夜の展覧会
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「卿より近くへ居たというのに、リィ達をこんな目に合わせてしまい申し訳ありません」
「いや、君が謝ることではないよ。大方君も巻き込まれたんだろう?」
「美術館から盗むと言い出すようだったら止めるつもりでした」
グレン警部の隣へ立ってひたすらしおらしくかしこまり、申し訳ないと態度で示す。シルビは実のところあまり悪くないような気もするが、身近に居た年上であるという部分においては世間的にシルビへも責任が降りかかる。そうでなくともシルビ自身があまり納得できない。
一晩入院する程度の怪我で良かったというのは結果論だし、リィと一緒に行動していればもう少し違ったかもしれないのだ。そういったもしもの話をしても仕方が無いのは分かっているが。
ただちょっと、ぶれている視界も申し訳無さそうなのは笑えた。
そんなおかしさを堪えつつも謝罪するシルビをどう思ったのか、元々が優しい人であるヴァレンタイン卿は苦笑する。
「わたしは君にエドワードの保護者役を頼んだ覚えは無いよ。あの子の友人としていてくれればいいんだ」
「……勿体無いお言葉です」
グレン警部が何か言いたげだったのは無視した。
ヴァレンタイン卿が襲われたのは盗難美術品の取引現場らしい。何故そんな場所へ、と思ったがその辺りはリィ達の様子を見て把握した。頼んで囮だか潜入だかを頼んだのだろう。
リィの言動に対して父親らしい注意を良くする人だが、そんな場所へ頼まれて行ってしまうところは、なるほどリィの父親だ。
「明日には問題の家へ捜索に入りますので、以前にお話しした通り、ご子息をお借りします」
話が一段落し、改めてグレン警部が盗まれた『暁の天使』を買った疑いの家への家宅捜査にリィの同行を求める。ヴァレンタイン卿が自分を行くと言い出し、珍しくリィが難色を示していた。
聞いているとどうにも立場が逆転しているような言い合いに、付き合いの短いグレン警部まで笑いを堪えている。シェラは既に苦笑しきりだしシルビも何とも言えなかった。
すぐには終わる様子の無い言い合いに、シルビはこっそりグレン警部へと話しかける。
「本当は良くねぇのでしょうけれど、俺も同行を許可していただいていいでしょうか?」
「……当たり前のように付いて来ると思っていたよ」
シルビはそこまで厚顔ではない。むっとしたのが分かったのかグレン警部は困ったように眉を潜めつつも笑う。
「規格破りは今更だからね」
「目的の為に手段を……いえ、柔軟な思考なんですね」
結局親子の言い合いはヴァレンタイン卿の負けた者勝ちのような状況で終わり、警部の部下が明日病院へ迎えに来る事になった。
「いや、君が謝ることではないよ。大方君も巻き込まれたんだろう?」
「美術館から盗むと言い出すようだったら止めるつもりでした」
グレン警部の隣へ立ってひたすらしおらしくかしこまり、申し訳ないと態度で示す。シルビは実のところあまり悪くないような気もするが、身近に居た年上であるという部分においては世間的にシルビへも責任が降りかかる。そうでなくともシルビ自身があまり納得できない。
一晩入院する程度の怪我で良かったというのは結果論だし、リィと一緒に行動していればもう少し違ったかもしれないのだ。そういったもしもの話をしても仕方が無いのは分かっているが。
ただちょっと、ぶれている視界も申し訳無さそうなのは笑えた。
そんなおかしさを堪えつつも謝罪するシルビをどう思ったのか、元々が優しい人であるヴァレンタイン卿は苦笑する。
「わたしは君にエドワードの保護者役を頼んだ覚えは無いよ。あの子の友人としていてくれればいいんだ」
「……勿体無いお言葉です」
グレン警部が何か言いたげだったのは無視した。
ヴァレンタイン卿が襲われたのは盗難美術品の取引現場らしい。何故そんな場所へ、と思ったがその辺りはリィ達の様子を見て把握した。頼んで囮だか潜入だかを頼んだのだろう。
リィの言動に対して父親らしい注意を良くする人だが、そんな場所へ頼まれて行ってしまうところは、なるほどリィの父親だ。
「明日には問題の家へ捜索に入りますので、以前にお話しした通り、ご子息をお借りします」
話が一段落し、改めてグレン警部が盗まれた『暁の天使』を買った疑いの家への家宅捜査にリィの同行を求める。ヴァレンタイン卿が自分を行くと言い出し、珍しくリィが難色を示していた。
聞いているとどうにも立場が逆転しているような言い合いに、付き合いの短いグレン警部まで笑いを堪えている。シェラは既に苦笑しきりだしシルビも何とも言えなかった。
すぐには終わる様子の無い言い合いに、シルビはこっそりグレン警部へと話しかける。
「本当は良くねぇのでしょうけれど、俺も同行を許可していただいていいでしょうか?」
「……当たり前のように付いて来ると思っていたよ」
シルビはそこまで厚顔ではない。むっとしたのが分かったのかグレン警部は困ったように眉を潜めつつも笑う。
「規格破りは今更だからね」
「目的の為に手段を……いえ、柔軟な思考なんですね」
結局親子の言い合いはヴァレンタイン卿の負けた者勝ちのような状況で終わり、警部の部下が明日病院へ迎えに来る事になった。