夜の展覧会
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五、六年前まで『暁の天使』を六十二回も模写していたチェスター・ビートンという男の存在を見つけ、その男が住んでいた隣の市のヤンセまで確認に行ってみたものの、七年前に滞納していた家賃をいきなり一括で払ってその家を出て引っ越したらしい。
ところがそのビートンが出国した記録は無かった。それについてはシルビが《パラス・アテナ》のダイアナ程ではないが、少し深く踏み込んで調べたので間違いは無いだろう。納税記録なども無かった。
セントラルからは出ていないようだが、それでは何処へ消えたのかという謎と、近所の人からは精神的に危ない奴だと思われていたらしい者が、一人でそこまで姿を消すことが出来るのかという謎が残る。
おそらく両方ともビートンが一括で払ったという家賃の金を渡した相手が関わっているのだろうが、そこで連邦大学へ帰るタイムリミットが来てしまった。
「来週に持ち越しだなぁ」
「仕方ない。盗んだ奴が悪いんだ」
盗もうとしていた者の言える台詞ではないがそこは突っ込まない。他にもセントラルへ来ていた生徒達と合流しつつ、定期船《ディンガ》の中で、ショウ駆動機関の跳躍許可が降りるのを待っていると、何故か《ディンガ》が停船する。何事かと誰もが状況を把握しようとしているところへ今度は連邦警察の巡視船が接舷し、リィを呼ぶ放送が船内へ流れた。
呼ばれたのはリィだけであっても、一応保護者の上級生としてきていたシルビも立ち上がって一緒に搭乗口へと向かえば、連邦警察からグレン警部の指示で来たという二人組はリィに一緒に来て欲しいと告げる。
「すみません。俺はヴィッキーの上級生のシルビ・グラマトと言います。彼一人ではなく俺も一緒に連れて行ってもらえますか」
ゴリ押しの様にシルビが同行を申し出れば二人組は難色を示しかけたが、流石にここは常識的に譲れない。何かあれば幻覚で騙すことも考慮していれば、片方が何処かへ連絡を取ったかと思うと許可が出た。
おそらくグレン警部にでも連絡したのか。
一度シェラの元へ戻って先に帰っているように告げ、シルビとリィは警察の巡視船へ乗り込む。《ディンガ》に乗り込んだ以上、もう一度入国手続きをしなければならないのも省略して向かった先はエレメンタル美術館だった。
入り口ではグレン警部が待っていて、シルビとリィを見ると笑って近付いてくる。
「急に呼び出してすまなかったね」
「……『暁の天使』は国家も動かせるんですねぇ」
無論コレは皮肉だ。
ところがそのビートンが出国した記録は無かった。それについてはシルビが《パラス・アテナ》のダイアナ程ではないが、少し深く踏み込んで調べたので間違いは無いだろう。納税記録なども無かった。
セントラルからは出ていないようだが、それでは何処へ消えたのかという謎と、近所の人からは精神的に危ない奴だと思われていたらしい者が、一人でそこまで姿を消すことが出来るのかという謎が残る。
おそらく両方ともビートンが一括で払ったという家賃の金を渡した相手が関わっているのだろうが、そこで連邦大学へ帰るタイムリミットが来てしまった。
「来週に持ち越しだなぁ」
「仕方ない。盗んだ奴が悪いんだ」
盗もうとしていた者の言える台詞ではないがそこは突っ込まない。他にもセントラルへ来ていた生徒達と合流しつつ、定期船《ディンガ》の中で、ショウ駆動機関の跳躍許可が降りるのを待っていると、何故か《ディンガ》が停船する。何事かと誰もが状況を把握しようとしているところへ今度は連邦警察の巡視船が接舷し、リィを呼ぶ放送が船内へ流れた。
呼ばれたのはリィだけであっても、一応保護者の上級生としてきていたシルビも立ち上がって一緒に搭乗口へと向かえば、連邦警察からグレン警部の指示で来たという二人組はリィに一緒に来て欲しいと告げる。
「すみません。俺はヴィッキーの上級生のシルビ・グラマトと言います。彼一人ではなく俺も一緒に連れて行ってもらえますか」
ゴリ押しの様にシルビが同行を申し出れば二人組は難色を示しかけたが、流石にここは常識的に譲れない。何かあれば幻覚で騙すことも考慮していれば、片方が何処かへ連絡を取ったかと思うと許可が出た。
おそらくグレン警部にでも連絡したのか。
一度シェラの元へ戻って先に帰っているように告げ、シルビとリィは警察の巡視船へ乗り込む。《ディンガ》に乗り込んだ以上、もう一度入国手続きをしなければならないのも省略して向かった先はエレメンタル美術館だった。
入り口ではグレン警部が待っていて、シルビとリィを見ると笑って近付いてくる。
「急に呼び出してすまなかったね」
「……『暁の天使』は国家も動かせるんですねぇ」
無論コレは皮肉だ。