ミラージュの罠
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「ダルチェフの蜃気楼が片付けているのは凶悪犯じゃなく、政府に批判的な思想家や事業家、報道記者だってところが連邦とは違う。もう一つ大きな特徴として、この部隊は暗殺に銃や刃物を使わない。あくまでも事故に見せかける技能集団なのさ。だからなおさら実態が掴めないはずなんだが……」
「確かに一見じゃ事故死だったろうけど、もうちょっと頭を働かせた方がいいと思うぜぇ。自然死に拘りすぎて逆に不自然なのも幾つかあったしぃ」
「……不死鳥にせよ蜃気楼にせよ、普通は子供にばれたり顔を見られたりするような下手は打たない」
それがダグラスの前には、素顔を晒して安保局を名乗る二人組が誘拐同然で来たというし、昨日も薬物による暗殺を企てられており、ただの学生でしかないはずのダグラスが狙われている。これは確実に異常だし、何か理由がある筈だとディオンは言う。
安保局を名乗った二人に直接聞くなんて馬鹿なことも出来ず、同時にダグラスには心当たりが何一つ無い。それでは何が相手の目的であるかもダグラスへ何をしようとしているのかも分からないままだ。
最悪ダグラスを殺せばいいという極論へと行きつく前に、と言いたいところだが既に昨日、その極論へ到達しているのだろう事は既にシルビ達は勘付いている。
「自分の身が大事なら何をすべきか自分で考えろ。オレの言いたいことはそれだけさ」
大真面目に心当たりを思い出してくれとディオンが去っていく。シルビはその後ろ姿をしばらく見つめてから、ルウへ目配せをしてディオンを追いかけた。
慎重に大学の構内へ出るのを待って、それから急いで追いかけてきたという様子を装ってディオンの腕へとしがみ付く。驚いて振り返ったディオンにニッコリと、『子供らしく』笑いかけた。
「グレック従兄さん! 奢るのが嫌だからって先に帰るなよ!」
「は……ぇ?」
「折角久しぶりに会ったのに置いてくとか、オバサンにいいつけるからな!」
笑いかけ演技をしながら『ここは話を合わせろ』と目で合図する。
戸惑いを浮かべていたディオンは、シルビが引っ張るように歩き出してからやっとぎこちなく笑みを浮かべた。
「……仕方ないな。何が食いたいんだよ」
「寮に帰ったらすぐ夕食だから、あんまり食べないかな」
さり気なく通りを徘徊しながら客の少なそうな喫茶店へと入り、店内が見渡せる席へ座る。
注文をして飲み物が来る前に、シルビは身を乗り出して向かいへ座ったディオンへと演技を止めて話しかけた。
「アンタは別にダルチェフ出身じゃ無ぇ。でも軍事専門ジャーナリストというだけにしちゃ、ダルチェフの内部事情に詳しい。……アンタの本当の『お仕事』は何なのか聞いてもぉ?」
「……君はどう思うんだ?」
「何処だかまでは確定出来ねぇけど、ダルチェフ以外の情報局の手下」
「確かに一見じゃ事故死だったろうけど、もうちょっと頭を働かせた方がいいと思うぜぇ。自然死に拘りすぎて逆に不自然なのも幾つかあったしぃ」
「……不死鳥にせよ蜃気楼にせよ、普通は子供にばれたり顔を見られたりするような下手は打たない」
それがダグラスの前には、素顔を晒して安保局を名乗る二人組が誘拐同然で来たというし、昨日も薬物による暗殺を企てられており、ただの学生でしかないはずのダグラスが狙われている。これは確実に異常だし、何か理由がある筈だとディオンは言う。
安保局を名乗った二人に直接聞くなんて馬鹿なことも出来ず、同時にダグラスには心当たりが何一つ無い。それでは何が相手の目的であるかもダグラスへ何をしようとしているのかも分からないままだ。
最悪ダグラスを殺せばいいという極論へと行きつく前に、と言いたいところだが既に昨日、その極論へ到達しているのだろう事は既にシルビ達は勘付いている。
「自分の身が大事なら何をすべきか自分で考えろ。オレの言いたいことはそれだけさ」
大真面目に心当たりを思い出してくれとディオンが去っていく。シルビはその後ろ姿をしばらく見つめてから、ルウへ目配せをしてディオンを追いかけた。
慎重に大学の構内へ出るのを待って、それから急いで追いかけてきたという様子を装ってディオンの腕へとしがみ付く。驚いて振り返ったディオンにニッコリと、『子供らしく』笑いかけた。
「グレック従兄さん! 奢るのが嫌だからって先に帰るなよ!」
「は……ぇ?」
「折角久しぶりに会ったのに置いてくとか、オバサンにいいつけるからな!」
笑いかけ演技をしながら『ここは話を合わせろ』と目で合図する。
戸惑いを浮かべていたディオンは、シルビが引っ張るように歩き出してからやっとぎこちなく笑みを浮かべた。
「……仕方ないな。何が食いたいんだよ」
「寮に帰ったらすぐ夕食だから、あんまり食べないかな」
さり気なく通りを徘徊しながら客の少なそうな喫茶店へと入り、店内が見渡せる席へ座る。
注文をして飲み物が来る前に、シルビは身を乗り出して向かいへ座ったディオンへと演技を止めて話しかけた。
「アンタは別にダルチェフ出身じゃ無ぇ。でも軍事専門ジャーナリストというだけにしちゃ、ダルチェフの内部事情に詳しい。……アンタの本当の『お仕事』は何なのか聞いてもぉ?」
「……君はどう思うんだ?」
「何処だかまでは確定出来ねぇけど、ダルチェフ以外の情報局の手下」