ミラージュの罠
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大学構内の芝生へは、リィとシェラの他に、黒髪の真面目そうな青年が待っていた。青年はシルビを見て不思議そうにしたものの、隣を歩いていたディオンを見て飛び上がる。それをディオンが笑って押さえた。
「まぁ、怒りなさんな。嘘を言ったのは悪かったよ。本当はこういうもんだ」
全員に見せるように差し出された名刺には小難しい略語が並んでいる。新聞記者ではなく軍事専門のフリージャーナリストだというが、その言葉が信用できるかどうかというとまた別だ。
「オレは各国の軍備を記事にして発表している。特に公式の軍隊には含まれない、それでも間違いなくそこに存在している軍事部門にいくらか光を当ててやっている。そういう仕事だ」
「存在しているのに公式には含まれない?」
リィが呟くのにシルビは軽く手を振った。
「公然の秘密ってヤツだぁ。大抵は一般大衆へ公開出来ねぇような汚れ役で、普通に事件やテロで行動して報道に受け答えする部隊とは逆に、報道もされなけりゃ存在さえ『無い』とされている部隊ってこと」
「よく知ってるな。おたく軍事マニアか?」
ディオンの問いに無言で肩をすくめる。
リィ達と一緒に居る真面目そうな青年、ザック・ダグラスというらしいが、彼こそ昨日ルウが通信で言っていた『何かに巻き込まれた』リィの知り合いの様だ。更にはディオンが刑事のフリをして話を聞き出そうともしたらしい。
だから現在ディオンがルウへ捕まったのだという事は分かった。となるとやはり、ジャーナリストではない気がする。やり方がジャーナリストではない。
「ダルチェフには公式には存在を認められていない特殊部隊が分かっているだけで二つある。それぞれ不死鳥、蜃気楼って大層な名前で呼ばれていてな」
「不死鳥はおそらく荒事専門の部隊。シュタイクのダルチェフ大使館占拠事件でも活躍してたらしいって話だぁ。他にもダルチェフに関する事件や事故を調べたら、不自然な報告箇所がある事故が幾つか見つかってる。全部がそうだとは言わねぇけど、特殊部隊が関わってる疑いがあったぜぇ」
ディオンの言葉を引き継ぐ形で調べた事を話せば、当のダルチェフ出身らしいダグラスだけではなく、ディオンやリィ達までシルビを振り返った。何か変な事を言っただろうかと首を傾げると、ルウが面白そうに笑う。
「それ、昨日調べたの?」
「いや、今日の休み時間にチョコチョコ調べただけだぁ」
「……君、オレの相棒になる気はないか?」
「将来は航宙士になるので無理ぃ」
「まぁ、怒りなさんな。嘘を言ったのは悪かったよ。本当はこういうもんだ」
全員に見せるように差し出された名刺には小難しい略語が並んでいる。新聞記者ではなく軍事専門のフリージャーナリストだというが、その言葉が信用できるかどうかというとまた別だ。
「オレは各国の軍備を記事にして発表している。特に公式の軍隊には含まれない、それでも間違いなくそこに存在している軍事部門にいくらか光を当ててやっている。そういう仕事だ」
「存在しているのに公式には含まれない?」
リィが呟くのにシルビは軽く手を振った。
「公然の秘密ってヤツだぁ。大抵は一般大衆へ公開出来ねぇような汚れ役で、普通に事件やテロで行動して報道に受け答えする部隊とは逆に、報道もされなけりゃ存在さえ『無い』とされている部隊ってこと」
「よく知ってるな。おたく軍事マニアか?」
ディオンの問いに無言で肩をすくめる。
リィ達と一緒に居る真面目そうな青年、ザック・ダグラスというらしいが、彼こそ昨日ルウが通信で言っていた『何かに巻き込まれた』リィの知り合いの様だ。更にはディオンが刑事のフリをして話を聞き出そうともしたらしい。
だから現在ディオンがルウへ捕まったのだという事は分かった。となるとやはり、ジャーナリストではない気がする。やり方がジャーナリストではない。
「ダルチェフには公式には存在を認められていない特殊部隊が分かっているだけで二つある。それぞれ不死鳥、蜃気楼って大層な名前で呼ばれていてな」
「不死鳥はおそらく荒事専門の部隊。シュタイクのダルチェフ大使館占拠事件でも活躍してたらしいって話だぁ。他にもダルチェフに関する事件や事故を調べたら、不自然な報告箇所がある事故が幾つか見つかってる。全部がそうだとは言わねぇけど、特殊部隊が関わってる疑いがあったぜぇ」
ディオンの言葉を引き継ぐ形で調べた事を話せば、当のダルチェフ出身らしいダグラスだけではなく、ディオンやリィ達までシルビを振り返った。何か変な事を言っただろうかと首を傾げると、ルウが面白そうに笑う。
「それ、昨日調べたの?」
「いや、今日の休み時間にチョコチョコ調べただけだぁ」
「……君、オレの相棒になる気はないか?」
「将来は航宙士になるので無理ぃ」