夜の展覧会
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次の日もエレメンタル美術館へ行き、美術館を一回りしてから中庭で昼食を取り、『暁の天使』について調べるらしいリィ達と別れてシルビは館内をフラフラと歩き回った。
昨日は自由に閲覧出来ていた『暁の天使』が公開中止になっているのを、どうやら偽物だと気付いたらしいと判断してその場を離れ、『弧蝶』が展示されている部屋で壁際にある休憩用の椅子を占領する。
美術館のいいところは閲覧客の誰もが声を潜め、静かな空間を保っているところだろう。地声の大きいシルビとしては無言にならざるを得ない場所だが、どうせ然程お喋りをするような所ではない。
途中職員だと勘違いされて展示物の所在を尋ねられたりもしたが、腹が減ってきたのと待ち合わせの時間が近付いてきたので立ち上がる。回廊を抜けた先にある中庭の売店へ向かった。
「……っと、失礼」
「こちらこそ」
売店で注文をする前にぶつかってきた男性を見て、シルビはそっと目を細める。男性は中庭を眺めていたせいでシルビに気付かなかったらしく、慌てて振り返って謝罪した。
およそ美術品を鑑賞する優雅な人種には見えないその男性は、シルビを見て驚いたように目を見張る。すぐにその動揺を押し隠してはいたものの、一度見えた疑心の色は無視できない。
軽食を選びながらすぐ傍でシルビの様子を窺っている男性を観察する。くたびれたスーツ。それなりに鍛えられている体格。
シルビを観察しながらも中庭に何か気になるものがあるのか頻繁にそちらへ視線を向けている。警戒を一点へ絞らない様子と、しかし害意は感じられない雰囲気。
「……ああ、警察かぁ」
注文した軽食を受け取ると男性がやはり同じ様に軽食を買い込む。少し離れた場所でそれを待っていたシルビは、男性が中庭へ向かって歩き出しかけたところで声を掛けた。
「あの子達は向こうにいますが、暴力行為を行なったりはしねぇと約束してください」
男性は声を掛けたシルビに驚いて振り返り、どうしてとばかりの表情をする。
「一応あの子達の引率として来てるんで、いくら貴方が警察の方だとしても警戒は必要でしょう?」
「……君は」
「とりあえず行きましょうか」
おそらく警察の人間だろう男性を引き連れて、中庭の奥まった場所で昼食を広げているリィ達の元へ向かった。リィ達は既に食べ始めていたが、シルビとシルビの後ろの男性を見ると手を止める。
リィとシェラの外見に驚いてか呆然と立ち尽くしている男性を無視して腰を降ろせば、リィが首を傾げながらシルビを見た。
「誰?」
「警察の人だぁ。どうも俺達を探ってるようだから連れて来た。ただし、害は無ぇと思う」
そこまで言って男性を振り返り座るように促す。男性は先手を取られたことに気付いた様子は無い。
昨日は自由に閲覧出来ていた『暁の天使』が公開中止になっているのを、どうやら偽物だと気付いたらしいと判断してその場を離れ、『弧蝶』が展示されている部屋で壁際にある休憩用の椅子を占領する。
美術館のいいところは閲覧客の誰もが声を潜め、静かな空間を保っているところだろう。地声の大きいシルビとしては無言にならざるを得ない場所だが、どうせ然程お喋りをするような所ではない。
途中職員だと勘違いされて展示物の所在を尋ねられたりもしたが、腹が減ってきたのと待ち合わせの時間が近付いてきたので立ち上がる。回廊を抜けた先にある中庭の売店へ向かった。
「……っと、失礼」
「こちらこそ」
売店で注文をする前にぶつかってきた男性を見て、シルビはそっと目を細める。男性は中庭を眺めていたせいでシルビに気付かなかったらしく、慌てて振り返って謝罪した。
およそ美術品を鑑賞する優雅な人種には見えないその男性は、シルビを見て驚いたように目を見張る。すぐにその動揺を押し隠してはいたものの、一度見えた疑心の色は無視できない。
軽食を選びながらすぐ傍でシルビの様子を窺っている男性を観察する。くたびれたスーツ。それなりに鍛えられている体格。
シルビを観察しながらも中庭に何か気になるものがあるのか頻繁にそちらへ視線を向けている。警戒を一点へ絞らない様子と、しかし害意は感じられない雰囲気。
「……ああ、警察かぁ」
注文した軽食を受け取ると男性がやはり同じ様に軽食を買い込む。少し離れた場所でそれを待っていたシルビは、男性が中庭へ向かって歩き出しかけたところで声を掛けた。
「あの子達は向こうにいますが、暴力行為を行なったりはしねぇと約束してください」
男性は声を掛けたシルビに驚いて振り返り、どうしてとばかりの表情をする。
「一応あの子達の引率として来てるんで、いくら貴方が警察の方だとしても警戒は必要でしょう?」
「……君は」
「とりあえず行きましょうか」
おそらく警察の人間だろう男性を引き連れて、中庭の奥まった場所で昼食を広げているリィ達の元へ向かった。リィ達は既に食べ始めていたが、シルビとシルビの後ろの男性を見ると手を止める。
リィとシェラの外見に驚いてか呆然と立ち尽くしている男性を無視して腰を降ろせば、リィが首を傾げながらシルビを見た。
「誰?」
「警察の人だぁ。どうも俺達を探ってるようだから連れて来た。ただし、害は無ぇと思う」
そこまで言って男性を振り返り座るように促す。男性は先手を取られたことに気付いた様子は無い。