ミラージュの罠
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様々な職業を経験したと自負出来るが、時代や世界によって同じ名前の職でも度合いが違うのだとシルビは時々思う。ソレが進歩というものだと言ってしまえばそれまでだが、武器が高成長を遂げると、それを使う人間自体は退化するのもセオリーなのだろうか。
もっとも武器社会に限ったことではないので、やはりそういうものなのだろう。持ってきた万能ナイフさえ使わずに伸した五人の軍人を足元に、シルビは着ている雨具のフードを脱いだ。
五人の軍人は揃って暗視装置を装着していたのだが、暗視装置という物は便利なようでなかなか不便である。赤外線やマイクロ波を周囲へ発射し、物体へぶつかり反射したものを再び拾って解析することで、暗闇でも何があるのかを知ることが出来るものだが、機械的な作業が入る分視界が解析されるまでに時間が掛かるのだ。
更には発射する範囲も狭いので視界はそれだけ制限される。急に違う方向を見るなどといった、普段何気なくする行動をしようものなら解析が間に合わず何も見えなくなるし、遠くならともかく自分の手元や頭上などは、首を動かさなければ全く見えない。
五人の敗因を説明するなら、それだけである。ついでに言うならシルビほど気配に聡くなかった。
次があるかどうか分からないが、あるとすれば次こそ油断せずに頑張って欲しいものだと思いながら武器を回収していれば、リィが戻ってくる。
司令部で見つけたらしいロープを受け取って五人を縛り、避難小屋へと戻った。
敵が油断して申告してくれた人数である十五人全員を片付けた事を確認し、全員が居間へ集まる。
「実はここからがちょっと大仕事なんだ」
「何するんだよ」
「コイツ等を公衆の面前に晒すのさ」
「ばっ、リィ!?」
思わず声を荒げると不思議そうなファロット三人の視線が注がれた。それに構わずリィへ詰め寄る。流石にシルビもそこまで聞いていない。
「それをしたらどうなるか分かってんのかぁ!? 諜報世界に国も何も関係なく大打撃を与えんだぞぉ!?」
「それの何が悪い?」
あっけらかんと聞いてくるリィに二の句が継げなかった。
「おれはダグラスが殺されるのは理不尽だと思ってる。でもこのまま連邦大学を出たらおれ達にはどうにも出来なくなるんだ。だったら諜報世界だとかはどうでもいい。ダグラスの安全が先だ」
「……まぁ、正論だとは思うけど」
「だと思う、じゃなくてそれでいいんだよ。どうせ諜報世界なんておれ達には関係ない世界だからな」
だからといって普通はしないだろう。
時間が無いからと手早く指示を出し、シルビへも穴を掘る為にシャベルを渡すリィに、シルビはどうなっても知らないぞと空を仰いだ。
「……一応聞いとくが、ヴェラーレン長官への嫌がらせじゃねぇよなぁ?」
「なんだ、ヴェラーレンの奴を知ってるのか」
「……ううん、知らねぇ」
もう何も知らない。
もっとも武器社会に限ったことではないので、やはりそういうものなのだろう。持ってきた万能ナイフさえ使わずに伸した五人の軍人を足元に、シルビは着ている雨具のフードを脱いだ。
五人の軍人は揃って暗視装置を装着していたのだが、暗視装置という物は便利なようでなかなか不便である。赤外線やマイクロ波を周囲へ発射し、物体へぶつかり反射したものを再び拾って解析することで、暗闇でも何があるのかを知ることが出来るものだが、機械的な作業が入る分視界が解析されるまでに時間が掛かるのだ。
更には発射する範囲も狭いので視界はそれだけ制限される。急に違う方向を見るなどといった、普段何気なくする行動をしようものなら解析が間に合わず何も見えなくなるし、遠くならともかく自分の手元や頭上などは、首を動かさなければ全く見えない。
五人の敗因を説明するなら、それだけである。ついでに言うならシルビほど気配に聡くなかった。
次があるかどうか分からないが、あるとすれば次こそ油断せずに頑張って欲しいものだと思いながら武器を回収していれば、リィが戻ってくる。
司令部で見つけたらしいロープを受け取って五人を縛り、避難小屋へと戻った。
敵が油断して申告してくれた人数である十五人全員を片付けた事を確認し、全員が居間へ集まる。
「実はここからがちょっと大仕事なんだ」
「何するんだよ」
「コイツ等を公衆の面前に晒すのさ」
「ばっ、リィ!?」
思わず声を荒げると不思議そうなファロット三人の視線が注がれた。それに構わずリィへ詰め寄る。流石にシルビもそこまで聞いていない。
「それをしたらどうなるか分かってんのかぁ!? 諜報世界に国も何も関係なく大打撃を与えんだぞぉ!?」
「それの何が悪い?」
あっけらかんと聞いてくるリィに二の句が継げなかった。
「おれはダグラスが殺されるのは理不尽だと思ってる。でもこのまま連邦大学を出たらおれ達にはどうにも出来なくなるんだ。だったら諜報世界だとかはどうでもいい。ダグラスの安全が先だ」
「……まぁ、正論だとは思うけど」
「だと思う、じゃなくてそれでいいんだよ。どうせ諜報世界なんておれ達には関係ない世界だからな」
だからといって普通はしないだろう。
時間が無いからと手早く指示を出し、シルビへも穴を掘る為にシャベルを渡すリィに、シルビはどうなっても知らないぞと空を仰いだ。
「……一応聞いとくが、ヴェラーレン長官への嫌がらせじゃねぇよなぁ?」
「なんだ、ヴェラーレンの奴を知ってるのか」
「……ううん、知らねぇ」
もう何も知らない。