ミラージュの罠
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夕方になって雨が降り、更に暫くしてからレティシアとヴァンツァーが迷って雨に降られた登山客を装って、リィ達のいる非難小屋へ向かうのを見送り、シルビは葉の茂る木の上へと隠れる。
特殊部隊がどんな相手であれ、シルビ同様何処かへ隠れているとしても木の上は盲点だろう。集団で待機しているだろうから木の上に一人のほうが見つかりにくい。ましてや雨が降っているので尚更視線は上へと向けられないのだ。
夜なので暗視装置などを身に付けたなら、尚更視界は狭まる。避難小屋の窺える木の上で安定した位置を探して座り、シルビは時間が経つのを待った。
雨は夕立のようなものだったのかそう長い事経たずに小雨へと変わる。この調子なら明日の早朝には完全に止んでいるだろうと思ったところで、避難小屋の扉が少し開いた。
木の枝から飛び降り小屋へと向かえば、こんな状況だというのにリィとシェラがニッコリと迎える。
「寒かっただろ」
「氷山の中よりはマシだったぜぇ」
小屋の中には猿轡と細い糸のようなもので拘束されている八人の男女が、気を失って転がされていた。ダグラスは増えたシルビにもう頭が追いついていないらしい。
「その、君もなのか?」
「Si 前にも会ったけど、自己紹介がまだだったなぁ。時間が無いからシルビとだけ覚えてくれぇ」
持ってきた荷物をリィに頼まれて奥の部屋へと運び込み、シルビは荷物の中から万能ナイフだけを取り出した。
「シェラはダグラスを守れ。レティシアと黒すけもここだ。シルビは外の奴等を頼んでいいか」
「人数はぁ?」
「十五人だ」
という事は不自然さを出すように、何人かは小屋まで来させた方がいいだろう。びしょ濡れの雨具を被りなおし、近くにあるという司令部へ向かうリィと一緒に外へ出る。
雨は既に小雨だ。周囲を見回したリィが森の中の方向を見やるのに、シルビは顔に付いた水滴をぬぐって話し掛ける。
「方角はぁ?」
「あっちだ。シルビにも一応言っとくけど、殺すなよ」
「了解」
残念に思ったわけではないが、手加減は必要だろうなと考え直す。リィが森の中へ向かうのにシルビは一緒に森へ入り、途中で木の上へと登った。
リィが見えなくなってから、足元を五人組の軍人が避難小屋へと向かっていく。それを見送ってから、シルビは木の枝を伝ってリィの後を追いかけた。
リィがやはり五人組の軍人にわざと見つかり、司令部へ連れて行かれる。ルートは此処のようだから、待っていればリィを司令部へ連れて行った五人組が再び通るだろう。
「……ゲリラ戦ってこの世界でもまだあるのかぁ?」
素朴な疑問を呟くと案の定先程の五人組が行軍してくる。
シルビがいる木を通過したところで、シルビはその集団の背後へと飛び降りた。
特殊部隊がどんな相手であれ、シルビ同様何処かへ隠れているとしても木の上は盲点だろう。集団で待機しているだろうから木の上に一人のほうが見つかりにくい。ましてや雨が降っているので尚更視線は上へと向けられないのだ。
夜なので暗視装置などを身に付けたなら、尚更視界は狭まる。避難小屋の窺える木の上で安定した位置を探して座り、シルビは時間が経つのを待った。
雨は夕立のようなものだったのかそう長い事経たずに小雨へと変わる。この調子なら明日の早朝には完全に止んでいるだろうと思ったところで、避難小屋の扉が少し開いた。
木の枝から飛び降り小屋へと向かえば、こんな状況だというのにリィとシェラがニッコリと迎える。
「寒かっただろ」
「氷山の中よりはマシだったぜぇ」
小屋の中には猿轡と細い糸のようなもので拘束されている八人の男女が、気を失って転がされていた。ダグラスは増えたシルビにもう頭が追いついていないらしい。
「その、君もなのか?」
「Si 前にも会ったけど、自己紹介がまだだったなぁ。時間が無いからシルビとだけ覚えてくれぇ」
持ってきた荷物をリィに頼まれて奥の部屋へと運び込み、シルビは荷物の中から万能ナイフだけを取り出した。
「シェラはダグラスを守れ。レティシアと黒すけもここだ。シルビは外の奴等を頼んでいいか」
「人数はぁ?」
「十五人だ」
という事は不自然さを出すように、何人かは小屋まで来させた方がいいだろう。びしょ濡れの雨具を被りなおし、近くにあるという司令部へ向かうリィと一緒に外へ出る。
雨は既に小雨だ。周囲を見回したリィが森の中の方向を見やるのに、シルビは顔に付いた水滴をぬぐって話し掛ける。
「方角はぁ?」
「あっちだ。シルビにも一応言っとくけど、殺すなよ」
「了解」
残念に思ったわけではないが、手加減は必要だろうなと考え直す。リィが森の中へ向かうのにシルビは一緒に森へ入り、途中で木の上へと登った。
リィが見えなくなってから、足元を五人組の軍人が避難小屋へと向かっていく。それを見送ってから、シルビは木の枝を伝ってリィの後を追いかけた。
リィがやはり五人組の軍人にわざと見つかり、司令部へ連れて行かれる。ルートは此処のようだから、待っていればリィを司令部へ連れて行った五人組が再び通るだろう。
「……ゲリラ戦ってこの世界でもまだあるのかぁ?」
素朴な疑問を呟くと案の定先程の五人組が行軍してくる。
シルビがいる木を通過したところで、シルビはその集団の背後へと飛び降りた。