ミラージュの罠
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短期留学生の教育課程の一つとして、留学中に一度は出来れば在校生と一緒に野営を経験するというものがある。いくら命を狙われていようとダグラスは短期留学生である為、その野外活動を行なわねばならず、多少の危険を承知でも行かねばならない。
同行者は中学生が二人。それでダグラスの命を狙う者達が、『野外活動中だから手を出さない』なんて引いてくれる訳がなかった。
「……この場合どっちが鴨葱かねえ?」
双眼鏡を覗き、木の上から崖の途中の木の周りを飛び跳ねているリィを眺めるシルビに、隣の枝の上でしゃがんでいるレティシアが話し掛けてくる。
ダグラス達が野外活動として選んだキャラウェイ山の中腹。シルビがサフノスク大学でディオンの話をルウと聞いてから、一晩が経過している。
山中で一泊し、頂上を踏んでから降りる予定だったダグラス達を追いかけるように、シルビもレティシアとヴァンツァーと共にキャラウェイ山へと来ていた。
そもそものこの野営活動自体、ダグラスの命を狙っている『不死鳥』と『蜃気楼』を一網打尽にする為の罠なのである。ダグラス自身に関しては罠である事は知らないし、野外活動自体本当に教育課程として組み込まれている物なので、どちらかというと野外活動をルウ達が利用したと言ったほうが正しいが。
案の定というべきか、シルビ達が山を登りリィ達を遠目に見つけた時には、既に暗殺を得意とする『蜃気楼』らしき者達がリィ達へ接近していた。ここでのこのこ出て行くつもりは無いが。
「少なくともやり方がナンセンスだなぁって思う。事故に見せかけるにしたって、もう少しやりようがあるんじゃねぇ?」
「まあ、確かにな」
リィ達三人が、登山者を装った八人と一緒に歩き出すのを確認して木の枝から飛び降りれば、下で待っていたヴァンツァーが不機嫌そうに鼻を鳴らす。勉強の予定が狂ったからだろう。その足元にはシルビとレティシアの荷物が置いてあった。
荷物の中身はシェラやリィに頼まれた鉛玉や、何に使うのか不明な印刷機などである。最初リィは自分で持って行くといっていたのだが、シルビが不用意に無関係な物を持っていては怪しまれるだろうし、荷物も増えるからと分担したのだ。
その荷物を背負い、リィ達にあまり近付かないように後を追いかける。リィ達を見張っているのはシルビ達だけではないはずで、何処かに隠れているであろう『不死鳥』だか『蜃気楼』だかにも気をつけなければいけない。
やがて避難小屋で一泊する事にしたらしい一行に、シルビは一緒に来ていた二人を振り返る。
「俺はダグラスに顔を見られてんだぁ」
「では外で待っているしかないな」
同行者は中学生が二人。それでダグラスの命を狙う者達が、『野外活動中だから手を出さない』なんて引いてくれる訳がなかった。
「……この場合どっちが鴨葱かねえ?」
双眼鏡を覗き、木の上から崖の途中の木の周りを飛び跳ねているリィを眺めるシルビに、隣の枝の上でしゃがんでいるレティシアが話し掛けてくる。
ダグラス達が野外活動として選んだキャラウェイ山の中腹。シルビがサフノスク大学でディオンの話をルウと聞いてから、一晩が経過している。
山中で一泊し、頂上を踏んでから降りる予定だったダグラス達を追いかけるように、シルビもレティシアとヴァンツァーと共にキャラウェイ山へと来ていた。
そもそものこの野営活動自体、ダグラスの命を狙っている『不死鳥』と『蜃気楼』を一網打尽にする為の罠なのである。ダグラス自身に関しては罠である事は知らないし、野外活動自体本当に教育課程として組み込まれている物なので、どちらかというと野外活動をルウ達が利用したと言ったほうが正しいが。
案の定というべきか、シルビ達が山を登りリィ達を遠目に見つけた時には、既に暗殺を得意とする『蜃気楼』らしき者達がリィ達へ接近していた。ここでのこのこ出て行くつもりは無いが。
「少なくともやり方がナンセンスだなぁって思う。事故に見せかけるにしたって、もう少しやりようがあるんじゃねぇ?」
「まあ、確かにな」
リィ達三人が、登山者を装った八人と一緒に歩き出すのを確認して木の枝から飛び降りれば、下で待っていたヴァンツァーが不機嫌そうに鼻を鳴らす。勉強の予定が狂ったからだろう。その足元にはシルビとレティシアの荷物が置いてあった。
荷物の中身はシェラやリィに頼まれた鉛玉や、何に使うのか不明な印刷機などである。最初リィは自分で持って行くといっていたのだが、シルビが不用意に無関係な物を持っていては怪しまれるだろうし、荷物も増えるからと分担したのだ。
その荷物を背負い、リィ達にあまり近付かないように後を追いかける。リィ達を見張っているのはシルビ達だけではないはずで、何処かに隠れているであろう『不死鳥』だか『蜃気楼』だかにも気をつけなければいけない。
やがて避難小屋で一泊する事にしたらしい一行に、シルビは一緒に来ていた二人を振り返る。
「俺はダグラスに顔を見られてんだぁ」
「では外で待っているしかないな」