ミラージュの罠
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『じゃあディオンと取引したんだ?』
「取引っていえるのかねぇ。俺はただ『迂闊にダグラスへ近付くな』ってお願いしただけだしぃ」
その『近付くな』というのが難しい事であることは分かっている。
しかし本来部外者立ち入り禁止の大学構内で、どう見ても大学生には見えないディオンと話をしていたという時点で、結構目立つ行為だった。薬物を持ってきたのは学生に扮した若い女だったというし、当然あの時も視線は特に感じなかったが誰かが監視していたかもしれない。
そうなればディオンは既に『怪しまれている』のだ。もしそれを不死鳥だが蜃気楼だかに嗅ぎ付けられれば、ダグラスが持っている『何か』を流そうとしていると思われることは必須で、更に状況は悪くなるだろう。
大学を出て行くディオンを追う際、シルビがわざと演技したのも、その疑いを少しでも逸らせやしないかという努力の結果である。効果があったのかは今のところ不明だが。
その代わりにシルビが出した手札は、過去に不死鳥と蜃気楼が関わったと思しき事件や事故の選出と、ソレを調べていく上での取っ掛かりの要約だ。ただ選出しただけではディオンにとってはただの事件でしかないのだから、そこまでサービスしてやらないと意味がない。
「だた、凄く地味で面倒臭せぇんだよなぁ。こういう時宰妃の有り難さが分かるぜぇ」
『ぼくも時々そう思うよ。それで、ダグラスが持ってるであろう『何か』については何か分かった?』
「情報はあっても検索する場所が無ぇ。学校や街の資料館じゃ深部までは到底無理だなぁ。いっそ連邦の情報局に忍び込めたらって思うぜぇ」
半分冗談のつもりで言えば、通信機の向こうでルウが明るく言った。
『その手があった!』
「……へ?」
『そうだね。連邦の情報局なら確実だよね。うん……明日ちょっと行って来るよ』
本来はそんな簡単に行ける場所ではないし、そもそも聞き出せるはずも無いというのに、ルウはそんな事は関係ないとばかりに感心している。もしかしてこれは変なフラグを立ててしまっただろうかとシルビは思ったが、まぁ、自分に降りかかるそうなフラグではないのでいいかと思うことにした。
だから次の日学校が終わるのを待たずに拉致され、およそ人ではありえない方法で共和宇宙連邦の連邦情報局へルウと一緒に行く事になったのは、決して自分のフラグではなかったと思いたい。
では誰のフラグだったのかというと、おそらくルウが来たと知って可哀想なぐらいに顔色を変えたアダム・ヴェラーレン情報局長官だろう。
この人へ何かしたのかとルウを正座させて問いただしたくなるくらい、彼は泣きそうになっていた。
「取引っていえるのかねぇ。俺はただ『迂闊にダグラスへ近付くな』ってお願いしただけだしぃ」
その『近付くな』というのが難しい事であることは分かっている。
しかし本来部外者立ち入り禁止の大学構内で、どう見ても大学生には見えないディオンと話をしていたという時点で、結構目立つ行為だった。薬物を持ってきたのは学生に扮した若い女だったというし、当然あの時も視線は特に感じなかったが誰かが監視していたかもしれない。
そうなればディオンは既に『怪しまれている』のだ。もしそれを不死鳥だが蜃気楼だかに嗅ぎ付けられれば、ダグラスが持っている『何か』を流そうとしていると思われることは必須で、更に状況は悪くなるだろう。
大学を出て行くディオンを追う際、シルビがわざと演技したのも、その疑いを少しでも逸らせやしないかという努力の結果である。効果があったのかは今のところ不明だが。
その代わりにシルビが出した手札は、過去に不死鳥と蜃気楼が関わったと思しき事件や事故の選出と、ソレを調べていく上での取っ掛かりの要約だ。ただ選出しただけではディオンにとってはただの事件でしかないのだから、そこまでサービスしてやらないと意味がない。
「だた、凄く地味で面倒臭せぇんだよなぁ。こういう時宰妃の有り難さが分かるぜぇ」
『ぼくも時々そう思うよ。それで、ダグラスが持ってるであろう『何か』については何か分かった?』
「情報はあっても検索する場所が無ぇ。学校や街の資料館じゃ深部までは到底無理だなぁ。いっそ連邦の情報局に忍び込めたらって思うぜぇ」
半分冗談のつもりで言えば、通信機の向こうでルウが明るく言った。
『その手があった!』
「……へ?」
『そうだね。連邦の情報局なら確実だよね。うん……明日ちょっと行って来るよ』
本来はそんな簡単に行ける場所ではないし、そもそも聞き出せるはずも無いというのに、ルウはそんな事は関係ないとばかりに感心している。もしかしてこれは変なフラグを立ててしまっただろうかとシルビは思ったが、まぁ、自分に降りかかるそうなフラグではないのでいいかと思うことにした。
だから次の日学校が終わるのを待たずに拉致され、およそ人ではありえない方法で共和宇宙連邦の連邦情報局へルウと一緒に行く事になったのは、決して自分のフラグではなかったと思いたい。
では誰のフラグだったのかというと、おそらくルウが来たと知って可哀想なぐらいに顔色を変えたアダム・ヴェラーレン情報局長官だろう。
この人へ何かしたのかとルウを正座させて問いただしたくなるくらい、彼は泣きそうになっていた。