暁の天使
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操縦の腕前が素晴らしかろうと、自然現象に対する動作に関して出来ない事もあるもので。跳躍した途端に迫ってきた小惑星を避ける事は出来なかった。
防御を最大出力にしても数十メートルの直径は大きすぎて耐えられそうになかったが、寸での差でその小惑星は《パラス・アテナ》の砲撃によって砕かれた。
凄まじい宇宙嵐の噴流は未だに収まっていない。《スティーヴンスン》の追跡をしようにも油断は出来ない状況だった。
「イブリス! 現在予測地点の割り出しはどうだ!?」
「イブリスって呼ぶなぁ! ……マクスウェル船長、操縦をお願いします!」
宙図と探知機と目視での判断で、シルビはスティーヴンスンが居るであろう座標へと船を進めてもらう。ここまでくると宙図はあまり使わず、探知機と目視による位置確認でしかない。
しかしそれこそシルビの得意とする方法ではある。小型戦闘機でもない船で小惑星群の間をすり抜け、小惑星の動きを利用し追っ手を撃墜。シルビ以外には感応頭脳でも不可能だろうとさえ、かつて言われたことがあった。
実際、シルビの指示通りに大荒れの小惑星群の間を抜けていくクーア・キングダムに、ダンもジャスミンも絶句している。コバンザメのようにクーア・キングダムのシールドへお邪魔している《パラス・アテナ》ではどうだか知れないが、時々小惑星を砲撃してもらうので声を掛ければ、楽しげな声が返ってきた。
「宰姫、二時の方向の小惑星を砲撃後、その下から来る小惑星の破壊を願います」
「了解」
「宰姫?」
「私のことよ。シルビがつけた私の名前。速さを司る姫って意味を込めて付けてくれたのよ」
「そういやお前、昔オレが女王と一緒にダイアンに乗るとか言ってただろ」
「いつの話だ? 海賊」
「最後に会ったときだったから、ちびすけどころかアンタと結婚する前だな」
「それはまた随分と古い話だな」
手元のコンソールが少し不吉な音を立てた。聞こえたらしいダンが振り向くが、顔色を変えてすぐに再び探知機へ目を戻している。
「キングぅ。俺が指示してるからって呑気に昔話しねぇでくれぇ」
「やっぱり覚えてるのか?」
「覚えてるぜぇ。でなけりゃ今頃生きてねぇ」
類を見ない宇宙嵐と対峙しているというのに、こんな学生に進行指示を出させているのだ。昔の記憶が無ければとっくに飲まれて全滅している。
溜め息を吐いて再び小惑星への砲撃を頼もうとしたところで、凄まじかった磁気嵐が急激に勢いをなくした。同時に《スティーヴンスン》からの救援信号が届く。
防御を最大出力にしても数十メートルの直径は大きすぎて耐えられそうになかったが、寸での差でその小惑星は《パラス・アテナ》の砲撃によって砕かれた。
凄まじい宇宙嵐の噴流は未だに収まっていない。《スティーヴンスン》の追跡をしようにも油断は出来ない状況だった。
「イブリス! 現在予測地点の割り出しはどうだ!?」
「イブリスって呼ぶなぁ! ……マクスウェル船長、操縦をお願いします!」
宙図と探知機と目視での判断で、シルビはスティーヴンスンが居るであろう座標へと船を進めてもらう。ここまでくると宙図はあまり使わず、探知機と目視による位置確認でしかない。
しかしそれこそシルビの得意とする方法ではある。小型戦闘機でもない船で小惑星群の間をすり抜け、小惑星の動きを利用し追っ手を撃墜。シルビ以外には感応頭脳でも不可能だろうとさえ、かつて言われたことがあった。
実際、シルビの指示通りに大荒れの小惑星群の間を抜けていくクーア・キングダムに、ダンもジャスミンも絶句している。コバンザメのようにクーア・キングダムのシールドへお邪魔している《パラス・アテナ》ではどうだか知れないが、時々小惑星を砲撃してもらうので声を掛ければ、楽しげな声が返ってきた。
「宰姫、二時の方向の小惑星を砲撃後、その下から来る小惑星の破壊を願います」
「了解」
「宰姫?」
「私のことよ。シルビがつけた私の名前。速さを司る姫って意味を込めて付けてくれたのよ」
「そういやお前、昔オレが女王と一緒にダイアンに乗るとか言ってただろ」
「いつの話だ? 海賊」
「最後に会ったときだったから、ちびすけどころかアンタと結婚する前だな」
「それはまた随分と古い話だな」
手元のコンソールが少し不吉な音を立てた。聞こえたらしいダンが振り向くが、顔色を変えてすぐに再び探知機へ目を戻している。
「キングぅ。俺が指示してるからって呑気に昔話しねぇでくれぇ」
「やっぱり覚えてるのか?」
「覚えてるぜぇ。でなけりゃ今頃生きてねぇ」
類を見ない宇宙嵐と対峙しているというのに、こんな学生に進行指示を出させているのだ。昔の記憶が無ければとっくに飲まれて全滅している。
溜め息を吐いて再び小惑星への砲撃を頼もうとしたところで、凄まじかった磁気嵐が急激に勢いをなくした。同時に《スティーヴンスン》からの救援信号が届く。