ミラージュの罠
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「グレッグ従兄さん! 遅かったね、待ちくたびれたよ! ……なんて演技をする必要は無さそうだなぁ」
サフノスク大学構内の遊歩道で、ダグラスの名前を使って呼び出したディオンは、待ち合わせ場所の長椅子に座っているのが、ダグラスではなくルウとシルビであることに面食らっているようだった。
「あー、坊やはどうしたんだい?」
「今日はお休みだよ。土曜日だもん」
「嘘だろ。オレは坊やに呼ばれてきたんだぜ?」
「呼んだのはぼくたち」
騙す形で呼び出したのは申し訳ないが、ディオンの持っている『情報』が欲しい今は形振り構うつもりは無い。元より相手も一度はダグラスを騙している相手である。
長椅子のシルビを挟んで端へ座ったディオンは、ルウに催促されて迷っていたが、話すと決めると前置きなく本題へ入った。
話の殆どはヴェラーレン長官から聞いたものと同じだ。違うのは『二重スパイの作り方』について。
ヴェラーレン長官が『洗脳』によって諜報員を育てる、というのに対し、ディオンは『人間をそっくりそのまま摩り替える』という。
まず下っ端の職員をすり返るとして、その者の家族構成、卒業した学校、友人関係、履歴、性格、癖さえも徹底的に調べ上げる。それらを徹底的に把握したら、今度はその人物そっくりに整形させいた自国の諜報員へその全てを教え込み、本人を始末して入れ替えれば第一段階は終了。
それを少しずつくり返し、最終的に階級持ちをもすり替えるという寸法らしい。じわじわと周囲から責めていくところに『陣取りゲーム』かと思う。
だがダルチェフは、それを真面目に行なっているのだ。
「問題は誰が本物で誰が偽物なのか、どこを探せばその推測を裏付けるだけの証拠が見つけられるのか、皆目見当がつかないってことさ」
「ここまで話しておいて証拠がないの?」
「まさにその点で俺も頭が痛いのさ。証拠があればとっくに記事にしてるよ」
「シルビ、分かったりする?」
「お前は俺に何を期待してんだぁ? ……本気出せば分かると思うけど」
「分かるのかよ!?」
ディオンが叫んだが、シルビが本気を出して『×××』を利用すれば、分からない事など無い。しかし協力するつもりだって無かった。
そもそも『×××』を使う時点で『一般人失格』である。ただでさえ現状『一般人失格者』なのだ。
しかしディオンの話を聞いたことで、『×××』を使わずともダグラスを狙う何かの目途が付けられるという物だろう。そのダグラスは、今日の朝からリィ達と一緒に山へ登っている。
ディオンの顔色を観察しながら、ルウがダグラスの登山の事を告げるのを聞きながら、シルビも時間を確認して立ち上がった。
そろそろヴァンツァー達と合流しなければならない。
サフノスク大学構内の遊歩道で、ダグラスの名前を使って呼び出したディオンは、待ち合わせ場所の長椅子に座っているのが、ダグラスではなくルウとシルビであることに面食らっているようだった。
「あー、坊やはどうしたんだい?」
「今日はお休みだよ。土曜日だもん」
「嘘だろ。オレは坊やに呼ばれてきたんだぜ?」
「呼んだのはぼくたち」
騙す形で呼び出したのは申し訳ないが、ディオンの持っている『情報』が欲しい今は形振り構うつもりは無い。元より相手も一度はダグラスを騙している相手である。
長椅子のシルビを挟んで端へ座ったディオンは、ルウに催促されて迷っていたが、話すと決めると前置きなく本題へ入った。
話の殆どはヴェラーレン長官から聞いたものと同じだ。違うのは『二重スパイの作り方』について。
ヴェラーレン長官が『洗脳』によって諜報員を育てる、というのに対し、ディオンは『人間をそっくりそのまま摩り替える』という。
まず下っ端の職員をすり返るとして、その者の家族構成、卒業した学校、友人関係、履歴、性格、癖さえも徹底的に調べ上げる。それらを徹底的に把握したら、今度はその人物そっくりに整形させいた自国の諜報員へその全てを教え込み、本人を始末して入れ替えれば第一段階は終了。
それを少しずつくり返し、最終的に階級持ちをもすり替えるという寸法らしい。じわじわと周囲から責めていくところに『陣取りゲーム』かと思う。
だがダルチェフは、それを真面目に行なっているのだ。
「問題は誰が本物で誰が偽物なのか、どこを探せばその推測を裏付けるだけの証拠が見つけられるのか、皆目見当がつかないってことさ」
「ここまで話しておいて証拠がないの?」
「まさにその点で俺も頭が痛いのさ。証拠があればとっくに記事にしてるよ」
「シルビ、分かったりする?」
「お前は俺に何を期待してんだぁ? ……本気出せば分かると思うけど」
「分かるのかよ!?」
ディオンが叫んだが、シルビが本気を出して『×××』を利用すれば、分からない事など無い。しかし協力するつもりだって無かった。
そもそも『×××』を使う時点で『一般人失格』である。ただでさえ現状『一般人失格者』なのだ。
しかしディオンの話を聞いたことで、『×××』を使わずともダグラスを狙う何かの目途が付けられるという物だろう。そのダグラスは、今日の朝からリィ達と一緒に山へ登っている。
ディオンの顔色を観察しながら、ルウがダグラスの登山の事を告げるのを聞きながら、シルビも時間を確認して立ち上がった。
そろそろヴァンツァー達と合流しなければならない。