夜の展覧会
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眼帯をし直すと文句を言うように頭痛が酷くなった。ルウが眼帯をしていない方の目を見て困った顔をするのに、シルビは安心させる為にも笑う。
「困らせに来た訳じゃねぇんだよ。ただちょっと俺が万が一変な行動をとり始めたら、コレが原因だってルウには言っておこうと思ってなぁ」
完全に取り憑かれた、なんて事があった場合、どうにかできるのはルウだけだろうと判断したのだ。リィやシェラ、レティシアやヴァンツァーでは、ただシルビを殺すだけになりそうで怖い。
しかしそうなったらドミニクの再来と持て囃されるのかと疑問に思ったところで、ルウが班のメンバーに呼ばれる。もう話している時間は無さそうなので、シルビは帰ることにした。
名残惜しそうな『ドミニク』の視界に苦笑しつつ、ルウへ帰ると告げればルウは困り果てた様子だ。
「気が済めば勝手に出てくだろぉ。そんなに気にする事じゃねぇよ」
「そう……?」
「どうしても気になるなら発表が終わったら会いに来てくれりゃいい」
苛々とした様子で再びルウが呼ばれる。その背を軽く押し出すようにして別れ、シルビはサフノスク大学を後にした。
寮の門限まではまだ時間があるので、文具屋で小さめのクロッキー帳数冊と筆記用具を買い、寮への帰り道を普段よりもゆっくり徘徊する。ぶれている視界が変わった動きをしたところで立ち止まり、買ったばかりのクロッキー帳を取り出せば視界が弾んだ。
「俺に害を与えなけりゃ少しは許すぜぇ。……まぁ、俺の画力は無ぇに等しいんだけどなぁ」
独り言のように呟けば途端にシルビの意思とは関係なく右手が鉛筆を握り締め、紙の上を滑り始める。見る見るうちに黒く埋まっていく画用紙に苦笑しつつ、どうしたものかと思った。
『ドミニク』がシルビへ『入ってきた』のはおそらく『暁の天使』が盗まれたからだ。同時にリィという遺言の相手が現われたからかもしれないが、いずれにせよ本物の『暁の天使』を見つけないことには何もならない。
となれば今週の休日もリィと行動を共にするのが、この『ドミニク』に出て行ってもらう為の一番良い方法だろう。美術館から盗むことは無くなったのならとこれ以上関わる気は無かったが、そうも言っていられないようだった。
「……っていうか、アンタが本物の在り処を教えてくれりゃいいんじゃ」
呟いた途端鉛筆を握っていた右手が荒ぶる。伝えられれば苦労はないと言った様子だが、今書いている紙に書けばいいのにと思った。
「困らせに来た訳じゃねぇんだよ。ただちょっと俺が万が一変な行動をとり始めたら、コレが原因だってルウには言っておこうと思ってなぁ」
完全に取り憑かれた、なんて事があった場合、どうにかできるのはルウだけだろうと判断したのだ。リィやシェラ、レティシアやヴァンツァーでは、ただシルビを殺すだけになりそうで怖い。
しかしそうなったらドミニクの再来と持て囃されるのかと疑問に思ったところで、ルウが班のメンバーに呼ばれる。もう話している時間は無さそうなので、シルビは帰ることにした。
名残惜しそうな『ドミニク』の視界に苦笑しつつ、ルウへ帰ると告げればルウは困り果てた様子だ。
「気が済めば勝手に出てくだろぉ。そんなに気にする事じゃねぇよ」
「そう……?」
「どうしても気になるなら発表が終わったら会いに来てくれりゃいい」
苛々とした様子で再びルウが呼ばれる。その背を軽く押し出すようにして別れ、シルビはサフノスク大学を後にした。
寮の門限まではまだ時間があるので、文具屋で小さめのクロッキー帳数冊と筆記用具を買い、寮への帰り道を普段よりもゆっくり徘徊する。ぶれている視界が変わった動きをしたところで立ち止まり、買ったばかりのクロッキー帳を取り出せば視界が弾んだ。
「俺に害を与えなけりゃ少しは許すぜぇ。……まぁ、俺の画力は無ぇに等しいんだけどなぁ」
独り言のように呟けば途端にシルビの意思とは関係なく右手が鉛筆を握り締め、紙の上を滑り始める。見る見るうちに黒く埋まっていく画用紙に苦笑しつつ、どうしたものかと思った。
『ドミニク』がシルビへ『入ってきた』のはおそらく『暁の天使』が盗まれたからだ。同時にリィという遺言の相手が現われたからかもしれないが、いずれにせよ本物の『暁の天使』を見つけないことには何もならない。
となれば今週の休日もリィと行動を共にするのが、この『ドミニク』に出て行ってもらう為の一番良い方法だろう。美術館から盗むことは無くなったのならとこれ以上関わる気は無かったが、そうも言っていられないようだった。
「……っていうか、アンタが本物の在り処を教えてくれりゃいいんじゃ」
呟いた途端鉛筆を握っていた右手が荒ぶる。伝えられれば苦労はないと言った様子だが、今書いている紙に書けばいいのにと思った。