ミラージュの罠
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惑星ダルチェフには、『不死鳥』と『蜃気楼』と呼ばれる特殊部隊の存在が公然の秘密となっている。公然の秘密となっている理由は、ダルチェフ政府がその存在を認めていないからだ。
しかしその特殊部隊の存在は殆ど確定状態で、過去に起こった惑星シュタイクでのダルチェフ大使館占拠事件は、その特殊軍『不死鳥』が動いていたともっぱらの噂である。
シルビがゴシップ記事を読んだのはちょうどその頃だから、この事件が起こったからこそ掲載された記事なのだろう。という事は、あれは単に流行に乗って『家族』が手に入れた物なのかもしれない。
『不死鳥』がそういった大々的ながらも軍事行動に特化した部隊だとして、『蜃気楼』に関しての情報は無かった。
本当は無いのかそれとも巧妙に隠しきれているのか。火のないところへ煙は立たないというし、シルビは後者だと仮定して、過去に惑星ダルチェフと関わりがある事件や事故を攫えば、不自然な部分のある事件が幾つか見つかった。
歩きながらの携帯端末の使用は好ましくないので、シルビはヴェルナール校での授業を終えると急ぎ足でサフノスク大学へと向かう。今日は模擬演習が無かったものの、最後の授業で教師からの質問に答えられなかった生徒が居て、それでだいぶ時間をロスした。
あの生徒がこそこそと小型端末でゲームをしていたことは、既に報告済みである。その報告のせいで更に時間を食った訳だが。
急いでサフノスク大学へ向かうと、大学へ続く道でルウが金髪の若い男へ話しかけているのを見つけた。大学構内に居ない事には不思議に思ったが、長い黒髪の男がルウとシルビ以外にそうそう居るとは思わないのでルウ本人だろう。
「ルウ?」
「あ、シルビ。遅かったね」
男の腕を軽く掴んで逃がしまいとするルウが朗らかに振り返る。男は苦虫を噛み潰したような表情で増えたシルビを見ていた。
「知り合いかぁ?」
「今知り合ったんだ。グレッグ・ディオンさんだって。偽名かもしれないけど」
本人を前にして偽名を使っているかもしれないとはよく言えるものである。
「……君、彼の友人かい? いきなり掴まれて困ってるんだけど、助けてくれないか?」
飄々とした青年を装って話しかけてきたディオンに、シルビは目を細めて値踏みするように眺めた。ルウが捕まえたというのならおそらく『何か』の『関係者』だ。しかし今のところシルビには心当たりは無い。
「……『蜃気楼』に触ったことってあるかぁ?」
だから笑って鎌を掛ければ、意味の分からないルウは首をかしげたものの、ディオンの目付きが鋭くなる。
しかしその特殊部隊の存在は殆ど確定状態で、過去に起こった惑星シュタイクでのダルチェフ大使館占拠事件は、その特殊軍『不死鳥』が動いていたともっぱらの噂である。
シルビがゴシップ記事を読んだのはちょうどその頃だから、この事件が起こったからこそ掲載された記事なのだろう。という事は、あれは単に流行に乗って『家族』が手に入れた物なのかもしれない。
『不死鳥』がそういった大々的ながらも軍事行動に特化した部隊だとして、『蜃気楼』に関しての情報は無かった。
本当は無いのかそれとも巧妙に隠しきれているのか。火のないところへ煙は立たないというし、シルビは後者だと仮定して、過去に惑星ダルチェフと関わりがある事件や事故を攫えば、不自然な部分のある事件が幾つか見つかった。
歩きながらの携帯端末の使用は好ましくないので、シルビはヴェルナール校での授業を終えると急ぎ足でサフノスク大学へと向かう。今日は模擬演習が無かったものの、最後の授業で教師からの質問に答えられなかった生徒が居て、それでだいぶ時間をロスした。
あの生徒がこそこそと小型端末でゲームをしていたことは、既に報告済みである。その報告のせいで更に時間を食った訳だが。
急いでサフノスク大学へ向かうと、大学へ続く道でルウが金髪の若い男へ話しかけているのを見つけた。大学構内に居ない事には不思議に思ったが、長い黒髪の男がルウとシルビ以外にそうそう居るとは思わないのでルウ本人だろう。
「ルウ?」
「あ、シルビ。遅かったね」
男の腕を軽く掴んで逃がしまいとするルウが朗らかに振り返る。男は苦虫を噛み潰したような表情で増えたシルビを見ていた。
「知り合いかぁ?」
「今知り合ったんだ。グレッグ・ディオンさんだって。偽名かもしれないけど」
本人を前にして偽名を使っているかもしれないとはよく言えるものである。
「……君、彼の友人かい? いきなり掴まれて困ってるんだけど、助けてくれないか?」
飄々とした青年を装って話しかけてきたディオンに、シルビは目を細めて値踏みするように眺めた。ルウが捕まえたというのならおそらく『何か』の『関係者』だ。しかし今のところシルビには心当たりは無い。
「……『蜃気楼』に触ったことってあるかぁ?」
だから笑って鎌を掛ければ、意味の分からないルウは首をかしげたものの、ディオンの目付きが鋭くなる。