ドミニク』がいる意味はあるのだろうかとちょっと不思議に思ってしまった。
グレン警部が迎えに来て警察車両で自称ドミニクがいる貧民屈へと向かう。自称ドミニクの正体は、七年前から行方知れずになっているチェスター・ビートンだと予想はついていた。
リィやシルビ達を車内へ残し、グレン警部や警察が目的の雑居ビルへと突入していく。車窓からそれを眺めていたシルビは、近くに停まっていた警察車両からスタイン教授や黒ずんだ館長が降りていくのに気付き、ドアを開けて車を降りた。
「シルビ?」
「スタイン教授達が行くみてぇだから、多分もう行っても平気だろぉ」
そう言えばリィやヴァレンタイン卿も車を降りてくる。
雑居ビルは七階建てで、チェスター・ビートンの部屋はその最上階だ。エレベーターも動いておらず非常階段を昇っていく。
上階へ上がる毎に部屋へ入りきれない警察の姿が現われ、思ったより頑丈そうな扉の奥は快適そうな生活空間が広がっていた。
けれどもそれは、『ドミニク』にはお気に召さなかったらしい。どこもかしこも『ドミニク』の視界では黒く塗り潰されており、描きかけの『暁の天使』など見れたものじゃなかった。
視界が酷すぎて頭痛がする。後ろではリィが自称ドミニクへ話しかけていた。
こんな絵を描く者が人の名前を名乗るなと怒鳴りたくなるのを堪える。こんな絵で満足するなと。
右手にパレットナイフを握った。
「誰に連絡取ってたんだぁ?」
「ルーファだよ。ドミニクが本物かどうか見分ける手がかりが欲しかったんだけど、ルーファは偽物だって断定してたな」
本物と贋物を摺り変えたかもしれない相手は、自称『ドミニクの生まれ変わり』だという。それでドミニク本人に会ったことがあるルウへどんな人かを訪ねたらしい。
本人を知る人物が居るのなら確かに聞いたほうが早いだろう。普通であれば。
ルウが本物じゃないと否定した事を不思議そうにしているリィに、それも当然だろうとは言えない。言ったらどうして分かるんだと問い詰められるし、そうなったら『現在進行形で取り憑かれています』なんて非科学的な事を言わねばならなくなる。
シルビの視界を邪魔している『ドミニク』はそのリィを見て右手をうずうずとさせていた。呑気だなと思わなくも無いが、『彼』は『暁の天使』がリィの元へ行けばそれ以外に不満は無いのだろう。そしてリィは自分でそれを成そうとしているから、『ドミニク』が口出しや手出しをする必要も無い。
だがそうなると、『ドミニク』がいる意味はあるのだろうかとちょっと不思議に思ってしまった。
グレン警部が迎えに来て警察車両で自称ドミニクがいる貧民屈へと向かう。自称ドミニクの正体は、七年前から行方知れずになっているチェスター・ビートンだと予想はついていた。
リィやシルビ達を車内へ残し、グレン警部や警察が目的の雑居ビルへと突入していく。車窓からそれを眺めていたシルビは、近くに停まっていた警察車両からスタイン教授や黒ずんだ館長が降りていくのに気付き、ドアを開けて車を降りた。
「シルビ?」
「スタイン教授達が行くみてぇだから、多分もう行っても平気だろぉ」
そう言えばリィやヴァレンタイン卿も車を降りてくる。
雑居ビルは七階建てで、チェスター・ビートンの部屋はその最上階だ。エレベーターも動いておらず非常階段を昇っていく。
上階へ上がる毎に部屋へ入りきれない警察の姿が現われ、思ったより頑丈そうな扉の奥は快適そうな生活空間が広がっていた。
けれどもそれは、『ドミニク』にはお気に召さなかったらしい。どこもかしこも『ドミニク』の視界では黒く塗り潰されており、描きかけの『暁の天使』など見れたものじゃなかった。
視界が酷すぎて頭痛がする。後ろではリィが自称ドミニクへ話しかけていた。
こんな絵を描く者が人の名前を名乗るなと怒鳴りたくなるのを堪える。こんな絵で満足するなと。
右手にパレットナイフを握った。